28.デレない。
「君がしたい事していいんだよ?」
「うん……」
朝の出来事を引きずったまま夕暮れ時をとぼとぼと歩いていると、
真清がそう話し掛けて来た。
会話の流れから出た言葉ではないので、いつものネタ話なのだろうけど。
大幅に弱体化した俺の今の力では対応できそうにない……
今朝の弟ママから受けた『ペチぬる』のダメージから回復しきれていないからだ。
「フフン、オタク君こう言うの好きでしょ?」
「――したい事かー……」
「アレなんかテンション低い?」
「今朝、ちょっとショックな事があって」
「ふーん」
真清はそれ以上突っ込んだ話を聞こうとしなかった。
話さない限り無理に聞き出したりしない。
そんな距離感が心地良かった。
「あ、あのさ……俺……」
「話したくないなら無理に話さなくていいんだぞ?」
「うん……」
「さっきの話じゃないけど、弦司のしたい事していいんだぞ?」
真清ははにかんだような顔して笑い掛けてくれた。
「真清、悪いんだけど、俺のお願い聞いて貰っていいかな……」
「なんだよ水くせーな、あたしとお前の仲だろ?」
真清の笑顔を見ていると心底安心する。
子供の頃から見ている少年の様な笑顔だ。
「ママって呼んでいいか?、それと膝枕して欲しい」
「それは駄目ッ!!」
腕を交差させバッテンを作って心底嫌そうな顔をする真清。
即答……
真剣な話なんだが……




