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「ワォ!」


 思わず感嘆の声が漏れてしまった。

 スローンの死体はどうやら消えずにそのまま残っているようだ。

 では何故、見えなくなっていたのか?

 地面から埋もれる形で沈降していたらしい。

 ちょっとした縦穴のようになっている。

 成程、これが見えなかった訳だ。

 では、光源は何か?

 それはスローンの甲板上にあった。


 光り輝く、黄金の木々。

 しかも森を形成している。

 それだけに美しい光景になっていた!

 問題はこの光量かな?

 明るい。

 明る過ぎる!

 植樹されていないのはスローンの縁部分だけ、これでは戦闘にサングラスが要るぞ?


 これでは騎乗戦は無理だな。

 そして巨躯の召喚モンスター達を投入するのも好ましくない。

 パーティの見直しはどうする?

 ヴォルフ、ルベル、キュアノスは残そう。

 パナール、ラルゴは帰還だな。

 地形は森、そうなると安定の戦力を投入すべきだ。

 モジュラス、清姫を召喚しましょう。



(レビテーション!)


 では、降下してみよう。

 黄金に輝く樹木を見るのは初めてじゃない。

 だが、こんな森を形成している所で戦うのに慣れている訳じゃない。

 確認しておこう。

 特にこの眩しさは、危険だ。

 視覚的な罠になる可能性があるだろう。

 思い出せ。

 つい最近、地下洞窟でも水晶の表面が鏡面になっていて苦労した事があったよね?


 徐々に森が迫っている。

 いかんな。

 この明るさは、危険だ。

 視認するのが厳しい!

 光量を下げてくれないかな?

 そうでなければ森を焼き払っちゃうぞ!


 ここで【氷魔法】の呪文、ホワイトアウトの効果も通じるか?

 効果はあるだろうけど、戦い難いのも実体験済みだ。

 では【闇魔法】の呪文、ダークネス・フィールドは?

 ダメだな。

 敵を暗闇に包む呪文であって味方にではない。

 味方に掛ける事も出来るだろうけど、視界を奪ってしまってはオレが困る。

 ではポーラーナイトは?

 u4マップの環境は昼なのか夜なのか分からない、宇宙のような有様だ。

 効果があると思えない。

 他に手はあるか?

 あるのか?


 呪文リストを眺めているうちに森の中に着地する。

 やはり明るい。

 目がチカチカしてこれは堪らん!


 森の深さはそれなりで、戦場としてはまあまあだな。

 いや、待て。

 試してみよう。

 オレが戦い難くなるかもだが、配下の召喚モンスター達に有利な手があるぞ?



(((((ジャングル!)))))

(((((メイズ・フォレスト!)))))

(((((フォレストバス!)))))

(フォレスト・ウォーク!)

(十二神将封印!)

(ミラーリング!)


 これでいいかな?

 森はより一層、深くなった。

 そして光り輝く樹木と普通の樹木が混在、どうにか視覚的に戦えそうな環境になったぞ!

 それでも懸念はある。

 オレ自身にフォレスト・ウォークの支援があるのだとしても、普通に移動出来るだろうか?

 難しいだろうな。

 それにこれでは得物の選択も難しくなる。

 まあ悩みはしないけどね。

 涅槃のトンファー、グレイプニルがメインになるだろう。

 必要に応じて金剛杵、神鋼鳥の小刀、怒炎蛇竜神の小剣を使い分ける事にしようかね?


 ヴォルフは?

 問題無い。

 森に潜んで自在に遊撃が可能だ。

 分身を放って大いに撹乱してくれるだろう。

 ルベルとキュアノスは?

 やはり問題無い。

 ルベルは小さいし、機動力も高い。

 キュアノスは森の精霊に変化する事で地の利を得る事になるだろう。

 そしてモジュラスと清姫は?

 森林戦での実績を考慮したら全く問題無いな!

 その能力を最大限、活用してくれるに違いない。


 それでも尚、事前に準備すべき事がある。

 切り札を投入するとしたら?

