109.フォトウェディング⑤
写真撮影が始まった。
真清は慣れない撮影に緊張してドギマギして自然な表情ができない様子だ。
目線をカメラに向けているので詳細な様子は見る事は出来ないけど。
『すごく真清を見つめていたい』
そんな欲望が頭をもたげる。
何か真清の緊張をほぐす方法はないだろうか?
うーん……ううーん……
考え込んでいるうちに真清がみるみると自然な明るい表情に変わっていく。
すごい綺麗だ。
結局俺は気の利いた事などできずに、真清は自分で持ち直した。
現実はこんな物なのかも知れないな。
「弦司ありがとうな」
「ん?」
真清が小声で俺にお礼を言った。
お礼を言われるような事は何もして無い筈だけど?
「難しい顔して、あたしの緊張を解こうと考えてくれたんだろ?」
「いや、それは……あーハイそうです」
「だからありがとうな!」
「俺は何もしてないよ」
「いいんだよ、格好付けた事なんて言わなくて」
「でも」
「隣であたしの事だけを考えてくれるだけでいいんだ。
実際に効果あるだろ?」
そう言うと真清は『ニシシ』と少年のような笑顔をした。
大人びた花嫁姿に似合わない笑顔がひどく懐かしく感じられる。
「俺は真清に甘えてばかりだな」
「今更だろ、弦司の甘えん坊は」
「そうハッキリ言われると答えに窮するなー」
「弦司の足りない部分はあたしがサポートするさ」
カメラのフラッシュが何度も瞬く。
カメラマンの気分のノリの良さそのままに回数が加速度的に増えていく。
「イイヨー!! 最高にイイヨー!!」
気難しい筈のカメラマンも今日の真清の美しさに大満足のようだ。
当たり前だろう。俺の自慢のお嫁さんです。




