第145話 三人VS三体《Sword&Beast》
「あの子を発たせてしまったのですから、空中には逃さない……!」
“暁闇燦めく明星”――“グラム”が蒼銀の魔力を纏いて大刀と化す。
更にそこからの兜割で、空中に逃れようとしたアンドラスを上から押さえ付けていく。
「■■■■■――!」
そうしてセラの“グラム”と三叉槍が鍔迫り合い、アンドラスが急降下していく中、奴が跨っていた巨狼が咆哮。
互いに両手が塞がっていることもあり、セラへと牙が伸びていくが――。
「“追憶哭く深淵”――」
白の少女が翡翠を纏った薙刀で巨狼を小突き、アンドラスを横転させる。
ぼさっとした様子は相変わらずだが、打って変わって攻撃は鋭い。
何より、薙刀という対象物に自らの魔力を付与、その後増幅させた一撃の破壊力には、非凡なものがあると言わざるを得ない。流石にあのトンデモ連中の仲間というところか。
「魔法と魔眼の融合って意味なら、他の三種よりも上かもな……」
“恤与眼”と“叛逆眼”とでは、根本的に能力の質が違うのは言うまでもない。
比べるべくは、“無限眼”と“天召眼”。
いや正確には、自身の魔力自体を倍増させる“無限眼”より、元有る魔力に能力を加える“天召眼”の方が近いというべきか――。
まず出力の上昇度合いとしては、“天召眼”の方が上。
反面、能力が際限なく進化してしまう“天召眼”は、制御が覚束無いという致命的な弱点を抱えていた。エゼルミア陛下の魔眼が常時発動状態であるというのが、その証明となっているだろう。
それに比べて、“恤与眼”は安定そのもの。
恐らく能力を発動して対象物に魔力を付与。
そうして対象物の魔力が増幅した状態で魔法自体を発動する――という、他よりもワンクッション挟んだプロセスで攻撃を放っているから。
余所から喰らった力を高める。
自らの力を激増させる。
対象物を直接進化させる。
ピーキーな三種より瞬間出力は劣るが、その分安定して扱いやすいというところか。
「これでも斬れない。流石に硬い……」
「あら、鈍らですか?」
「ムカつく……」
セラと共に倒れたアンドラスに追撃していく白の少女を横目に、彼女の力の一端を垣間見た瞬間だった。
「ちっ、そう慌てるなよ!」
「■、■■!!」
対して俺は、二刀を以て、迫り来る直槍と二叉槍を捌いていた。
超然としすぎていて判断し辛いが、三体の神獣種は明確にこちらを排除しようとしているのは見て取れる。なら、突破口を切り拓く為には、神獣種を各個撃破していく――というのが定石だろう。
故に俺が二体を抑えている間に、セラたちが孤立させた一体を撃破。それを繰り返していけば――。
「しかし命がけの鬼ごっことは、物騒極まりないな」
瞳の十字が六芒星を刻み、蒼穹と黄金が宿った眼で己の力を底上げ。
二体の神獣種を相手取って斬り結んでいく。
「■、■■■!」
更に“慟哭の刃雫”――黒翼を纏いて、アイムの毒液を刃の雨で突き破る。直後、漆黒の剣群が神話の怪物に突き刺さった。
「流石に神獣種、決め手にはならないか……」
攻撃の交錯で威力が減衰していたとはいえ、“禁忌魔眼・解放”状態の攻撃でも、その足は止まらない。
むしろ、薄紫の魔力を纏った二叉槍の穂先が迫り来る。
「■■■!」
独立した左穂先の輪郭に“デュランダル”を宛がい、互いの刀身を滑らせる形でアイムの側面を抜けていく。無論、並行して魔力の吸収も忘れない。
だがその先には、エリゴスの直槍が待っていた。
「■■、■――!!」
“天柩穿つ叛逆の剣”――“レーヴァテイン”に漆黒を纏わせ、今度は直槍の側面に刃を奔らせて攻撃を受け流す。
「大したパワーだ。でも……ッ!」
そのままエリゴスの側面を抜けて連中の背を取った瞬間、急速反転。
黒翼を巨大化させ、再び刃の雨を解き放つ。
神獣種の魔力を存分に喰らった一撃。その威力は先ほどまでの比ではない上に、更に近距離での一斉掃射。
そして、次々と咲き誇る爆炎の華が空を彩る。
「積もるお話もありそうですし、お客様にはそろそろ退席して頂きたいのですが!」
「私は何も喋らない……」
更にその直後、蒼銀の大刀と翡翠の砲撃が戦場を揺るがした。
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