44.VRゴーグル
「弦司喜んでくださいッ!」
「はい?」
部屋のドアを開けるなり開口一番こう叫んだのは、見た目は美少女中身はブレーキの壊れたダンプカー
男の娘の真風くんだ。
さらっさらの腰まで伸びた金髪にちょっと眠たげな大きな瞳
幼いながらも整った顔立ちに均整の取れたボディに長い手足
あちこち緩くてなんかチラチラと見えるワンピース。
まあ真風くんは可愛くても男の子ですから、色々チラチラ見えたとしても俺には何の影響も無い。
そのエロ可愛い真風くんが何か良いニュースを持ってきたようだ。
「弦司、何と僕のファースト写真集が完成しました!」
「おお!? おめでとう!!」
「早速見てください!!」
どれどれ……
おお!? これは、うーんなるほど、うんうんなるほどー! なるほどねぇ……
「肌色が多いね」
「弦司の為に頑張りました!」
「あ、ありがとうございます」
「弦司はいっつも大きくしていて痛々しいので! 僕を使って下さい!」
「痛々しいのはお互い様だろッ!!」
屈託の無い笑顔でさらりとセンシティブな問題に触れるなよ。
「で――もう一つ弦司にプレゼントがあるんですよ」
「コイツ無視しやがった……」
まあ真面目に拾われてもそれはそれで困るが。
「じゃーん! 弦司専用VRゴーグルぅ」
「弦司専用VRゴーグル?」
「ハイ、この新開発のスタンドアローン型VRゴーグルに、
僕のえっちなメイキング動画入れときました。
網膜認証で本人確認される試作品です。
まさに弦司専用品です! 更に従来品より軽量化もされています」
「おお? いやなんか凄そうだな」
「ハイ、軽量化により弦司の性癖に合わせたアクロバティックな姿勢も可能です」
「――お気遣いありがとうございます……」
「ハイ! 頑張りました!!」
邪気の無い笑顔を向ける真風くん。
努力の方向性……
いやでも、これ絶対なんか仕込まれているだろ……
視聴回数は当然の事、仮に使ったとしたらその回数とか……下手したら録画録音まで……
「これなんか仕込んでるだろ?」
「え? いや? そんな事しますんよ?」
明後日の方向を見ながらしどろもどろに答える真風くん。
「してるのか、してないのかどっちだよ!」
あの破壊力抜群の“肌色写真集”基準で更に“えっち”となると、理性が持つか……
……まっ人間だし。素直な感情は大事
「――真風、これを使ったとしても笑うなよ?」
目を丸くして驚いた顔をした後に顔を真っ赤にする真風くん。
「まー!? 待ってください弦司! やっぱそれ返してください!!」
「やっぱなんか仕込んでたんだろッ!!」
「……ごめんなさい……正直に言います。
それを使うと僕の会社のサーバーに情報が送られて、
バーチャル受肉弦司さんでリアルタイムに弦司の動きが再現されます。
音声付きで……」
――――!!?
じゃ、邪悪さが俺の想像をはるかに超えていた……
越えちゃいけない一線って言うのがあるだろ!
マジでムカついて来た。コイツ本気で犯してやろうか。
「ごめんなさい弦司……後で完全にスタンドアローンの物を渡します……」
はにかみ、ちょっと嬉しそうな顔して謝る真風くん。
「何でちょっと嬉しそうな顔してんだ! 真風面倒臭いな!」
「だ、だって弦司男らしい……それに僕を使うかもって……」
想像だけではない実感を伴った『使われるかも』と言う感覚に真風くんは戸惑っているかのようだ。
――――
子供とは言え一線を軽々と越えてしまった真風くん。
――私は絶対に許さない。
だがこいつが許そう。
えっちな物くれるらしいからな。




