35.ボーイズラブ、スタートです。
幼馴染との何十回目かの告白イベントを終えて。
春休みはあっと言う間に過ぎ去り。
俺、嫁兼 弦司は、食卓の座席に座り
自分の二の腕を見ながらうっとりとしていた。
「素敵……」
子供の頃から筋肉が余り付かない困った体質。
春休みの肉体労働で薄っすら付いた筋肉を飽くまで眺めているのだ。
「弦司、それ止めてください」
苛立ちを隠せないこの美少女は“男の娘”アイドルの阿我妻 真風くんだ。
見た目は美少女中身はブレーキの壊れたダンプカー。
性癖が歪んでる以外は天才らしい。
綺麗に染められた金髪は腰まで伸び。
幼さを残す整った顔立ち、ちょっと眠たげな大きな瞳。
均整の取れた痩身に長い手足、
纏うオーラはまさにアイドルのそれで非の打ち所の無い美少女だ。
その真風くんが言うには俺は『男の娘の天才』らしい。
俺に筋肉が付いて細マッチョになるのが気に入らないのだ。
真風くんは俺を男の娘アイドルに仕立て上げ、
百合カップルとしてデビューする野望があるのだ!
それって百合なんですか?
「まあ弦司は筋肉が付いても可愛いですけど、僕と結婚してください」
「うん、学校があるからね、また今度」
真風くんは過程を抜かして結果だけを言う所謂『天才語』を使う事がよくある。
常人より頭の回転が速すぎるのだろう。過程をスキップして結果に辿り着く。
時々何を言っているのか分からないが挨拶の様な物だ。
「弦司、朝ごはんを食べたら歯を磨いて僕の部屋に来てください」
「ごめん真風、今日から新学期だから早めに出ようと思って」
「――エー……ヤダー……じゃあもう寝ます……」
真風くんはテンションの上がり下がりが激しいのだ。
「ごめん、帰ったらY〇uTubeの配信手伝うから」
「――約束ですよ……」
すねる真風くんは年相応で可愛いい。
正直すごく可愛い。好きだ。
雰囲気に流されそうになる。
そんな言い知れぬ魅力が真風くんにはあるのだ。




