22.アレ?
「一万円と二千円くれたら、愛、し、てるぅ~」
「……」
夕暮れが滞った街中、通学路に電灯がつき始めた頃
リップを塗った唇がやけに艶めかしい真清は上機嫌に歌い始めた。
悪くない――時事ネタだし、ヒ〇コーネタだよね。
結構好き……
でもダメー!!
円光ネタでしょ! 真清は似合い過ぎてるからダメー!!
NTR気分になるから不許可、駄目ったら、駄目ったら、ダメー!!
「フフン、オタク君こう言うの……」
俺の怒りのオーラを察してか真清は言葉尻を途切れさせた。
「弦司怒った?」
真清は俺の機嫌を伺う様に少し媚びた声を出した。
「いや、なんで? ニュースの話だよね? ゼンゼンオコッテナイヨ?」
「ホラ怒ってる、面倒臭い奴だな、ハッキリ言えよ!」
そう面と向かって「ハッキリ言え」と言われると気恥ずかしいな……
「なんだよモジモジして気持ちわりーな!」
こうなると真清は誤魔化せない。意を決して本音を言う。
「真清がお金で他の人と付き合うのが嫌と言うか……他人に取られる気分になるから……」
真清は少し考え込んで返事をした。
「――それって居もしない人への嫉妬?」
「嫉妬って言うか……そう嫉妬……」
真清は落ち着きを失くし、顔を触ったり、視線を辺りに漂わせた。
みるみる顔が紅潮し始める。
「ふ、ふ~ん嫉妬かぁ」
何故か少し嬉しそうな顔をする真清。
俺は真清を一生独占したいと思っている。
その為なら俺のすべてを投げ出しても構わない。
その決意を俺は素直に口に出した。
「俺は、俺の稼いだお金をすべて渡しても良いと思っている、だから一生傍にいてくれ!!」
「――ハイ……」
真清は真っ直ぐに俺を見つめて、素直に答えた。
子供を卒業して、何か覚悟めいた落ち着きを見せる女性の顔をしている。
綺麗だと素直に思った。
――アレ? これ普通にプロポーズ?




