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FD-煽りで始まる新世界  作者: Yuzi
一章
13/34

10 あれから……

 魔法の家を手に入れた俺たちは迷宮でレベル上げに励んでいた。

 やはり大部屋には魔法の家を設置できた。

 迷宮内にテントで泊まる他の人を見ていたのでおかしなことじゃないと思う。

 それにどうやら設置者とそのパーティーメンバー以外には認識阻害効果があるのか、龍の眷族にも他の人にも見つからなかった。

 これには安心した。

 結界も張れば、もし魔法の家に気付かれて人や敵が近づいてきたとしてもわかるようになるので防犯対策もある程度できている。


 結界を張って魔法の家に入ると見た目と同じく二階建てだった。

 一階に台所、風呂、ダイニングルーム、客間、各階にトイレ、二階は個室が3つに大部屋が一つだった。

 個室が3つなのは、ゲーム内でパーティーメンバーは四人までだったから、かな?

 台所には懐かしの家電やら何やらがあった。

 どうやって動かしているのかわからないが、全て問題なく動いたし、水も出た。

 どこから出ているのかとか全くわからないが、水も飲めるようだ。ちゃんとメーヤに毒が入っているかどうか魔法で検査してもらった。

 風呂もスイッチ一つで沸かせた! 俺は大いに喜んだ。シャワーもあるし、やっぱり風呂は最高だぜ!

 風呂に入り、リラックスしてそんなことを考えていた俺の至福の風呂タイムは、メーヤの乱入により終わりを迎えた。

 久しぶりの風呂くらいゆっくり入らせて欲しかったが、メーヤにしたら最初の風呂くらい家族で入りたかったのだろうと諦めた。

 この時の俺はまさかメーヤがこれから毎日、風呂に襲撃をかけてくるとは思ってもいなかった……

 備え付けられていた石鹸やタオルを使い、順番に互いの背中を洗いあった。

 よく考えれば、メーヤはこれらの使い方がわからないのだから説明の為にも一緒に入らないといけなかったんだな。

 二人でゆったりとした時間を過ごした。


 あとは二階の部屋割りなんだが、話し合いの結果、大部屋が一応俺の部屋で、3つ並んでいる個室の端、階段に近く、大部屋の扉にも一番近い部屋がメーヤの部屋になった。

 もっともメーヤはその部屋を荷物置き場にして俺の部屋に住み着くようだ。

「お兄ちゃんが大部屋だよ」

「いいのか?」

「うん、それで端がメーヤの部屋ね」

 とすぐに決まった。

「大部屋にはベッドが一つしかないし、これで一緒に眠れるよ」

 うーん、一応宿屋ではツインにしていたが、まあいいか。

 どうせ大きくなったら自分から離れていくだろう。


 この予想は大きく外れることになる。

 レベル上げを続けながら、二人での生活を楽しんでいたら、あれから5年もの歳月が過ぎていた。

 そして、俺はメーヤに全てを話すことにした。

 きっかけは、俺と同じように成長しようとするメーヤを俺が止めたことだ。

 魔法主体のメーヤは後衛で、身体が小さい方が攻撃を受けにくい為、小さいままでいた方がよいと言って説明した。

 そうしたらロリコン疑惑をかけられてしまったのだ。

「お兄ちゃんは小さい娘が好きなの?」

 別にメーヤは引いたり、嫌悪感を出したりなどしていなかった。ただ単に気になったから質問しただけだと思われる。

 だが、すごいプレッシャーを感じた。この答え次第でメーヤの一生を決定しそうな……

 だから俺は……話した。

 セルファは人間に、見た目の年齢を自在に変えられる人化能力を褒められ、浮かれたところを騙されて、身も心も弄ばれたことも、俺のドラゴンイーターの能力も、俺が別世界の人間だった記憶があることも全て。

 俺はこの話を聞いたメーヤに怯えられるのも仕方がないと思っていた。

 ドラゴンを食べる能力、半龍であったが、紛れもなくメーヤも龍なのだから。

 だからこの返答には驚いた。

「お兄ちゃん、メーヤを助けてくれてありがとう! もしもメーヤが足手まといになったり、死にそうになったらお兄ちゃん、メーヤを食べてね。たとえ死んだとしてもメーヤはお兄ちゃんといたいよ。でもお兄ちゃんを一人残してしまうのが心残りかな」

 その満面の笑みで話す姿にぶるっときた。

 さすがにそこまでの信頼は怖いですわ。

 まあ一応そういうことで俺が安心するまで強くなるか、精神的に大人になったなと思うまでは幼い姿でいてもらうことにした。

 そして俺は決意した。

 必ずメーヤの父龍を食らってやると。

 あいつを食らい、名実共にメーヤと血の繋がった家族となろう。

 ここまで信頼してくれているメーヤに、そう心の中で誓った。


 またここ5年の成果としてどうやら主人公がちゃんといる可能性が高いということがわかった。

 だだし、強大すぎる能力によって言語を制限されてしまっているらしい。

 ゲーム内でも確かに喋らなかったが、まさかそんな設定だったなんて……

 ただのこじつけかもしれないが。

 また早期に王に目をつけられ、王宮に幼馴染の少女と連れてこられ、育てられているとか。

 この流れはゲームとは違う。

 気にはなったが、王宮にいるなら会うこともないだろうと安心してレベル上げに励んだ。


 現在、俺のレベルは32、メーヤのレベルは31、なかなかのレベルだと思う。

 初級の迷宮は無事にクリアできた。

 初級(土)迷宮のクリア報酬は土のアミュレットだった。

 効果は地属性ダメージを10%減らす。

 ランダム屋で買える大地のアミュレットの劣化版だったが、この大陸での戦いでは十分に効果があるだろう。

 これは前線で戦い、ダメージを受けやすい俺が装備することになった。


 レベルも上がりそろそろ龍と戦っても良い頃かもしれないが、なるべくならパーティーメンバーを増やしてから挑みたい。

 早く倒したい龍もいるのだが、パーティーメンバーが二人ではどのレベルが適正なのかわからないのだ。

 なのでできたら一人、欲を言えば二人、パーティーメンバーを追加したい。

「お兄ちゃん……」

 そのことをメーヤに伝えたら悲しそうな表情をした。

「お兄ちゃんとメーヤの二人暮らしを邪魔させない!」

 小声で言っているがわざと俺に聞こえるように言っているだろ、お前。

「まあメーヤが気に入らない人をパーティーメンバーに入れるつもりはないが、もしメンバー候補が見つかったらちゃんとその人のことは見てやるんだぞ」

「……はーい」

 嫌そうだが返事はしたな、言質はとった。

 まあそうは言ってもメンバー候補なんていないんだけどな。

 心当たりのある人物はどうせ主人公パーティーに入るのだろうし。


 ここは確実に戦力アップが見込める武器の調達かな? ついでにゲーム開始時点で火山の噴火によって埋もれてしまった哀れな街でも救いに行くか。

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