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57.面倒臭い兄貴

「おはよう弦司(おし)

「おはようございます」


 日曜日の昼下がり、阿我妻(あがつま)家の食卓には珍しく誰もいなかった。

 目の前に座っている、阿我妻家の家長(かちょう)阿我妻家 真治(まじ)さん以外には。


 阿我妻家家長、阿我妻真治さんはヤンキーだ。

 普通に若い、三十代前半で真清(まきよ)のお兄さんに見えなくもない。

 金髪に染められたツンツンと立ち上がった髪に、短いまゆ悪い目付きに尖った顎

 筋肉はゴリラ、牙は狼、燃える瞳は原始の炎

 どこからどう見てもやんちゃな金髪ヤンキーでド〇キホーテとかに居そう。


「弦司、真清とはいつ結婚するんだ?」

「父親なのにそんなノリでいいんすか?」


 真治さんとは結構仲が良い、子供の頃から遊んでもらっているし。

 お隣さんと言うよりは、弟と兄貴のような関係だ。


「しょーがねーじゃん! 真風(まかぜ)の面倒も見て貰っているし」

「別に大した事なんてしてませんよ」

「あん? うちの“息子の面倒”が大した事じゃない?」


 うわ、真治さん面倒くさっ!?


「あ、いえ、すいません、真風くんの面倒は見るのは本当大変です!」

「そうだろ、そうだろ、真風は本当面倒臭い奴だからな」


 そう言うと真治さんは目をつぶり嬉しそうにニヤニヤしている。

 息子が面倒臭くて何が嬉しいのか、ヤンキーの思考回路はよく分からない。

 真治さんも十分すぎるほど面倒臭いが。


「真風も貰ってくれないか?」

「いやいやいや」

「なんなら俺を付けても構わない」

「ハア? 今、なんて?」

「弦司と結婚する事もやぶさかではない、俺をお嫁さんにしてくれて構わない」


 ――うわーマジで面倒臭い人だなー……

 やぶさかではない(積極的にしたい)んだ…… 

 抱き合わせ販売みたいな人だな……クソゲー過ぎる。

 これ、どう答えるのが正解なんだろ?


 しかしこの感覚、どこかで味わった様な……

 あー……真風くんだ、この人なんか真風くんに似てるな。

 真風くんを一回り位面倒臭くした感じ。


「……真治さんはなんか真風くんに似てますね」

「あん? 真風が俺に似てるんだろ、親子なんだから」


 言われてみればそうである。

 真風くんもこの人のDNAを受け継いでいるのだから似ているのは当然か……

 いやしかし家族で似てるとか本当仲良いなこの人たち。

 阿我妻家怖いわー、()()()()()()()()が逆に不思議なくらいだ。


 んー……?

 視線を右に漂わせてちょっと考え事をした。


 『()()()()()()()()()()()』から、皆アプローチが激しいのかね?


「まあ真治さんとの結婚は普通に迷惑ですけど、真雪(まゆき)さんが居るでしょ」

「嫁は死にました」

「いや生きてるでしょ!」

「今、俺の中で死にました」


「真雪さんと同じ事言ってますよ、本当仲いいですね」

「真雪がそんな事を? アノヤロウ……」

「いや、真治さんも同じですよ?」

「――なんなら真雪も……一緒にお嫁さんに、してくれても良い……」


 阿我妻家ってモラルの壊れた人しか居ないのかなぁ?


 ――真雪さんかぁ……


 真雪さんは文句なしに美人なんだよな……

 あの美人で熟女と言うには失礼なお姉さんを組み敷いて良いのかぁ……


 ~弦司の脳内~


 真雪さんはガチにハマりそうだから妄想は止めておこう……

 俺普通に年上好きだからな。

 いやでも、真清がそのまま歳をとったら真雪さんみたいになるんだろうな。

 二人ともお腹が大きくなって。

 その脇を真風くんと真治さんが固めると……


 ……なんか一人余計な人が混じっていたような……

 

 ~現実~


「真雪さんはガチで綺麗だからシャレにならない……」


 真治さんは『そうだろ、そうだろ』と言いながら頷いた。


 ――真治さんの考え方はマジ掴み所がない……

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