67.写真集⑤
「うーん……」
「真風の事考えているんだろ? しゃーねーなー……あたしも文字通り一肌脱いでやるかッ!」
思い悩んでいた俺に、真清の明るい声が響く。
「なんかあんの?」
「弦司、お前は脱げ、写真集作れよ」
「真清……お前までそー言う……」
神妙な顔付をして、俺の発言を遮るように指先揃えた手を俺の顔の前に出す。
「まあ話は最後まで聞け、弦司が脱ぐ代わりと言っては何だけど……
あたしも一緒に脱いでやるよ!」
「?? へ? どう言う事?
「――いや……実はあたしもママに事前に仕込まれていてさ……
『弦司の写真集出せなかったら真清替わりに脱げって!』って……」
「……あの人……卑怯としか言いようがないけどカード作りの根回しは凄いな……」
「だからまあ……恥かしいけど、あたしも一緒に脱いでやるよ……」
真雪さんひでーな、目的の為には手段を選ばない君主の様な人柄だな。
友達無くしますよ? 真雪さん。
「――いや、それには及ばないよ……(イケボ)
矢面に立って身体を張るのは男の仕事だからな……(イケボ)」
「弦司……なんか格好いい……///」
肌色の多い写真集が男らしいかは意見が分かれる所だろうが……
まあ写真集で真風くんがあんなに揺さぶられるんだから、
終わらせないといつまでも爆弾を抱える事になる。
真雪さんの工作も真風くんの精神安定に良くないし。
どうせまた違う手を考えて来るに違いない。
考え事をしていたら、真清が口を開いた。
「弦司の写真集だけどさ、やっぱ先に進まないと真風も落ち着かないと思うんだよ。
それにどうせママがいらん事色々するだろうし……」
純粋に驚いた、ほとんど同じ事考えてる。
「――驚いた……全く同じ事考えてたわ……」
「本当か!?」
真清が猫耳を立てて、猫口になったように一瞬見えた。
「うん、本当」
「弦司ッ!?」
そう言うと真清は飛びついて抱きついてきた。
力強く抱きしめて来る、ちょっとと言うか大分痛い……
「弦司! 弦司!! あたし達本当仲がいいな!!
弦司と同じ事を考えて同じ時間を共有できるのは嬉しい!!」
「……真清さん、力つよッ!? ちょっと痛いんですけど!」
――真清は共感を大事にしている感じだな。
相手と同じ時間を過ごし価値観を共有する事に喜びを感じるようだ。
なんつーか、真清は幼馴染属性が高い奴だな。
じゃあ生まれた時から同じ時間を過ごしている俺は一体どれだけ……
愛が深すぎてちょっとこえーな……
「弦司今度一緒に風呂に入ろうぜ! 弦司には見せといてやるよ! あたしの裸を!」
「あ、いやそれは嬉しいけど……あの、その……いいの?」
「いいぜ!」
マジカー……嬉しいような面倒臭い様な……
お風呂一緒に入った時の真風くんの気持ちがちょっと分るわ……
あの時はちょっと引いたけど、ゴメン、ありがとう真風
「気分が良いからいつでも使える『膝枕券三〇回分』と『耳かき券三〇回分』も付けてやる!
どうだ参ったか!!」
「参りました……ありがとうございます!」
深々と真清さんに頭を下げ感謝の意を表す。
ぶっちゃけ風呂より、膝枕、耳かき券の方が嬉しいかも。
『どうせならキリのいい五〇回にしてくれないかなー』と贅沢な事を俺は考えていた。
写真集編終わり。