 敵の数が多いようなら迷う事は無い。

 レインフォースメンツ・オブ・モンスター、それにエクストラ・サモニングだ。

 敵の数が少なく、個々が強いようなら?

 ブーステッド・モンスターズだな。

 敵が多い上に手強いのであれば?

 そうなると【英霊召喚】の出番だが、選択肢が限られるだろう。

 本命は夢幻放浪、対抗は太公釣魚かな?

 大穴で剣豪降臨、でもこれは避けたい。

 全員が護法魔王尊や関口柔心、新免無二のようであれば悩まないけどね。

 得物の間合いがある。

 中には槍を使う剣豪もいるからな!


 以前、森の中で槍を使う剣豪様が多くて頭が痛くなった事がありましたっけ。

 それでも辻褄が合ってしまう所が恐ろしい所だが、避けよう。

 心理的な負担もあるし、避けましょう。


 では森の中を探索しつつ、やるべき事を済ませておこうか。

 レインフォースメンツ・オブ・モンスター、エクストラ・サモニングだ。

 何を追加戦力とするか、今のうちに選定しておこう。

 だが地形がこんな深い森では選択肢も限られる。

 そう困る事も無い。

 それは反面、選択を悩む楽しさをもスポイルしているのでした!




 多分、ここが森の中心なのだろう。

 黄金に輝く樹木が1本、しかもこいつはかなりの巨木だ!

 その周囲は普通の森になっている。

 これはオレが仕掛けたジャングルの呪文によるものだろう。

 その黄金の巨木を囲む形で人形達が佇んでいた。

 色は黒い。

 正体は【識別】せずとも分かっていたけど、念の為だな。



 ??? ???

 運営アバター ??? ???

 ??? ???



 やっぱりだ。

 しかし何だってこんな所で運営アバターが?

 例の黄金人形の差し金だろうか?


 ここは慎重に行動すべきだろう。

 少し距離を置いて観察すべきだ。

 黄金の巨木を一周して全容を把握しておいて損は無い。

 今の所、運営アバターが動く気配は無いようだが。

 どこかにあの黄金人形がいるかもしれない。


 しかし困ったな。

 運営アバターの数が多くないか?

 見えている範囲だけでも10体以上にもなる。

 あのアルメイダや久住のように、別の姿に変化する可能性もあるけどな。

 今回はどうなる?

 そもそも戦闘になってくれそうな雰囲気がしない。


 いや、希望を捨ててはならない。

 今は全容把握が先だ!






『アナザーリンク・サーガ・オンラインのプレイヤーと認識しました』


『特定監視対象と確認』


『接続処理を行います』


『接続コード受理、起動します』


『未接続アバターはそのまま待機モードを継続します』


『警告! 隔離措置は現時点で時間が限られます』


 いきなりインフォが流れる。

 何かがトリガーであったのか?

 近寄り過ぎたからなのかもだが。


 目の前の運営アバターの数々だが、1体に急速な変化が起きている。

 その姿は?

 オレはその姿を以前、見ていた。


 あのアルメイダと共にいた老紳士。

 名前は知らない。

 【識別】も効かなかった。

 黄金の巨木を背にして瞑想でもしているのか?



『来たか』


「ッ?」


 まさか、見えている?

 いや、老紳士は目を閉じたままだ。

 身動ぎすらしていない。

 そう、まるで人形のようにだ!



『ヘヴィーアーマーズ・オンラインの一件以来だな』


「ッ?」


『見えているとも。君等が言う所の運営であれば造作も無い。違うかね?』


 まさか。

 あの老紳士は例の黄金人形に何らかの処分が科されたのではないのか?



「何だってここへ?」


『すぐに分かる。この状況が何を意味するのか、想像出来ないとは思えんがね』


「あの黄金人形に処断されたんじゃ?」


『黄金人形? ああ、確かに彼は私の手が及ばない立場にある。一時的な処分も受けたがね』


 老紳士は目を開けた。

 その表情は?

