にわ冬莉
5推し にわ冬莉
「やったあーーー!! やったよやった!!」
もうすぐ昼だというのに休みだからといつまでも布団にくるまってゴロゴロしながらケータイをいじってる琴葉が急に大騒ぎをしだした。
「何、そんなに喜んで、宝くじでも当たった?」
「にわ冬莉さんの作品が読者特別賞を獲ったのよ!」
「なに? ニワトリがなんだって?」
「え、何? もしかしてにわ冬莉さんを知らない? え、ウソでしょ。それでも私のママですか?」
「スミマセン。不勉強で」
『にわ冬莉』とは
様々なサイトで活動するWeb小説家。その作品は必ず読者を笑わせにくる。シリアスな話だろうとエッセイだろうと何だろうととにかく、どこかで笑いを取りにくる。そこがいい。
琴葉は彼女の作品が高く評価されないのはおかしいと思っている。絶対にいつか誰かが彼女の才能を買う。そんな編集さんは必ず出てくるはずだと思うのだ。
「その、にわ冬莉さんが読者特別賞を獲ったの! めでたいから今日のお昼は寿司がいい!」
「そうなんだ。ノベルアルファにもいる?」
「いるいる。だいたいほとんどのサイトにいるから」
「で、お昼は寿司がいいのね。『魚bay』でいいよね。近いし」
「やったー!」
「遥には内緒よ。2人で寿司行ったって知ったら怒るから」
「りょーかい!」
遥は琴葉の妹だ。妹も働いてて実家暮らし。今日は普通に仕事に行ってるので夕方までは帰ってこない。
「ま、アンタは寿司屋行っても安上がりなのばかり食べるから助かるわ。どーせまたナス食べるんでしょ?」
「魚bayのナス美味しいから好き」
実はナスを食べるようになったのもこの仕事がきっかけだった。某ロゼさんという小説家さんが回転寿司なら魚bayのナスが一番美味しい。大好き。行けば2皿は食べる。と言っていて。
(正気か?)
と思いつつも確認のために食べてみたのが始まりだ。今では琴葉も行けば2皿はナスを食べる。
「じゃあ、そうと決まったら早く起きて着替えなさい。いつまでも布団に入ってたら洗濯物干すのに邪魔だから」
「え、まだ干してなかったの」
もうすぐで正午である。
「仕方ないでしょ。昨日寝ないで3時までWeb小説読んでたんだから。寝坊したのよ」
仕方ない要素は何もなかった。けど、読み始めたら止まらなくなるのは分かる。Web小説は面白い。
「何でWeb小説って無料で読めるのかしらね。おかげでママは毎日忙しいわ」
「忙しい所悪いけど、にわ冬莉さんの作品も読んでみてね。絶対好きになるから」
「分かった。あとで読むね」
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──
「ぶはっ! オモロっ! ブクマしなきゃ!!」
こうして、糸井川貴子の寝る時間は今日も遅くなるのであった。
にわ冬莉。どうしても読者を笑わせたくて仕方ない、根っからの笑わせ屋。読者特別賞受賞おめでとう!
にわ冬莉
主な活動サイト
カクヨム
その他各種サイトで活動
カクヨム読者特別賞受賞
これは2025年2月に書いたものです。
その後彼女はカクコン10短編賞を受賞します。




