108.フォトウェディング④
『お腹』『お腹』と何度も言われて『お腹』と言う言葉がゲシュタルト崩壊し始めた頃。
スタイリストさんに連れられたウェディングドレス姿の真清が厳かに現れた。
撮影スタジオの真っ白い壁に溶け込む様な純白のドレス。
普段と違いまとめ上がられた髪が大人びた雰囲気だ。
ティアラとベールが付けられていて可愛らしい。
胸元と肩と背中の肌色がドレスや壁の白さと対比して、浮かび上がった様に見える。
足元が見えないおおきく広がったスカートを緩やかになびかせながら。
真清はちょっと照れたような顔をしながらゆっくりとこちらに寄って来た。
「どう?」
真清は顔を赤く染めて、艶の帯びた唇を動かして俺に感想を求めて来た。
「お姫様みたいだ……」
幼い頃から見続けている、少年の様な真清。
今は生まれ変わった様にお姫様をしている。
さっきまでは昔と地続きで少年の延長線上にいたのに。
胸の奥からちょっと寂しさが湧いてきた。
その心の機微を敏感に察知して、真清が不安そうな声を上げる。
「変かな?」
「真清が綺麗すぎてな、ちょっと寂しくなった」
「ふーん? 男の子見たいな幼馴染が女の子してるから?」
「あー……うん」
図星。
阿我妻家は基本鋭い、嘘が通じない。
自分が本音や本心ばかり真っ直ぐに吐露するのは。
真清が俺の本心や本音を見抜いて来るからだと言う事を思い出した。
「綺麗だ。結婚したい。結婚して下さい」
「ハイ……」
何百回繰り返したか分からないやり取りをいつもと同じく繰り返した。