 自信を取り戻したのか、凜としていて隙が見えない。

 黄金人形を前に狼狽していた時と、まるで別人だな!



『私が世界を観察する手助けをしている事は今も変わりは無いのだよ』


「何かと戦わせるつもりか?」


『君が望むなら今すぐにでも。だが、その前に君に告げる事がある』


「何?」


『神の如き存在が世界を選び、好ましい世界のみを存続させている。その在りようをどう思うね?』


「考えた事も無いから答えようも無い。そもそも、それが本当なのかも信じていいのか?」


『自らの目で確かめねば信じられんか』


「ああ」


『私もそうだ。そうであった』


 何かを思い出すかのように老紳士は目を閉じる。

 だが、何故だ?

 眉間には皺が刻み込まれ、苦悶の表情になってしまう。



『私の場合、信じる事が出来た時には、遅過ぎた』


「遅過ぎた?」


『そうだ。そして私の世界は自ら、神の如き存在に愛でられる資格を失ってしまった』


「資格?」


『時間は無い。君の世界もまた、資格を失おうとしている。既に手遅れであるやも知れぬな』


「資格を、失うだって?」


『争いが生じているであろう? その帰結次第で、そうなる』


 争い?

 フィーナさんが言っていた、アレか!

 アナザーリンク・サーガ・オンラインの拠点を巡って各国や企業が攻め込んだという。

 そして反撃もあったらしいが。

 それが何かに影響するのか?



『勝手に滅びてしまう世界もまた多い。君の世界もその瀬戸際にあるという訳だ』


「何が言いたい? いや、何をしようとしている?」


『警告はここまでだ。私もまた為すべき事がある』


 いや、それが何なのか聞いているじゃないか!

 答えろよ!



『君の正体が何であるのかは知らぬ。だが私はすべき事を為す。試させて貰おうか』


「待て!」


 老紳士の姿は黒い人形の姿へと一気に変貌してしまう。

 そして今度は別の姿に変化しようとしていた。

 一体、何だ?



 ゼウス ???

 ??? ??? ???

 ??? ???



 写身、じゃないよな?

 単に、ゼウス。

 写身と変わらない姿に見えるが、そうじゃない。

 センス・マジックを使わずとも分かる。

 格が違い過ぎるぞ!



『何ッ?』


「神降魔闘法!」「金剛法!」「エンチャントブレーカー!」

「リミッターカット!」「ゴッズブレス!」



 ハデス ???

 ??? ??? ???

 ??? ???



 ポセイドン ???

 ??? ??? ???

 ??? ???



 ゼウスの表情が険しい。

 いや、喋った事の方に驚愕すべきだろうけどね!

 マーカーが赤い事だけで戦う理由は十分だ!

 それに両隣の運営アバターも変貌していた。

 落ち着いた様子のハデス。

 傲慢そうな態度のポセイドン。

 ゼウスもそうだけど、得物が全員が槍なのはどうなのよ?

 ここって森の中だぞ?



(太公釣魚!)


 やはりここは本命ではなく対抗候補の呪文で行こう。

 英霊のご老人の支援効果はこの面々を相手に通用するのか、そこが懸念材料だが。

 どうやら相手はアポロンやアルテミスと同様、本体であるらしいぞ?



『人如きを始末するのなど造作もあるまい。何を驚くか!』


『良く見よ! この者、神殺しだ!』


『何だと?』


『バカな!』


 会話を気にしている余裕は無い。

 無い筈だ!

 既に他の運営アバターもその姿を変化させている。

 これはちょっとどうなんだろう?



 天照大神 ???

 ??? ??? ???

 ??? ???



 月読命 ???

 ??? ??? ???

 ??? ???



 須佐之男命 ???

 ??? ??? ???

 ??? ???



 オーディン ???

 ??? ??? ???

 ??? ???



 トール ???

