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不承転生者の魔法学園生活  作者: ウバ クロネ
【第6章】囚われの王子様
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6−11 目立つのは不可避

 何故か、授業中に息を潜める羽目になったミアレット。それでも、2日目の授業も無事に終わり、とりあえずは一安心である。しかも、2日目の授業も説明ばかりと見せかけつつ、しっかりと生徒達の「夢と希望」もフォローしてくれるとなったらば。明確な指標が欲しいミアレットにとっても、非常に充実した内容であった。


(どんな魔術師になりたいのか……かぁ)


 2日目の最後にマモンから投げかけられたのは、「自分がどんな魔術師なのか」とは別に、「自分がどんな魔術師になりたいのか」を考えるというお題だった。自分の適性を知る事も大事だが、自分の理想を叶える方が楽しいに決まっている。そして、楽しい方が断然、やる気も出るってもんで。……そんな理念の元、彼は「どんな魔術師になりたいか」のアンケートを取り、今後の参考にするとも言っていた。


「……それじゃ、俺は学生寮に戻るから。明日もよろしくな」

「うん、また明日」


 廊下に出たところで、ミアレット達の行く先とは逆方向を示すイグノ。彼は本校の学生寮を利用しているため、エントランスに出る必要もなく、そのまま自室へと帰っていく。


(イグノもようやく、落ち着いたって感じかしらね。……授業中に大騒ぎしなかったし)


 イグノの背中を見送りつつ、ミアレットは彼の変化にクスリと微笑む。

 ハイエレメントの話が出た時に「俺こそは!」と名乗りを上げると思っていたのだが、意外や意外。余程に「見習い」を脱却したいのか、イグノはいつになく真面目に授業を受けており、表面上はおかしな動きはしていなかった……と思う。


「それにしても……あぁぁ。今日の授業も濃厚だったかもぉ……」


 魔法の習得スタイルと、個人に合った勉強方法。魔術師の数だけ存在するそれは、ただ漠然と模索できるものでもないだろう。授業内では大枠の説明に留めていたマモンであったが、ちょこちょこ挟まれる魔法理念の解説はミアレットにとって興味深いと同時に、難しくも思えた。


「明日は訓練場で授業だったわね。ふふ、どんな感じなのか、楽しみだわ。それと……この後、どんなレポートをくれるのかも」

「それもそうね。マモン先生、個別にアドバイスをくれるって言ってたし……気になるわよね」


 先の授業でも「データ収集は適切な勉強法を提案するため」と言ってはいたが。マモンは冗談抜きで生徒1人1人に合った勉強法を考えるつもりらしく、アンケートの結果も踏まえて、個別に「オススメの勉強方法」の提案レポートを全員に送ると言い出した。……常々、サービス精神が旺盛だと思っていたが。ここまでくると、生徒達の面倒を見るのが趣味なのではなかろうかと、ミアレットは勘繰ってしまう。


(……マモン先生って、どんだけ仕事をするつもりなのかしら……。全員分って……)


 悪魔男子達は基本的に、ワーカホリック気味である。しかも、なまじ能力が高い上に、細かいことに気づいてくる部分もあり……自然と世話を焼きたがる性分になってしまう様子。マモンはいつ休んでいるのだろうと、ミアレットは思うものの。相手は人間とは生物的な次元も異なる、大物悪魔である。……そんな心配はそれこそ、お節介かも知れない。


「それじゃ、私はこっちだから。ミアレット、また明日ね」

「うん、また明日。エルシャ、バイバイ」


 カーヴェラに帰るエルシャと別れ、ミアレットが待ち合わせ場所のエントランスに出向いてみれば。今日はディアメロの方が先だった様子。キュラータを側に控えさせたディアメロが優雅な様子で、ソファに深々と腰をかけているが……。


(うぁ……ディアメロ様の周りが心なしか、キラキラして見えるぅ……!)


 身近になりすぎたあまり、忘れかけていたが。ナルシェラとディアメロは、それはそれは「The・王子様」な雰囲気を纏っている生粋の貴人である。学園のローブを着ていても、滲み出るお高級感は霞むこともなく。むしろ、服装が質素な分、素材の良さが際立っている気がすると……ミアレットは軽く目眩を覚えた。


「ミアレット様、大丈夫ですか?」


 額に手を当てて、少しばかりクラリとするミアレットに、背後に控えているカテドナが心配そうに声を掛ける。

 なお、カテドナは授業中は別の場所(主に副学園長室)で待機しているが、授業が終わる頃を見計らって講堂まで迎えに来てくれていた。彼女曰く、ミアレットの送迎は「専属メイドとして、当然です」との事であったが。護衛を自負しているせいか、何かにつけ過保護になりつつある。


「いや、私は大丈夫なんですけど。ちょっと、目立ちすぎていると言いますか。……ディアメロ様をエントランスでお待たせするの、やめた方が良いかなぁ……」

「あぁ、そういう事ですね。確かに、ディアメロ様はお顔立ちも整っておりますし、所作も洗練されておいでです。やはり、王族は伊達ではありませんね。……普通の貴族とは、明らかに存在感も違いますし。目立つのは不可避かと」

「カテドナさんも、そう思います?」


 えぇ、非常にそう思います。

 静かに、それでいて断固として。カテドナが力強く頷くが。そこはできれば否定してほしかったと、ミアレットはつくづく思う。


(あぁぁ……マモン先生の周りもそうだったけど……ディアメロ様の周りも、同じになりつつあるぅ……!)


 この魔法学園、女子の割合が高いんだろうか。ミアレットが思わず訝しんでしまう程に、遠巻きながらもディアメロを見つめる視線の、多いこと、多いこと。……できればディアメロにも目立って欲しくないミアレットとしては、あまりよろしくない状況である。


「アハハ……お待たせしました、ディアメロ様」

「うん、少し待った。でも、ミアレットには授業があるのだし、仕方ないだろう。それにキュラータのおかげで、待つのも苦じゃないし……気にするな」

「キュラータさんのおかげ……?」


 周囲の注目を浴びつつ、いつまでもお待たせする訳にはいかないと、ミアレットが声をかければ。意外な答えがディアメロから返ってくる。


「キュラータが僕に合った魔導書を用意してくれてな。これを読んでいれば、退屈も凌げるし……何より、非常に興味深い内容なものだから。むしろ、このまま読んでいたいくらいだ」

「そ、そうですか……」


 ディアメロの答えを受けて、ほんのりと微笑みつつ、キュラータが軽く頭を下げる。……ディアメロは単身でも目立つが、完璧な執事然としたキュラータがいることで、ますます貴人っぽさに磨きがかかっている気がすると、ミアレットはまたも軽く目眩を覚えた。


「ところで、ミアレット」

「どうしました、ディアメロ様」

「……そちらはお前の知り合いか?」

「ほぇっ?」


 ディアメロの指摘に、間抜けな声を出しながらも……慌てて、振り向くミアレット。そうして振り向いた先には……鋭い視線でこちらを睨め付ける、ややぽっちゃりした赤髪の少年が立っていた。

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― 新着の感想 ―
モッテモテのディアメロ様(笑) キュラータさんも控えているのなら、めっちゃ目立つ!(笑) 赤髪の少年?
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