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不承転生者の魔法学園生活  作者: ウバ クロネ
【第2.5章】イグノ君、ハーヴェンにお迎えされる
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2.5−2 お子様にはまだまだ早い話

 とんでもない阿呆だな、コイツは。

 彼女は確かに、そう言った。空耳かと、思いもしたけれど。どうも……聞き間違いでもないらしい。


(まさか、本当に俺のことを阿呆って言ったのか? そこの悪魔じゃなく⁇)


 ハーヴェンと思しき悪魔の肩の上から、美少女がクールな眼差しでこちらを見つめている。う〜ん。やっぱり、この視線からするに……彼女は俺の事を阿呆って言ったんだろうか? もしかして、ツンデレ? ツンデレ属性なのか、この子は。


(初対面から、阿呆だなんて……デュフ! よもや、Sっ気があるのかな? 強気なツンデレおなごも堪らん!)


 しかし、さぁ……見れば見る程、本当に可愛い顔をしているんだよ。大きなブルーの瞳に、キラキラと輝く金髪。シルヴィアちゃんのゴージャスウェービィヘアも捨てがたいが、こちらの美少女ちゃんのクルクルヘアーもキュートじゃないの。


「ふむ……磨けばますます光るタイプか……」

「……磨けば光る? それはどういう意味だ?」

「もちろん、君との将来設計の話だが?」

「はっ? 私との……将来設計? それこそ、意味が分からんのだが……」

「まぁ、お子様にはまだまだ早い話だよな。別に、構わんよ。君も大きくなれば、自然と分かることさ。フッ」

「……」


 今から囲って、自分好みに育てるのも悪くないな。現時点で、これだけ可愛いんだもの。きっと、超美人に育つに違いない!


「あ、あの……イグノ君? 何か、勘違いしているようだったら、悪いんだが……。彼女は俺の嫁さんなんだ。それで、子供でもなくてな。これで、700歳くらいの大天使様なんだけど……」

「嫁に、700歳だと? どう見ても、子供じゃないか! そんな言い訳、通用すると思っているのか? このロリコンが!」

「いや、俺はロリコンでもないし、今のは言い訳でもなくて……って、ルシエル? ルシエルさん……? もしもーし……」

「私が子供だと……? それは随分と、面白い冗談だな……?」


 ……あれ? 何をそんなに怒っているんだい? えぇと、まさか……。


「痴れ者がッ! 旦那を侮辱した上に、私を子供扱いなぞしおって……! 貴様のような無礼者は、ここで粛清してくれる! 我の元に来たれ……ロンギヌス!」


 シュタッとハーヴェンから降りた彼女の背には、輝く8枚の翼。えっとぉ……ハーヴェンの嫁って設定、冗談じゃなくて、ホントの話だった? この子、人間じゃないっぽい……?


(よく分からんが……これは明らかにマズいヤツ! 確か、ロンギヌスって……)


 大抵のファンタジー世界では、伝説の武器的なポジションだった希ガス。天使らしき彼女の手元では、完全に伝説の武器っぽい黄金の槍が「キュイィィィン」とか言いながら、光り始めたんだが……。


「ルシエル! ルシエルッ! とにかく、落ち着けって! こんな所で、ロンギヌスを使っちゃダメ!」

「問答無用! そこを退け、ハーヴェン!」

「いやいやいや、待って! 本当に待って! こうなったら……」


 こうなったら……どうなるんだ⁉︎ 俺、助かるんだよな⁉︎


「ルシエル、今すぐ武器をしまいなさい! 言うことを聞かないと、夕食のデザートは抜きにします!」

「えっ⁉︎ い、いや……それとこれとは、別の問題だろ⁉︎」

「いいや、別の問題じゃありません! ルールを守れない悪いお嫁さんには、デザート抜きの刑を執行します!」

「く、くぅぅ……デ、デザート抜きは……イヤ、かも……」


 ハーヴェンの宣言に、怖い顔をしていた天使ちゃん(仮)がヘナヘナとしょげていく。余程、デザート抜きが堪えると見えて、槍を片手にイジケ出したじゃない。しかし……。


(ブフォ⁉︎ 怒り顔からのいじけ顔、バチクソ可愛いな⁉︎ これぞ、ロリの醍醐味! あどけなさ、マックス! アドレナリン、ブッチギリ!)


 脳汁もダヴァダヴァよ、シャバダバ・ドゥ!


「し、仕方ないな……ここは旦那に免じて、許してやる! だけど、次はないと思えよ、愚か者が!」


 それにしても、本当に天使……なんだよな? ハーヴェンの言いつけ通りに、武器をしまってくれたのはよかったんだけど。そのままヤツの肩に戻られると、やっぱりどこをどう見ても子供にしか見えないんだが……。


「あぁ……イグノ君、驚かせてゴメンな。実は、俺だけでお迎えに来るつもりだったんだけど……」

「は? お迎え……?」

「うん。ほれ、俺の一存で君を預かることになったから。責任を持って、本校までご案内しようかなって、思って。でも、嫁さんが付いてきたいって、言い出してな……」


 そうして、チラと天使ちゃんに視線を送るハーヴェン。一方で、天使ちゃんはヤツの耳をニギニギしながら、こちらを見下ろしている。しかし……妙に目が据わっている気がするんだが。