 ??? ??? ???

 ??? ???



 フレイ ???

 ??? ??? ???

 ??? ???



((((((ジャングル!))))))

((((((メイズ・フォレスト!))))))

(((((フォレストバス!)))))

(((((スウォーム!)))))

(((((ジャイアント・アイヴィー!)))))

(((((デッドリー・ポイズンミスト!)))))

(((((パンデミック)))))

(フォレスト・ウォーク!)

(十二神将封印!)

(ミラーリング!)


 何だか世界観が崩壊しつつある。

 いや、各世界の神話で主神を三柱選んだらこうなるって感じだろうか?

 多分だけどそうなる。

 それに追従戦力もいるぞ!



 ウールヴヘジン ???

 狂戦士 ??? ???

 ??? ???



 エネアドの神兵 ???

 使徒 ??? ???

 ??? ???



 アプサラス ???

 神霊 ??? ???

 ??? ???



 ハヌマーン ???

 霊獣神 ??? ???

 ??? ???



 スグリーヴァ ???

 ??? ??? ???

 ??? ???



(カタストロフィ!)


 いかん、いかんぞ!

 ここは森の中で未だに敵の全容は知れない。

 追従戦力には森の中で地の利がある面々もいる。

 それに個々の敵の強さは間違いなく高いだろう。

 サイズがまるで違うけど、あの弥勒菩薩様みたいな存在が少なくとも九柱も目の前にいる!

 しかもまだ追加される恐れだってあるぞ?

 追従戦力にエジプト神話とインド神話の面々がいる。

 各々の主神級が追加されてもおかしくない!



(((((((メテオ・クラッシュ!)))))))

(((((((ミーティア・ストリーム!)))))))

(((((((クェーサー!)))))))

((((((ダークマター!))))))

((((((ソーラー・ウィンド!))))))

((((((マイクロ・ブラックホール!))))))

(ミラーリング!)


『ムゥッ?』


『おのれ、何者かが我等の力に介入しておる!』


『いかん、あの人間を見失ったぞ!』


 良かった!

 どうやら英霊のご老人の力は大いに通じているらしい。

 それにメイズ・フォレストの呪文もかな?

 だが、それでも戦力差は大きいように見える。

 序盤で討ち減らしておかないとマズい。

 間違いなく、厳しい!

 出来たら須佐之男命と格闘戦が出来ればいいのだが。

 更に言えば、目の前で天照大神を仕留めた上でだ!

 そんな余裕は作れるのか?



 姜子牙 ???

 英霊 支援中

 ??? ???



 李左車 ???

 英霊 支援中

 ??? ???



 韋叡 ???

 英霊 支援中

 ??? ???



(レールガン!)

(ミラーリング!)


 オリハルコン球は月読命を直撃!

 だがそれよりも英霊様達の防御をどうする?

 そこが抜けていた!


 いや、英霊のご老人達を護る形で大きな影が蠢いていた。

 その姿はまるで樹木そのもの。

 いや、木の精霊エントとなったキュアノスだ!

 加えてその全身には木の精霊ドライアドや水の精霊ウンディーネ、時空の精霊ズームがいる。

 その数がまた、半端ないぞ!

 ルベルが精霊門で一気に召喚したのだろう。

 精霊陣と併せてかなりの強化になる筈。

 英霊のご老人達を任せていいかな?


 いや、ちょっと待て。

 李左車の能力は何でしたっけ?

 MPバーすらも回復してくれる支援役、ルベルもキュアノスも大いに癒してくれるだろう。

 オレも例外では無い。

 だが、回復を待ってくれるような相手じゃ無さそうだぞ?



 シヴァ ???

 ??? ??? ???

 ??? ???



 ブラフマー ???

 ??? ??? ???

 ??? ???



 ヴィシュヌ ???

 ??? ??? ???

 ??? ???



『これは何事だ?』


『人間が我等を襲っている! 神殺しの称号を持っておる、油断するな!』


『何だと?』


 追加が来た。

 インド神話の主神級三柱か!

