58.金髪
「金髪に染めようかな……」
「なんで?」
夏休みに入ろうかと言う時期の西日が熱い通学路
俺は金髪ヤンキーで幼馴染の真清に、そんな事を呟いた。
「ホラ、阿我妻家ってすげー仲いいじゃん?」
「まぁー……そうだな」
「んで俺も金髪に染めて、阿我妻家と仲良くなりたいなー
なんて、全員金髪だし……うヘヘヘ」
「――弦司……お前……」
「ダメ、かな?」
「――好き……」
真清はそう言うと、自分のシャツに手をかけボタンを素早くたくさん外した。
豊満な胸と可憐なピンク色のブラジャーが露わになる。
「ハイ? きゅ、急に何!?」
真清は素早く俺の左手首を掴み後方に回り込み腕関節を極めた。
そのまま空いた片手で素早く俺のシャツをめくり上げ、素肌を露出させる。
露出させた俺の背中に真清はおっぱいを強く押し付けて来た。
そして関節技を解除し強くハグをしてくる。
この間僅か三秒。
俺は叫び声も上げる間もなく、関節を襲った軽い痛みと背中の柔らかい感触にどう反応して良いのか迷った。
頭の中をクエスチョンマークが飛び交っている。
「――弦司はそのままでいいんだよ。
あたしたち家族がちょっと変わってるんだ……」
「い、いやそんな事は……フツーだと思うよ?」
内心『ちょっとかぁ?』と思ったのは秘密だ。
「いいよ気を使わなくても、逆に弦司があたしたち家族を弦司色に染めるんだ」
「いやいや、俺はただのオタクだし、あの面々を俺色に染めるとか無理だろ……」
「いや弦司はただのオタクじゃない。それにあたしも結構オタクだし!
鬼〇の刃とか約〇のネ〇ーランドとかチェ〇ソーマンとか読んでるし!!」
「う、うーん……それオタクかなぁ?」
「仲間内では一番読んでるし!!」
「ワ〇ピースは読んでないの?」
「バカ! あんな一〇〇巻近いの読んでるとかガチすぎだろ!」
「あ~……うん……そうね」
素肌になった背中に同じく素肌のおっぱいを押し付けられながら、
そんなオタク談議? に花を咲かせた。
「弦司、家族に気を使ってくれてありがとう。
でもあたしの望みは違うんだ、弦司があたしを染めるんだ。
弦司にもっと近づきたい……
それがオタクな趣味だって構わない……」
「……」
真清の真剣な告白に俺はどう返事をして良いのか分からなくなっていた。
「弦司があたしと同じ事を考えていたのは本当に嬉しい。
弦司マジ好き……」
そう言うと真清は背中からそっと離れた。
俺は振り向いて真清を見た。
真清は耳まで真っ赤にしながらシャツのボタンをゆっくりと締めていた。
「へへ、オタク君こう言うの好きでしょ?」
はにかみ笑いながら真清はそう言った。
……好き。




