72.みつどもえ④
ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ!!
マジでヤバイ、阿我妻家パパの真治さんに電話して助けて貰おう。
多分仕事中だが、そんな事を気にしてはいられない。
俺は素早くスマホを取り出すと電話を掛けた。
電話の呼び出し音が五回なった所で、真治さんが電話に出た。
『何だ、弦司? 今仕事中だぞ!?』
『真治さん助けてください!! 実はカクカクシカジカで真雪さんが三人一緒にお風呂に入ろうと!!』
『……あー……うーん……真雪に手を出さなかったら別に……いいよ?』
『いやいやいや、その真雪さんが危ないんじゃないですか!!』
『あー……行けたら行くわ……』
あ、これ絶対に来ない奴だ。
その直後ブツッと音が鳴り通話が切れた。
グハッ!? 保険掛けるの失敗した……
貴重な時間が……
どうする? もう恥も外聞もなく逃げてしまおうか?
いや逃げるべきだと思う。そうするのが正しい。 よし、今すぐ逃げよう!!
「弦司、待たせたなじゃあ皆で風呂に入るか!」
「真清……」
俺は逃げるべき最後のチャンスを真治さんへの電話と言う行為で永遠に失ってしまった。
「い、いやじゃ! 風呂になど入りとうない!!」
「何言ってんだ弦司? 意識し過ぎだろ。思春期かよ?」
「十七歳は立派な思春期だろ!」
「た、確かに!? まあでも人生は経験だ、諦めて一緒に入ろうぜ?」
「水着着用になったら急に強気に……」
「水着着てるんだからプールみたいなもんだろ、弦司が意識し過ぎなんだって」
うッ!? そうなのか? 俺が考えすぎなのか?
考え込んでいるとそのまま真清に腕引っ張られズルズルと連れられて行った。
風呂の脱衣所の前では既に真風くんと真雪さんが待機していた。
「おせーぞ弦司!!」
真雪さんが怒鳴る。真風くんはその後ろでニコニコとしていた。
「じゃあ弦司先に着替えろよ、あたしたちが先に着替えたら弦司逃げるだろ」
真雪さんは『お前の考えはお見通しだよ』と言わんばかりに『ニシシ』と楽しそうに笑う。
マジカー……丁寧に逃げ道塞ぎ過ぎだろ。プロかよ。
ゲームが上手な人って、相手の立場になって相手の一番嫌がる事をすると言うけど。
真雪さんがそれだろうな。嫌がらせの天才だな。
真清もちょっと嫌がらせを好む所あるよな……
どんどん追い詰められていく、既に波乱の予感しかしない……




