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FD-煽りで始まる新世界  作者: Yuzi
一章
22/34

18 お姉様の仇です

 ミヤのレベル上げを始めて半年近くが過ぎた。

 最初に簡易血の儀式を行い、パーティーメンバーにミヤを加えた。

 さすがに本物の血の儀式はしていない。

 というか、ゲームでは血の儀式は婚約イベントで行われ、1人としか行っていなかった。

 そのため、複数の相手に行える儀式なのかわからないのだ。

 ちなみにこの婚約イベント、『五大龍を倒し終えたら結婚しよう』と誓い合うのだが、それがまるっきり死亡フラグだと掲示板などで騒がれたらしい。

 俺もそう思った。

 そしてまあ滅亡エンドを迎えるので、そのフラグは見事に回収されてしまったのかもしれない。

 いや、主人公ならあの後も生き残っている可能性もあるが……


 戦闘だが、ミヤは鉄扇を使いこなし始めた。

 それにも驚いたが、ミヤが再現できた毒の種類の多さにも驚かされた。

 エルフの知識を使い、死なない程度の毒を与えていたりしたのだろう。

 今すぐにでも性根の腐ったエルフ共を一掃したかったが、やめた。

 約10年後には俺が一掃するよりも恐ろしい目に遭うであろうし、それにいてもらわなければ困ることもある。

 まあ奴らのことはいい。

 ミヤは、片方の鉄扇に揮発性の高い毒薬を垂らし、もう片方で扇いで敵に行き渡らせるなどの頭を使った戦い方もできた。

 センスという意味ではかなりの物を持っていると思う。

 でも戦闘を怖がっている。

 俺やメーヤは龍という天敵のいない頂点種の影響か、戦闘を怖がることはなかった。

 でもミヤは違う。

 自分たちを管理、もしくは排除しようとする天敵、それとの戦いなど精神的にダメージを負っても仕方がない。

 それを考えるとミヤは頑張ってくれていると思う。

 とりあえずレベル16まで上がった。

 それに鉄扇による防御がなかなか良い。

 まあ鉄扇って本来、刀とかを受け止める護身用なんだっけ。

 鉄扇で殴り殺したと書かれた文章も見つかっているから武器としても使えるけれど、刃がついていたりするのはファンタジーから、なんだっけ?

 まあとにかくミヤは、少しの間、自分の身を守れる程度には強くなったと思う。

 メーヤの補助魔法もあるし、ある程度は大丈夫だ。

 さあチャイルドイーターを倒しに行こうか。


「うわあぁぁ〜〜!」

 もう何度も空を飛んでいると思うのだが、ミヤの反応は良い。

 それは自力では飛べないが故なのかもしれない。

 俺は何かあったときの為に右手を空けておかなければいけないので、メーヤにミヤを任せている。

 ミヤはご飯をちゃんと食べて、エルフの里にいた時より、肉付きが良くなった。

 それでもまだ軽い。

 メーヤがミヤをしっかりと抱きしめ、飛んでいる。

 半龍であるメーヤの身体能力ならまだまだ楽だろう。


 しばらく三番地と四番地の間くらいを飛んでいると煙が見えた。

 メーヤやミヤにも見えたようで煙の方を指で示した。

「お兄ちゃん!」

「煙が見えます、です!」

「たぶん地龍だ、十分に気をつけるんだぞ!」

 そうして近づくと村が見えてきた。

 上空から確認すると幼龍が人間に襲いかかっていた。

「お兄様!」

 突然の呼びかけに驚いたもののそちらを見るとメーヤが震えていた。

 あまり良くはないがこのままではメーヤがミヤを落としてしまいそうなので、俺がミヤを抱きしめ、ゆっくりと降りた。

「メーヤ、大丈夫か?」

 震えているメーヤの腕を握りながら尋ねる。

「……お、お兄ちゃん、あいつらだよ、あたしをいじめたの……」

 そうか、チャイルドイーターが育てていた中には四番地の幼龍たちもいたのか……


 正直幼龍に恨みはなく、あくまで戦おうというなら倒し、逃げるなら追わないつもりだった。

 ある意味あいつらも被害者と言えるのかもしれないがもはや慈悲はない。

「あいつらがお姉様を!」

 いつもは控えめなミヤが怒っていた。

 そしてもちろん俺も。

「メーヤ、戦えないならそれでも良い。俺たちは戦ってくるわ」

「お姉様、任せてくださいです!」

 そういって駆け出そうとした俺たちを光が包み込んだ。

「あたしたちに力を! 守りを! 速さを!」

 メーヤの強化魔法による光だ。

「あたしも、あたしも行く。お兄ちゃんやミヤが傷ついたらすぐに治すよ。あいつらは怖いけど、お兄ちゃんやミヤがあたしの見てないところで戦ってるって思ったらもっと怖かった……」

「そうか、なら行くぞ!」

 そうして幼龍の元へと駆けた。


 もう幼龍が現れて時間が経っていたのか、生きている人の姿が見えない。

 ある程度を犠牲に避難が終わったようだ。

「グルゥ」

 そんな幼龍の唸り声を聞いた。

 そちらに向かうと三匹の幼龍がいた。

「妹が世話になった、その礼だ!」

「お姉様の仇です!」

 ……ミヤ、それだとメーヤが殺されたみたいだ……

「グルゥ?」

 幼龍には俺たちのような子供が挑みに来ることか、喋っている内容、もしくはその両方が不思議らしく首を傾げた。

「お兄様、一匹と戦わせてください、です!」

 そんなことを言われるとは思っていなかった。

 だが、姉の為に頑張ろうとしているのだ、任せてみよう。

「わかった、ミヤに任せる! メーヤはミヤが危なくなるまでは手を出すなよ!」

 2人が頷いたのを確認して幼龍二匹を引き受けることにした。


 とりあえずミアから二匹を引き離さなければ。

 と思ったが、なにやら幼龍さんたちは俺を警戒している? 本能からわかるのかね? 俺が離れたら付いてきそうだ。

 俺はあえて速度を落とし、移動した。

 案の定、幼龍たちは俺を追ってきたが、最後尾の一匹に向かってブレスを放ち、足止めした。

 そして、足を止めた一匹にミヤが立ち向かった。

 幼龍等が追える速度で走りながら、ミヤを見る。

 ミヤの攻撃は、龍の表皮を切り裂くことはできなかったようだ。

 まあそれは仕方がない。

 そこで毒薬を飛ばしたり、塗るなどの方向にシフトしていた。

 その姿は扇を両手に舞っているようにも見えた。

 巫女服の防具ってなかったっけ?


 そろそろ良いか。

 幼龍がミヤの方に行きそうになっても、なんとかできる距離を確保して幼龍と対峙した。

 チャイルドイーター討伐の前哨戦だ。やるか!


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