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不承転生者の魔法学園生活  作者: ウバ クロネ
【第1.5章】イグノ君は問題児
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1.5−3 迸るパッション、溢れるエモーション!

「はい、お待たせ。選考試験は一般的な内容でいくぞ。あの的を的確に、必要な分だけ壊してくれるかな?」


 ハーヴェンとやらが、したり顔で用意した的を見つめながら……今回こそは行けると、俺は確信していた。

 本来は2人1組で行われるはずの、選考試験。しかし……そもそも、俺が落選したのは相方に恵まれなかったからだ。あの結果は絶対に俺のせいじゃないと、断言できる。そんな選考試験をこうして1人で受けさせてもらえれば、本校への切符も手にしたも同然ッ!


(しかし……内容はこの前の試験と一緒か……。そもそも、直接対決じゃない時点で……)


 やはり、このハーヴェンは実力もないくせに、特殊祓魔師を名乗っているのか。これは、あれだな? 俺がズバッと活躍して、こいつの悪事を暴くイベントなんだろう。そして……アレイル先生との恋愛ルート突入の流れか!


「直接対決じゃないのは、残念ですが……フッ、まぁいいでしょう。俺の華麗な魔法を、存分に見せて差し上げましょう!」

「いや、今回の目的は君の魔法を見せてもらうんじゃなくて……まぁ、いいか。とりあえず、お手並み拝見と行こうか」


 いちいち、煮え切らない奴だな。そう言えば、さっき「判断能力の考査」とか言っていた気もするが。


(要するに、あの的を全部壊せばいいんだよな? 赤いのが4つに、青いのが1つあるみたいだが……カラフルな方が気分が上がるってことなのか? ……分からん……)


 ……フン、別に難しいことはない。全部丸っと、燃やしてしまえばいいだけだ。何も考えなくたって、俺が最強なのは間違いない!


「紅蓮の炎を留め放たん! 魔弾を解き放てッ! ファイアボール……ありったけッ!」


 ズババババッと、派手な轟音を響かせ、俺の灼熱魔法が全てを凌駕するッ! 迸るパッション、溢れるエモーション! さぁさぁ、俺の情熱……君のハートに届いちゃって!


「……う、うん……威力は申し分なさそうだが……」

「これでは……話になりませんよね、ハーヴェン様」


 ほれ、見たことか。アレイル先生もお前は話にならないって、言ってるぞ? 渋らずに、俺の実力を認めたまえ。


「そうだな……もうちょっと、試験の選考基準を説明した方がよかったかなぁ……」

「いえ、他の生徒はそこまで説明せずとも、きちんと理解していました。……それに、本試験ではイグノ君の方がペアの生徒の足を引っ張った部分もありましたし。まだ、選考中ではありますが……彼の方は本校へ登学させようかと考えております」


 えっ? ちょっとアレイル先生? なんで、そんなに怖い顔で俺を見つめてるの? しかも……今、俺の方が足を引っ張ったって、言った?


(はぁ⁉︎ そんな、バカな! これだけの華麗な魔法を見て……どうして、俺の実力を認めないんだ、こいつらは⁉︎)


 それは聞き捨てならないな? いくら、将来の俺のハーレム要員だったとしても……言っていいことと、悪いことがあるぞ?


「う〜ん、そうだったのかぁ。しかし、アレイル。……それ、本人の前で言ったら、ダメだろう?」

「このくらい言わないと、理解してもらえませんから。……ここまでの問題児、私としても頭が痛いですわ」


 しかも、俺が問題児だって……? 嘘、だろう? いやいやいや、俺のような優等生が、どうして問題児になるんだよ⁉︎


「えっと……イグノ君。一応、結果はお伝えするけど……。申し訳ないが、君は不合格だ。与えられた課題の内容も吟味せず、全てを燃やし尽くした時点で……魔術師はともかく、特殊祓魔師の適性はないと、俺達は考える。それはつまり、特殊祓魔師の育成機関でもある本校への招待もないと言うことだ」

