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旧陸軍の天才?に転生したので大東亜戦争に勝ちます  作者: 竹本田重郎


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第75話 リーの失策

=リー艦隊旗艦『ワシントン』=




「なんだと! ニューヘブリディーズ諸島が危険と言い、ソロモン諸島に砲火力が必要と言われ、やっと出撃したと言うのにか!」




 米海軍はソロモン諸島攻略戦に苦戦を強いられていることに業を煮やした。ガダルカナル島の日本軍守備隊を殲滅せんと大兵力を上陸させたい。有力な航空隊が健在なために重爆撃機の被害も続出した。遂に無視できない範囲に突入する。敵飛行場を一日で破壊出来る砲火力に空襲を耐え切る重装甲に期待された。ウィリス・A・リー少将の戦艦部隊に出撃が命じられる。




 彼は新鋭戦艦のノースカロライナ級『ノースカロライナ』と『ワシントン』、サウスダコタ級戦艦『サウスダコタ』と『インディアナ』を贅沢に預けられた。これだけの大戦力を吐き出しても低速戦艦が数だけは健在である。ハワイを守り切るだけの戦力は予備と残すことができてミッドウェーに来ようとB-17とB-24が大歓迎するだけだ。




「インディアナは停泊中を狙われました。高高度からの水平爆撃により着底しています。敵機はB-17とB-24に匹敵する重爆撃機でP-38の迎撃は間に合わず…」




「私の大失策だ。インディアナは連れてくるべきだった。私の責任である。ハルゼー提督に顔向けできない」




「提督の責任ではありません。敵機の侵入を許した陸軍の奴らです。レーダーも完備してカタリナを飛ばしているにもかかわらず」




「そうです。ここは陸軍に押し付けてやりましょう。我々は日本軍を叩きのめすのみ」




「すまないね。インディアナの仇を討たねば」




 ニュヘブリディーズ諸島というバヌアツからソロモン諸島に向かう。その道中で急報を受け取った。エファテ岬に停泊中のインディアナが日本軍重爆撃機の水平爆撃を受けて大破と着底する。リー少将は自信満々の様子から一転して己の失策を痛感せざるを得なかった。




 インディアナは最も若い戦艦な故に兵士の練度も不足気味である。艦内各所の調整も済んでいなかった。最新鋭の戦艦はダメージコントロールも優秀であるが、これを扱う兵士がルーキーでは誤操作の危険が残され、万が一にも注水を誤って傾斜を増すようなことがあってはならない。リー少将は合理的な決断としてインディアナは艦隊の後ろに続く輸送船団の護衛に充当した。船団護衛任務を通じて習熟度を高める。彼女を守るためにも護衛空母を要請して到着を待った。残念ながら、護衛空母が到着する前に想定外の空襲を受けている。それも高高度からの一撃で敢無く無力化され、サルベージ作業から本格的な修理を鑑みると、最低でも1年間は戦力に加わることを許されなかった。




 リー少将以下はインディアナの敵討ちに闘志を燃やす。彼らは知らなかった。すでにフィジーとサモアが奇襲より陥落している。バヌアツにも魔の手が迫っていた。彼らが帰るべき所は消えているかもしれない。それでも、ソロモン諸島を目指すしかなかった。




「敵の陣容は?」




「暗号解読を進めていますが、例のヤマトクラスは確認できず、後方拠点に待機しているかと」




「英海軍の戦艦を2隻を屠った。いつか砲戦を交えたい」




「ヤマトクラスの代替にコンゴウクラスが出てきます。日本海軍も老齢戦艦を捨て駒に等しくしている…」




「それは間違った認識であるぞ。コンゴウクラスは巡洋戦艦だ。あの快速は侮れん」




 米海軍太平洋方面の情報部門は暗号解読に精を出す。ソロモン方面の戦力はコンゴウクラスと見積もった。マレー沖で英海軍東洋艦隊を一方的に沈めて情報部門も未だに正体を掴めない。ヤマトクラスはトラック泊地で休暇中と情報を提供した。参謀達は「コンゴウクラスならパーフェクトゲームを演じられる」と楽観視する。一方のリー少将は己の知識と経験、直感から難敵と導出した。




「それ以前に水雷戦隊が厄介だ。日本海軍の巡洋艦と駆逐艦はロングランスを仕込んでいる。ソロモン諸島は見れば見る程に狭隘な形状をした。ここで待ち伏せと雷撃を受ければひとたまりもない」




