84.第二部完結編:宣戦布告
「真風くんが弦司に宣戦布告に来ましたよ……」
真風くんはそう言って『にへら』と笑った。
……なんかテンション高いなぁ。
「今日はちゃんとした宣戦布告に来ました」
「お、おう」
「弦司と僕の写真集、初版が一週間でどれだけ売れるかで勝負しましょう。
僕が勝ったら、弦司の処女を貰います。
僕が負けたらアイドルを止めてヌード写真集を出します」
「その勝負嫌だって言ったら?」
「死にます」
「ヘ?」
「弦司を殺して僕も死にます……」
……おっも……くそ重たい。
押しが強い真風くんはヤンデレに進化した!
いやせめて勝ったら、俺の興味が有る物にして欲しいなぁ。
「勝って得られる物って変更しちゃ駄目?」
真風の目が据わり、ぞっとするほど冷たい目でこちらを睨んで来た。
「……何が欲しいって言うんです?
現役アイドルの僕が『結婚したい』と言っても駄目。
『僕の全能力全財産を使って幸せにする』と言っても駄目。
『僕の処女を上げる』と言っても『要らない』と言う。
僕の提供できる物はすべて捧げます。
『死ね』と言うならそうします。
どの道僕は弦司無しでは生きていけません。
弦司はこの上僕に何を望むと言うのですか?」
ゲッ!? 言われて気が付いた。
真風くんは究極に追い詰められている。もう誤魔化せない所まで来ている。
「アイドル活動は僕に残された価値のある物の最後の一つです。
それ以外に僕にはもう何も有りません」
「う……わ、分ったその勝負受ける」
――これは逃げられない。
真風くんは口角を上げてニヤリと冷たく静かに笑った。
「諦めの良い所本当に好きです。
僕から逃げられると思わないでください。
アイドルとして僕より上に行くなんて許しませんよ。
例え弦司が男の娘の天才だとしても、僕にもアイドルとしてのプライドがあります。
ただ黙って上に行けるなんて思わないで下さい……」
困ったような顔して笑う真風くんは、嫉妬や恐怖、不安や焦燥、悲しみに怒り。
様々な感情がない交ぜになった昏い愉悦に、身を任せているかのようだった。




