29.花見
「私を大事にして下さい……」
「うん――」
伏し目がちに真清は呟いた。
黄昏時の通学路、俺は文科系の部活で、真清は体育会系の部活の帰り。
日は落ちかかり、薄暗くなった時が俺達の帰宅時間だ。
文科系で融通が利く俺が、真清の帰宅時間に合わせる事になる。
「そうだな、大事にする!」
こうして俺に趣味に合わせてくれて、楽しい会話もできるし。
セクハラもある程度許容してくれる。
ありがとうな。真清
まあでも真清はマッスルすぎるよな。
守るべき可憐な花というより壊れようがないダンベルだな。
「フフン、オタク君こう言うの好きでしょ?」
「うーん……」
顎に手を当てて考え込んでしまった。
「おお? なんか見たこと無い表情してるね!」
真清が驚きの声を上げる。
「大事にしてないと思われていたのがちょっとショックだなぁ……」
「い、いや、せ、台詞!? あくまで台詞だからね?」
俺の愛を真清に伝えるにはどうしたら良いのだろうか?
日頃お世話になっている感謝の気持ちを“行動”で伝えたいね。
「サクラでも見に行こうか? 明日、お弁当用意して」
「お、いいじゃねーか、行くか!」
明日は土曜日で休みだ。晴れると良いが。
「明日は真清の慰労と言う事で飯とかの準備は俺がするよ」
「――それは……いや、うーん……待ってくれ脳内会議中……」
あ、愛が伝わらねー……
そこは素直に喜んで欲しい……