「あいにく、巡洋艦も駆逐艦も足りません。潜水艦による被害が多すぎます」




「イギリス海軍とオーストラリア海軍は論外です」




「大所帯が過ぎても面倒が積み重ねる。我々は少数の精鋭で殴り込む」




 リー少将の慧眼は届いたか。




=ブイン=




「珊瑚海の潜水艦から報告!」




 ソロモン諸島で米艦隊を迎え撃つは第二水雷戦隊だ。彼らはいつでも急行できるようにブーゲンビル島やショートランド島、フォーロ島に待機する。ブーゲンビル島は鮫島中将の第八艦隊が根拠地と構えた。第八艦隊と言う実際は駆逐艦と哨戒艇、駆潜艇など軽量級も軽量級である。




 第八艦隊は深夜に隠密行動を以てルンガ泊地などに鎌鼬の襲撃を繰り返した。ガダルカナル島やツラギ島の友軍のために独断でドラム缶輸送を行う。適当に書類をちょろまかすと出撃と称して輸送を強行した。第二水雷戦隊が到着して尚も続行するが通報を覚悟している。田中少将は階級差も考慮して「何も知らない」と貫き通した。鮫島中将は静かなお礼と手駒を偵察に割いて日夜と警戒を怠らない。




「ハ24より。敵艦隊が接近中ときました。戦艦3に重巡1、駆逐多数です」




「噂の新鋭戦艦が出張ってくるか。16インチ砲はいただけんよ。敵さんの練度をみてやろう」




「今こそ重雷装巡洋艦の出番かもしれませんが、逆に捉えますと、これが最後の活躍かもしれず…」




「大井と北上には申し訳ない。魚雷の発射後は速やかに退避してもらう」




 潜水艦の哨戒網に米艦隊が引っ掛かった。珊瑚海に展開したハ号潜水艦は艦影を認めると追跡を開始する。潜望鏡を通じて戦艦3隻と重巡1隻、駆逐艦多数を視認して直ぐにメモに纏めた。これがイ号やロ号ならば積極的に魚雷攻撃を行うだろう。ハ号は小柄な船体に魚雷発射管は2門しか持たなかった。偵察と哨戒に特化して隠密性を重視して自身は攻撃を厳に慎む代わりに偵察と哨戒だけでない。海戦の戦果確認など縁の下の力持ちに徹した。




「ブインに魚雷発射管を降ろしてまでガダルカナル島の兵士を回収する」




「ケ号作戦は続行中ですが構わないので?」




「私がケ号作戦の前線を為している。最前線の兵士を見捨てるわけにはいかない」




「報告なんてものは後でよろしい。そう言う事ですね?」




「そうかもしれない」




 田中少将は鮫島中将らと現場単位で最終的な詰めを行う。敵艦隊を退けたか否か以前だ。海戦の如何を問わない。彼らはガダルカナル島とツラギ島の守備隊の回収を買って出た。自分達は悠々と退避できる。島の守備隊は逃げ場を持たないのだ。ジリジリと追い詰められる。絶望に塗れて死に行くうよりも僅かな希望を抱き抵抗する方が遥かにマシだ。




 もちろん、陸軍もケ号作戦最終段階に生存兵の脱出と回収を予定している。正当な手順を踏まんと上層部に意見具申した。これが認められる場合は素直に従おう。あいにく、田中少将は煙たがられることで有名だった。十中八九で突っ撥ね返されることを予想する。




「敵艦隊を待ち伏せるなら何処になる」




「サボ島です。米艦隊はレーダーを装備していますが、小島に反応することが多くあり、ソロモン諸島において信頼性は特に欠けます。サボ島を盾にすることで電子兵装を封殺しました」




「我らも同様だが」




「電探は使えずとも逆探がありました。敵艦隊の位置を大まかに割り出して熟練の見張り員の手助けを」




「最後は人の目と言うことかな」




 二水戦は待ち伏せを敷く先はサボ島に決まった。サボ島はガダルカナル島の上方に位置する。サボ島を盾にして電子兵装の目から逃れた。レーダーは画期的な索敵手段でも最初期故に精度には至らない点が多い。対艦レーダーが小島や岩石に反応する事象を日米海軍共に確認した。実際に扱う将兵からの評価は芳しくない。特に水雷戦隊は熟練見張り員を重用してレーダーを軽視する傾向があった。




「鬼が出るか蛇が出るか」




 ソロモンの海に田中頼三とウィリス・A・リーが激突する。




続く

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