98.告白
ドアにノックをした。
真風くんの部屋だ。
「鍵は開いてますからどうぞ―」
部屋から真風くんの声がする。
「おす」
「珍しいですね、弦司が自分から僕の部屋に来るなんて」
「いやまあ……」
真風くんはヘッドフォンを外して、
PCの前でしていたよく分からない作業を取りやめてこちらを向いた。
めっちゃ顔がいい……
可愛いの天才かよ!
このまま顔を見続けると魅入られてしまう。
きっと前世はサキュバスか何かに違いない。
顔を逸らすと、本棚が目に付いた。
天井まである大きな本棚には俺の写真集がざっと1000冊はあった。
「俺の写真集こんなに買ったのか……」
「ええ、全部初版です。300万位ですかね」
「初版って……写真集の初版売り上げ勝負したよな?」
「それが何か……?」
「す、凄いな……」
「こればっかりはしょうがないですから」
そこで会話は止まってしまい沈黙が続いた。
口火を切ったのは真風くんだった。
「弦司用事はなんですか? 僕、今忙しいんですけど……」
めちゃ言い出し辛いな……
「俺、大学合格したら真清にプロポーズしようと思うんだ」
「……そうですか……」
「だから真風とは結婚できない、ゴメン!」
「――その話は姉さんから何十回も聞いているんですよね……
姉さんも嬉しそうに何回も……
人の気持ちも考えないで……」
「う、なんかゴメンなさい」
「もうしょうがないと思っているんですけどね。
僕はこんなんだから別に形にはこだわりませんよ。
最悪一生一緒に居られたら、それで良いです」
「そ、そうですか」
(最悪一生一緒ってハードル高いな……)
「僕のすべてが弦司の物の様に。
弦司の喜びも悲しみのも僕の物ですからね。
僕は弦司になりたいんです」
「よ、よく分からないかな」
「いいんです、分かって貰えなくても……
話は終わりましたか、じゃあ作業に戻るので出て行ってください。
そこに居られると泣けないじゃないですか?」
その言葉を聞いて俺は黙って真風くんの部屋を出て行った。
下手な慰めなんてできなかった。
真風くんを傷付けたのは俺なのだ。