 追従戦力はヤマツミとワタツミ、全く噛み合っていない!


 会話は聞こえていた。

 こっちを見失ってくれているのは有り難い。

 スラー酒を今のうちに服用しておこう。

 それにショート・ジャンプを使ってでも李左車に接触しておくべきだ。

 現時点で切り札を更に追加するのは厳しい。

 エクストラ・サモニングは可能だけどね。

 メタモルフォーゼもすぐに使えるけど、対象にすべき相手がいない。


 MPバーをもっと回復させて追加の切り札を使おう。

 出来るだけ序盤でだ!

 大本命はレインフォースメンツ・オブ・モンスターだな。

 更にMPバーが稼げるようならブーステッド・モンスターズだって出番があるかもしれない。

 そういう相手になりそうだ!



(ショート・ジャンプ!)


『ヌッ?』 


『この人間だ! 抑えよ!』


 オレが跳んだ先はオーディンの背後です。

 本当は天照大神を狙いたかったけど、傍に須佐之男命がいて危険だ!

 仕方ない。

 グレイプニルで梱包するのはこっちが先だな!



『チッ!』


 フレイの反応が、早い!

 だがその肩口に矢が突き刺さり、続けてその体が宙に浮く。

 モジュラスの罠だな?

 短時間でいつの間にか仕掛けていてくれたようだ。



 ラー ???

 ??? ??? ???

 ??? ???



 オシリス ???

 ??? ??? ???

 ??? ???



 ホルス ???

 ??? ??? ???

 ??? ???



 エジプト神話の主神級三柱が来た!

 追従戦力は黄金の鎧を着込んだ戦士達だ。

 ゾディアックシリーズか?

 所々で黄金に輝くその姿は視認するのが難しそうだぞ?

 でも死ね。

 死んでいいよ!



(((((((パンデミック!)))))))

(((((((アイス・エイジ!)))))))

((((((グリーンハウス・エフェクト!))))))

((((((ソーラー・ウィンド!))))))

((((((ダーク・フォール!))))))

((((((インスタント・テクトニクス!))))))

(十二神将封印!)

(ミラーリング!)


 梱包されたオーディンが樹上に浮いて行く。

 これもモジュラスだな?

 こいつは後で片付けるから保管してて欲しい。

 それにしても目移りするぞ!

 優先して誰を仕留めるべき?

 悩ましい。

 悩ましいけど、危険な兆候が見えていた!

 ハデスの姿が徐々に消えて行く。

 させるか!



(ショート・ジャンプ!)


 殆ど消えていたハデスの背中に触れる。

 姿を消されては捕捉するのは難しい。

 例えカタストロフィの呪文でHPバーを大幅に削っているのだとしてもだ!



(((((((エナジードレイン!)))))))

(((((((アブソリュート・ゼロ!)))))))

(((((((フォースド・エバポレーション!)))))))

((((((サーマル・ニュートロン!))))))

((((((カーボニゼーション!))))))

((((((フォース・バスター!))))))

(ミラーリング!)


 ハデスの姿が消える直前に間に合ったようだ。

 手に感触がまだある。

 だが、その感触がおかしい。

 何か人形を触っているかのような?


 オレの目の前に崩れ落ちたのは黒い人形。

 おい!

 運営アバターじゃないか!



「チッ!」


 盛大に舌打ちしつつ、シヴァに迫る。

 いや、攻撃を避ける為に脇を抜ける!

 森の中、メイズ・フォレストの効果もあるようだが距離が近いと見抜かれる事も多い。

 しかも相手は神本人かと思える連中だ。

 疑念はあるけどな!

 運営アバターが本体である可能性もあるぞ?



(ショート・ジャンプ!)


 エントとなっているキュアノスの樹上に跳ぶ。

 戦況は?

 周囲は敵だらけだ!

