97.サトリ
「弦司将来どうすんだ?」
「今は真清と同じ大学目指してます」
阿我妻家で昼飯を食いながら真雪さんとそんな世間話をしていた。
「ふーん。法〇大学だろ、結構偏差値高いけど間に合うの?」
「ぐっ」
真雪さんは16歳で結婚して子供を産んでいる。
高卒所か中卒なのに何故志望大学の偏差値を把握しているのだろうか。
この人もきちんと娘の事考えていたのか?
「写真集のお金使って家庭教師付けましたからね!」
「お!? マジか?
弦司は絶対にあの金には手をつけねーかと思っていた」
「真清に言われたんで……」
「弦司は本当にガキくせーからな。見ててイライラするわ」
「そこまで言わんでも……」
「『婚前交渉は嫌だ』とか乙女か! キメ―んだよ!!」
真雪さんシャド〇スキルみたいに自分の言葉で興奮するタイプなんだよなー。
面倒臭い事になりそうな予感……
「あたしがお前らの歳にはもう赤ちゃん居たっつーの!!
何なんだお前らはおままごと見たいな恋愛しやがって!!
もういい加減ヤレよ!!
あー本当イライラする!!」
ほらぁ……超面倒臭い。
そんなの俺の勝手じゃないですか。
人の恋愛観に口出ししないでくださいよ。
と思ったが、それを口に出すと面倒臭い事になるので黙っていた。
「イライラするのは更年期障害のせいじゃないないですかね?」
「なんだ弦司? 安い挑発しやがって。
不満が顔に出てるんだよ。
どうせ『僕の勝手じゃないですか、口出ししないでください~!』
とか思っているんだろ!!」
「ムカッ!?」
かば〇ちゃん見たいな口調ですげー腹立つ。
この人本当煽るのが天才的に上手いな。本気で腹立つ!
「弦司は本当顔が良いな……怒っている顔も可愛いよ(イケボ)
18にもなってこの顔かよ。
お前本当に男なのか? マジで犯したい!」
「マジで真雪さん何なんですか? 何人?
動物なの? 肉食獣なの?」
「女はみんな肉食獣なのさ!」
「真雪さんだけだと思いますよ?」
「ありがとうございます! いただきます!」
「食べないでください!」
真雪さんが食卓から立ち上がろうとした瞬間。
後ろから中華お玉で真雪さんはこずかれた。
「ママ、遊んでないで早く飯食ってくれ、片付かねーだろ」
「イテー……真清ちょっとひどくない? つーか居たの」
「初めから居ただろ! 飯作ったのあたしだろ!!」
「そうだっけ?」
「いいから早く飯食え。弦司とイチャイチャすんな! あたしの男に手を出すな」
真清の主観だとそう見えるらしいが、
真雪さんとは断じてイチャイチャはしていない。
「ハイハイ『どう付き合おうがあたしらの勝手だろ~』って顔して」
「ムカッ!?」
「『本当に面倒臭いババアだな!』って顔してる」
なんだこの人ジ〇セフ・ジ〇ースターかよ!
ゴゴゴゴ。
真雪さんは真清に向けていた顔をゆっくりとこちらに向けると
口の端を上げてニタリと笑った。
「弦司~あたしはネガティブな感情に対して人一倍嗅覚が利くんだよ」
うわッ!? めんどくさっユニークスキル持ちかよ!? サトリか?
「ユニークスキルじゃないよ。経験と勘だ」
「うわーマジすか、その精度……流石真風のママ……」
つーかユニークスキル分るとかラノベ読むんだ。
「ラノベじゃなくて漫画だよ」
心を完璧に読まれてる!?
――真雪さんこわー……