「……シルヴィアを困らせている阿呆がどんなツラをしているのか、興味が湧いてな。しかし……なるほど。さっきのでお前が阿呆どころか、非常識で救いようもないクズだという事も理解した。……これで神の御子を名乗られたら、女神の評判が落ちるのも当然というものだ」

「女神の評判が落ちる? いや、それは俺のせいじゃないでしょ。魔法を楽して使えないようにしているのが、悪い! 俺は絶対に悪くない!」


 大体、さ……この世界はどうなってるんだよ⁉︎ 俺は転生者だぞ、転生者! チート能力で「俺TUEEEE!」をする権利があるはずなのに! 努力しないと魔法が使えないとか、何の縛りプレイだよ! い、いや、確かに? 可愛い女の子に罵られたり、美少女にツンツンされるのは嫌いじゃないけど? 難易度を上げるタイプのプレイは求めてないんだよ!


「大体、どうして女神様に選ばれたのに、わざわざ努力をしないといけないんだ! 評判を落としたくないんだったら、俺をもっともっと強くしてくれよ! そうすれば、大活躍してやるから!」

「えぇと、イグノ君? 大活躍するのも大切だけど、ちょっとくらいは努力しよう? 折角だし、一緒にがんば……」

「頑張るなんて、ゴメンだね! 努力なんて格好悪い事、絶対にしないからな!」


 よし、言ってやったぞ。悪魔にも堂々と意見を言うなんて、俺ってば、勇敢すぎるだろ。 


「うーんと……」

「……ハーヴェン、もういい。話すだけ、無駄なようだ……。このまま学園へ戻るぞ。……こいつを強制送還するのが、今回の任務だろう」

「それはそうなんだけど……」


 それにしても……どうして、こいつは悪魔の姿をしているんだ? まさか、俺をビビらせるため……か?


「フン! 図体がデカくても、大した事ないな! どうせ普段の姿に自信がないから、そんな格好してるんだろ?」

「えぇと、そうじゃなくて……」

「……ハーヴェンの姿は、私のリクエストだが?」

「えっ?」


 と、なると……天使ちゃんは、意外とゴツいのが好きな感じか?


「ハーヴェンのモフモフは、触り心地も最高でな。しかも、肉球もプニプニで、鼻はしっとりツヤツヤなんだぞ! ここまでの癒し要素が揃っているのだから、堪能させてもらうのは当然だろう!」

「それを、当然で済ませないでくれないかなぁ……。まぁ、ルシエルの癒しになるんなら、いくらでもモフらせてやるけど……」

「ふふっ。分かっているじゃないか!」


 あらヤダ、可愛い。しかし……その笑顔が向けられるのが、俺じゃなくて化け物なのが、とっても残念だなぁ。


「それはそうと、イグノ君。準備はできているかな? 忘れ物はない?」


 そうして、そんな化け物……ハーヴェンが馴れ馴れしく話しかけてくるが。……どうして、そこでお前なんだよ。どうせなら、女の子に喋らせろよ。

 

「ハッ、無論できているに決まっているだろう!」

「う、うん……そうか。それじゃ、行くとしようか。皆さんにもお別れは済ませた……で、いいのかな? 執事さんも、大丈夫そう?」

「もちろんでございます。トットと連れて行ってください」

「あっ、承知しました」


 ホーランドの奴……最初から最後まで、本当にムカつくヤツだな。そんでもって、ハーヴェンも取って付けたような返事をするなよ。


(ま、まぁ、いい……俺の真価はこれから発揮されるんだ。こいつらなんぞ、相手にする価値もない)


 後から泣きついたって、絶対に助けてやらないんだからな。そもそも、ハーヴェンのチートを奪う目的もあるし、本校への移動は好都合アーンド必然! フハハ! だから、悔しくなんかないぞ! 悔しくなんかない! 俺というビッグを手放した、その判断が間違っていたことを……存分に思い知らせてやるぜ。

【武具紹介】

・ロンギヌス(光属性/攻撃力+262、魔法攻撃力+183、魔法防御力+90)

調和の大天使に与えられる、神具の1つ。

マナの女神が自らの髪から作り出した武器で、金色の輝きを放つ聖槍。

攻撃性能、魔法効果共に優秀な武器だが、最大の特徴は光属性の攻撃魔法・ライトニングスターを自動的に発射、追撃までもこなす点にある。

しかしながら、追加効果のライトニングスターは持ち主の魔力をしっかりと消費するため、過信は禁物。


【魔法説明】

・ライトニングスター(光属性/中級・攻撃魔法)

「星屑を集め 裁きの輝きとせん 滅殺せよ ライトニングスター」


追尾型の光弾を放つ、攻撃魔法。

単発でも3〜8弾を発射し、一度に複数の相手にダメージを与えることができる。

また、放たれた光弾は相手を自動的に捕捉するため、照準合わせの概念構築を必要としない。

その反面、複数の相手がいる場合、狙った対象に攻撃できないことと、最低限の発動でも複数弾が発射されるため、無駄に魔力を消費しがちな欠点がある。

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