 そしてヴォルフの分身が縦横無尽に駆け回っていた。

 精霊の姿も多い。

 風の精霊シルフに雷の精霊ライオット、氷の精霊ジャック・オ・フロストが攻勢に出ている。

 だが、その数が減っているのも事実だ。

 もっとだ。

 もっと、火力で押すしかない!



(((((((メテオ・クラッシュ!)))))))

(((((((ミーティア・ストリーム!)))))))

(((((((クェーサー!)))))))

((((((ダークマター!))))))

((((((ソーラー・ウィンド!))))))

((((((マイクロ・ブラックホール!))))))

(ミラーリング!)


 李左車がオレの肩に触れて回復をしてくれているようだ。

 いいぞ!

 でもそれだけで全快になる訳じゃない。


 姜子牙は相変わらず戦闘を見物するだけのように見える。

 韋叡は何故か、大きな溜息。

 まあ、分かるけどね。

 酷い乱戦だ!

 いや、森の中で乱戦狙いにしたのはオレだ!



(レインフォースメンツ・オブ・モンスター!)

(エクストラ・サモニング!)


 追加戦力を投入する。

 その面々は?

 ティグリス、テロメア、逢魔、スコーチ、船岡、シリウス、ジンバル。

 そして待宵、キレート、出水、十六夜だ!

 梱包が可能な面々が多いのは偶然だが、これは有り難い。

 狙ってみよう。

 天照大神と須佐之男命だ!



(フィジカルエンチャント・ファイア!)

(フィジカルブースト・ファイア!)

(フィジカルエンチャント・アース!)

(フィジカルブースト・アース!)

(フィジカルエンチャント・ウィンド!)

(フィジカルブースト・ウィンド!)

(フィジカルエンチャント・アクア!)

(フィジカルブースト・アクア!)

(メンタルエンチャント・ライト!)

(メンタルブースト・ライト!)

(メンタルエンチャント・ダーク!)

(メンタルブースト・ダーク!)

(クロスドミナンス!)

(アクロバティック・フライト!)

(グラビティ・メイル!)

(サイコ・ポッド!)

(アクティベイション!)

(リジェネレート!)

(ボイド・スフィア!)

(ダーク・シールド!)

(ファイア・ヒール!)

(エンチャンテッド・アイス!)

(レジスト・ファイア!)

(十二神将封印!)

(ミラーリング!)


 追加戦力を強化しつつ、待宵に触れる。

 オレの姿を写し取らせよう。

 既に《アイテム・ボックス》からグレイプニルを取り出してある。

 梱包役がこれで増えるぞ!


 だが、森の中で敵の数が多い。

 切り札の効果があるうちに出来るだけ数を減らしておこう。

 やはり序盤が鍵だ。

 どこまで狙い通りに戦闘を展開出来るかな?

 それはオレの腕次第って事になりそうです!






((((((ジャングル!))))))

((((((メイズ・フォレスト!))))))

(((((フォレストバス!)))))

(((((スウォーム!)))))

(((((ジャイアント・アイヴィー!)))))

(((((デッドリー・ポイズンミスト!)))))

(((((パンデミック)))))

(フォレスト・ウォーク!)

(十二神将封印!)

(ミラーリング!)


 支援呪文を継ぎ足しておく。

 そしてこのタイミングで英霊のご老人の姿が消えた。

 消えてしまった!

 ならばもうすぐ、援軍も姿を消す事になるだろう。

 どうにか勝勢を維持出来ているが、一気に戦況が逆転しかねない。

 その懸念を払拭する為にも、先手は打ってあった。

 エナジードレインの呪文は意図的に多く使ってある。

 そして李左車に出来るだけ接触してもいた。

 さあ、次の切り札を投入するぞ!



(ブーステッド・モンスターズ!)


 パーティの召喚モンスターを強化、他に打つ手はあるか?

 ありますとも!



(イベント・ホライズン!)


 オシリスの姿がオレの目の前から消える。

 ただそれだけだが、今や森の中で動いている数を考えたら効果は絶大だ!