「だから! どうしてそうなるんですか⁉︎ 特殊祓魔師って……強い魔術師の事を言うんですよね⁉︎」

「……本当にこの子は……今までの授業、寝ていたのかしら……」

「まぁまぁ、アレイル。相手はまだ子供なんだから。これから先、グングンと伸びる可能性もあるだろうし……うん、折角だ。ここで、俺からも改めて特殊祓魔師とは何か、説明しておこうかな?」


 そんな説明はいらん! ……って、言いたいトコロだけど。アレイル先生をこれ以上失望させるのは、イベント進行的にもよろしくないと見た。……仕方あるまい。折角だから、聞いてやろうじゃないか。


「特殊祓魔師とは、知っての通り……深魔鎮静化を任務とする、高レベルの魔術師のことだ。まず、ここまでは大丈夫かな?」

「もちろんです。俺の事、ナメてるんですか⁉︎」

「いや、そういうつもりはないんだが……それじゃぁ、次。しかしながら、実際には……深魔の鎮静化に必要なのは、攻撃魔法よりも補助魔法であることも多い。もちろん、魔物と遭遇するケースもあるから、攻撃魔法が使えるに越したことはないんだけど。安全に迷宮を進み、ターゲットを助けるという局面では、攻撃魔法よりも補助魔法を深く知っている必要があるんだ」

「そ、そうだったのか……?」


 ……ちょっと待て。補助魔法なんて、地味な魔法……使えなくてもいいと思ってたんだが。


「アハハ、炎属性の魔術師だと、攻撃魔法を使いたくなるのも分かるさ。派手だし、格好いいからな」

「そうですよね! やっぱり、攻撃魔法は使っていて気持ちいいし!」

「うん、そこは否定しない。だけど、何もかもを攻撃していい訳じゃないんだぞ?」

「えっ?」


 オイオイ……俺の意見を認めた割には、やっぱり中途半端だな、こいつ。結局、何が言いたいんだよ……?


「はい、ここまで説明したところで……さっきの的割り試験のポイントを伝えるぞ? さっき、暫定的に5つの的を用意したが……その中で、気づいたことはなかったかな?」

「いや、特に……強いて言えば、赤いのと青いのがあるくらいか……?」

「……しっかり、気づいているじゃないか。じゃぁ、その色分けの意味は考えたかい?」

「別に。全部燃やせばいいと、思いました! 男は黙って、破壊あるのみ!」

「そ、そうか……う〜ん。やっぱり、きちんと説明するべきだったかなぁ。……実はな。あのカラーリングは敵と味方とを分けたものだったんだけど……」

「はい? いや……そんな説明、ありませんでしたよね⁇」

「うん、敢えて説明していない。だからこその、判断能力の考査な訳だし」


 くそぅ……試験だったら、そこはきちんと説明するべきだろうが、このヴォケが! それが分かっていれば、俺だって……。


(……いや、ちょっと待て。……青を避けて、赤だけ燃やすって……無理じゃね?)


 あんなに密集している状況で、どうやって赤だけ攻撃するんだ? まさか、不可能なことをやらされていたのか、俺は……?


「はっ! もしかして!」

「おっ、気づいてくれたか?」

「さっきの試験は俺を陥れるためのものだったということか⁉︎ 俺とアレイル先生の恋路を邪魔するために……!」

「……」


 フッ、驚き過ぎて声も出ないか。さては……図星だな?

【魔法説明】

・ファイアボール(炎属性/初級・攻撃魔法)

「紅蓮の炎を留め放たん 魔弾を解き放て ファイアボール」


炎属性の基本とされる攻撃魔法。純粋な炎を操るタイプの攻撃魔法は、このファイアボールを基礎としていることが多い。

その名の通り、火の玉を発生させて相手にぶつけるだけの魔法ではあるが、錬成度を高めることで炎の温度を上げたり、同種多段展開によって弾数を増やすこともできる。

錬成度を最大まで高めると炎色が青に変化し、攻撃範囲も拡大するため、初級魔法と言えど応用次第では強敵相手にもしっかりと効果を発揮する魔法である。

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