85.第二部完結編:きっともうだめなんだよ。
「本気で行きますよ……」
「いや本気を出されても一介の高校生である俺に対抗できる事なんか無いからね?」
真風くんは流暢に語り始めた。
「今回コネを最大限に使いますから、うちの会社の社員全員に買ってくれるよう頼みました」
「いや俺の話を聞いて……
いやもういいや、それでどうしたの?」
「僕の交友網、全部に連絡して宣伝と購入をお願いしました」
「ふむふむ」
「自腹を切って一〇〇〇冊購入して、視聴者にプレゼントします」
「えー!? もったいないな」
真風くんのこめかみがピクリと動いた。
「……負けたら『アイドル引退』と告知しました」
「ああ、それは真清と一緒に今見てたわ」
真清はベッドで寝転がり気配を消して居ない振りをしていた。
まあ無理に参加しても、更にこじれそうだからありがたいが。
「後は各所に宣伝行脚してます。以上です」
「結構普通だな」
真風くんのこめかみがピクピクと二度動いた。
「僕はアイドルですから、当たり前の事を当たり前にするだけです。
アイドル道に近道何て無いんです」
いやそこら辺マジで尊敬する。
天才と言う面もあるのだろうけど。積み上げていく力が凄い。
「ですから弦司は諦めて、首を洗って……いやお尻を洗って待っていてください!!」
そう言って真風くんは部屋から出て行った。
圧倒的戦力差に絶望するしかない。
真清がベッドからムクリと起きて俺を憐れむような目で見てる。
「真清さん、どうしたらいいの……?」
「きっともうだめなんだよ」
何の感情もこもっていない真清の声。
「奪われる前にあたしでドーテー捨てておくか?」
「…………」
「なんかしゃべれ」
…………




