86.第二部完結編:決戦の日
――決戦の日が訪れた。
外では雷が鳴り、ドシャブリの雨が降っている。
俺と真清と真風くんはリビングで真雪さんが来るのを待っていた。
真風くんは一人用のソファに座り、祈る様に手を組み床の一か所をじっと見つめている。
真清はソファに横になってテレビを見ている。
俺はと言うと床に寝そべってゴロゴロと転がって、緊張を紛らわせていた。
怖すぎる……これほどまでに心臓が高鳴った事は記憶にない。
高校受験の合格発表よりプレッシャーとストレスが凄い!?
結局あの後、有効な策は見いだせなかった。
俺のYo〇Tubeチャネルでチラッと宣伝しただけだ。
そもそも俺は業界の事を何も知らないし。
マネジャーの真雪さんからはほったらかしだ。
時計の音がやけに大きく聞こえる。
時間の進みが遅い……まるで針の筵か、死刑執行前夜だ……
玄関のドアがガチャリと音を立てた『ギャー!! びしょ濡れだー!!』
と叫ぶ真雪さんの声が聞こえる。
誰も玄関に迎えに行ったり、タオルを取りに行ったりはしない。
おそらくここにいる誰もが『結果を聞きたくない』と思っているのだ。
真風くんですらピクリとも動かない。いや動けないでいるのかもしれない。
「弦司!! タオル持ってこい!!」
しかたがないので俺が洗面所からタオルを持って来た。
「チクショー!? スーツが台無しだ!!」
と真雪さんはジャケットを脱いでいた、
濡れたシャツが肌に貼り付き黒いブラジャーが透けていた。
「弦司、ジロジロ見てないで、いいから早くタオル寄越せバカ!」
目の前にあると視線が捕らわれるのは男としての性だけど。
我ながらこんな時に目を奪われるなんて、本当バカだな。
しかしこんな緊張感のある人生は謎過ぎるな。
こんな自分にとって益の無い勝負で寿命をすり減らすのは何か間違っている気がするよ。
なにはともあれ、地獄の使者は現れた、後は結果を聞くだけなのだ……




