102.鬼嫁
「取りあえずなんか飲みながら話さないか?」
「あーそうだな。なんか持って来るわ」
「サンキュー」
真清と和室で近い将来について話していたら喉が渇いてきた。
真清はまだまだ話題が尽きないようだ。
…………真清が来る前に畳の転がり心地を試しておくかな。
次真風くんと話し合いになった時必要だしな……
『ウォオオオオ!!』
俺は心の中で叫んだ!
実際に叫ぶ程には理性を失ってはいない。
腕を伸ばし秋刀魚の様に形になって部屋の隅から隅まで転がった。
それを三周繰り返したら流石に疲れた。
「フー……スッとしたぜ……」
「……また変な事して……」
「ま、真清いつからそこに!?」
「部屋の隅から隅に転がって『スッとしたぜ』と言っている所」
「これには深い訳が……」
「いーよ別に言い訳しなくても。
しかしこれが未来の旦那様だと思うと将来心配になるなぁ?」
そう口にしながら真清は嬉しそうにニヤニヤしている。
俺はもう笑うしかなかった。
「ふへ、ふへへへ」
「あは、あははは!!」
真清は笑いながらいきなり抱きついてきた。
「弦司は本当バカだなぁ!」
そう言うと俺を抱きかかえまま畳の上をゴロゴロと転がり始めた。
俺を抱きかかえたまま転がれるのは流石の膂力としか言いようがない。
「うわわ! 鬼や鬼がおる!!」
二人で抱き合ったままひとしきり部屋で暴走しまくった後
壁にぶつかり暴走は止まった。
真清が俺の上に覆いかぶさった状態だ。
真清が変に潤んだ目で俺を真っ直ぐに見つめる。
「弦司は本当に馬鹿だなぁ……」
と真清は呟いた後唇をそっと寄せて来た。
深く激しく口腔をなぞり真清を求めた。
真清が勢いよく口づけから離れる。
「ぷはっ、この前の真風とのやりとり見てたからなッ!」
「ん、んふふ」
俺の口からは変な笑い声しか出なかった。
顔が緩んで口の端が歪な形を作る。
俺は無性に部屋を転がりたくなった、胸が苦しい。
羞恥で身悶えを抑える事が出来ない。
真清が俺の顔面を両手で掴み、乱暴にキスをして来た。
俺の目から派手に涙が流れた。
――何で男の俺が泣かされてるんだよッ!!
クソッ!!