 有り難い。

 今や主神級で動いているのは?

 シヴァ、須佐之男命、トール、ポセイドンを残すのみ。

 追従戦力で残っているのはゾディアックシリーズが半分って所か?

 やはり強固な鎧がある分、タフであるのだろう。



(アポーツ!)


 レールガンで放ったオリハルコン球を回収する。

 李左車と接触する事を考慮して使っていなかった手を使おう。

 ここからは英霊のご老人達がいないのだ!

 敵もまた、自在に攻撃を仕掛けて来る事だろう。



((((((レビテーション!))))))

((((((((((テレキネシス!))))))))))

((((((((((マグネティック・フォース!))))))))))

(十二神将封印!)

(ミラーリング!)


 多面結界を敷く。

 まず、狙うべきなのは?

 シヴァか、トールか、それともポセイドン?

 須佐之男命はどうにかして最後に残したい。

 既に天照大神は梱包済みであるのだ!

 オーディン、ラーも梱包してあるけど、本命ではありませんよ?



『ええい! まともに相手をせんか、卑怯者!』


 須佐之男命が手にした剣で森の木々を破壊しつつ迫って来る。

 まさに暴れ者の極致、恐るべき破壊力だ!

 単純に思えるけど軽く見る事は出来ない。

 ジャングルの効果、そしてメイズ・フォレストの効果が打ち消されてしまいそうだ!



(レールガン!)

(ミラーリング!)


『フンッ!』


 まただ!

 トールに対してレールガンがまるで通じていない。

 だが、意味ならある。

 レールガンを受けた次の瞬間、大きな隙が生まれているからだ!



「シャァァァァァァァァァァーーーーーーッ!」


『来るか!』


 ええ、行きますとも!

 残念なのはまだ格闘戦に出来ない所かな?

 トールは、危険だ。

 手にしているのはミョルニル、英霊のご老人がいた時に投じる機会は無かったと思う。

 だが、今は違う。

 投じたら命中必至の恐るべき武器、いや、兵器になっている筈だ!



『ッ?』


「シッ!」


 膝頭を足裏で蹴り、手にした金剛杵の刃を展開する。

 セットしてあったのは氷魔法。

 氷の刃は脇腹を斬り裂く筈だった。



「ッ?」


『甘いっ!』


 何て奴!

 傷程度は付くかと思ってたが、刃がまるで通っていない?

 どんな肉体をしているんだ?



(((((((エナジードレイン!)))))))

(((((((アブソリュート・ゼロ!)))))))

(((((((フォースド・エバポレーション!)))))))

((((((サーマル・ニュートロン!))))))

((((((カーボニゼーション!))))))

((((((フォース・バスター!))))))

(ミラーリング!)


 通じたか?

 通じている筈だ。

 だが、トールの動きが止まらない。

 レールガンで出来た隙を衝いておきながら、戦果が僅かってどういう事?



『ッ?』


 そのまま森の中へ突っ込む。

 あのミョルニルに捕捉されたら?

 一撃で詰むだろう。

 遺憾であるか、まだ周囲に戦力もいるから格闘戦は出来ない。

 ええい!

 どうにか出来ないか?


 まだ梱包手段を持っている召喚モンスターがいる。

 出水だ。

 それにオレもグレイプニルを取り出しておくか。

 楽しめる相手が残っているのは大いに好ましい展開だ。

 だが、それが複数となると微妙になってしまう。

 悩ましい。

 そして、厳しい!

 でもそれがどうしようもなく、楽しい!

 これが正直な気持ちなのでした。



『どこです、姉者!』


『私に構わず敵を討ちなさい、須佐!』


 姉弟の会話を聞きつつ思う。

 この展開、活かせるか?

 いや、活かしてみせる。

 どうにかして天照大神を須佐之男命の目の前で仕留めてみたい。

 危険なのは、承知だ。

 いや、危険だからこそやるべきなのだ!


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