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旧陸軍の天才?に転生したので大東亜戦争に勝ちます  作者: 竹本田重郎


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第66話 ソロモン諸島は試験場でもあった

「来るか…」




 日本軍の情報収集部門も米軍に負けていなかった。オーストラリアとアメリカの通信を集中的に傍受している。海軍の協力も得て索敵と諜報に特化した小型潜水艦を多数派遣してもらい、艦隊と司令部だけでなく艦隊同士の通信まで漏れなく拾い続け、欺瞞情報か吟味した上で報告に纏められた。




「想像以上に早かったな。敵将は時機の見極めが上手い。さて、どうするか…」




 質素な寝室で物思いに耽る。一人で思案を巡らせる際は私室の寝室が適した。側近すら払うことができる。私は絹で織られた寝間着で夜食の甘味を齧った。脳に糖分を送らねば効率的に動かない。私の一声で大日本帝国の行く末が決まる以上は徹夜の覚悟を抱いた。




 私は一度死んだのだから怖いものはない。




「敵戦艦はノースカロライナ級2隻と報告した。サウスダコタ級戦艦もいるはず。雷撃機会が損なわれたことで無事に到着できたのだから二番艦も練度不足を押してくるか?」




 偵察機が撮影した写真の敵戦艦はノースカロライナ級とサウスダコタ級と判別する。これを史実と照合するとソロモン海戦が当て嵌まるが、イ号潜水艦の雷撃は行われておらず、海軍の潜水艦には(一部を除いて)通商破壊作戦を依頼した。敵空母艦隊も珊瑚海の海戦以降は母港に引き籠る。日本潜水艦の超アウトレンジ雷撃は披露されなかった。




 私がソロモン諸島に米豪軍を誘き寄せる罠を敷いた以上は驚くことはあり得ない。いいや、米軍の反攻作戦が想像以上に早かった。空母艦隊を一時的でも撃破した上にニューギニアを攻略している。敵軍は一旦こそ守勢に回ると予想した。まさか、積極的な反攻に転じるとは思わない。ソロモン諸島という罠が機能する前に落ちるかもしれなかった。ここは特段の重要な拠点でないが一網打尽の機会を失うことが問題である。




「ガダルカナル島とツラギ島の撤収を急ぐ。ケ号作戦を前倒しせざるを得ない。一兵たりとも見捨てるな」




 ソロモン諸島からの撤収は『ケ号作戦』として組まれた。史実同様に「捲土重来」からケ号作戦と名付けられる。史実の悲惨な撤退作戦の真反対と言わんばかりだ。ガダルカナル島で米軍撃滅の期待が込められる。ガダルカナル島を中心に飛行場を整備して実際に戦闘機と偵察機、爆撃機を配置した。米軍上陸を目前に破壊工作を始めて一帯を焦土と変える。米軍の圧倒的なマシンパワーが数日で復旧した。ニューギニアから爆撃機を絶えず送り込み、海軍の挺身隊が一撃離脱の艦砲射撃を仕掛けるなど、米軍のガダルカナル島機能復旧は許さない。




「敵艦隊はリー少将の新鋭戦艦だが、海軍は金剛型を選抜するに違いなく、大和型ないし長門型を引きずり出すしか…」




 史実の日本軍が米軍のガ島輸送を阻止に出たようだ。本世は米軍が日本軍の撤収輸送の阻止を試みる。本来は自軍の輸送船団を護衛すると並行してガダルカナル島を無力化した。日本軍の撤収作戦を察知して「今こそ好機」と攻めてくる。陸軍のトップが海軍のことに口を出すことは憚られた。大戦争に勝利するためには常識だ何だと言っていられない。自身のパイプを最大限に活用して海軍の人にそれとなく大戦艦の派遣を要請した。




「まずは敵艦隊をニューカレドニアから出港させねば…」




 ソロモン諸島に誘き寄せるとはいえである。適切な時機でなければならず、敵艦隊を都合よく出撃させることが求められるため、ニューカレドニアが危険であることを教え込む必要を覚えた。海軍は連合艦隊を筆頭にミッドウェー島への攻撃を未だに諦めておらず、石原莞爾もミッドウェー島攻撃は陽動作戦に良いと部分的に認めており、空母機動部隊の再動員は端から期待していない。戦艦もミッドウェー島攻撃作戦に引っ張られるところ、海軍の古臭い魂を刺激してやろうと工作を開始すると、ソロモン諸島で戦艦同士の砲撃戦という舞台を整えてやった。




「新兵器を試してみるか…」




 私は夜にもかかわらず陸軍航空技術研究所に電話をかける。




~翌日~




 石原莞爾は航空技術研究所の一つを訪れた。急な訪問なために受け入れの準備は整っていない。彼らの仕事を邪魔せぬよう質素の性分を看板に掲げて無理強いは慎んだ。それでも責任者がペコペコと頭を下げて来ることは必然的となる。




「ようこそおいでくださりました。閣下の命とあらば直ぐに用意いたします」




「最低でも30発は用意せよ。とびきりの上級品だ。新兵器を試すのではない。敵艦を沈める」




「かしこまりました」




 陸軍の航空機は中島や川崎など主要メーカーに任せることが多かった。自前で研究機(又は試験機)を開発することもあろう。自前の機体で得られたデータと反省は各企業へ共有して精度を高めさせた。航空機本体以外にも新兵器の研究開発に明け暮れる。機銃から爆弾まで多種多様な計画を上げては取捨選択の篩いにかけられた。




「これが噴式誘導爆弾の試作品です。爆薬は抜いてあります。いわゆる実寸大の模型という」




「発動機は」




「えっと、ヴァルター機関です。ロケットですね」




「使い捨てロケットの流用かね?」




「平たく言えば」




 倉庫の中に翼の生えた徹甲爆弾が鎮座している。爆弾の左右に「ニュッ」と翼が生えている様子は異様に尽きた。これこそ日本人と亡命外国人の技術者が英知を結集させて開発した試製噴式誘導爆弾である。陸軍航空隊は地上襲撃や絨毯爆撃など専ら対地攻撃が占めた。石原莞爾の鶴の一声で海軍航空隊に負けないぐらいの対艦攻撃力が求められる。最近は反跳爆撃により敵艦隊の護衛艦に痛撃を与えた。これに満足することなく新戦術を追求して止まらない。




 陸軍航空技術研究所は前身の時代である1930年代から細々と誘導爆弾の研究を行ってきた。当初は対地攻撃の際に敵施設のピンポイントに攻撃できる。いわばスマートな爆弾を欲したが、対艦攻撃にも転用可能と見定められると、小規模な研究から大規模な研究に格上げされた。




 通常爆弾と同様に爆撃機など母機に積載して運搬する。標的の幾らか手前の地点で投下された。母機から投下後は発動機による自走に移行する。仮に燃料が切れても滑空飛行で標的に突っ込んだ。これの誘導は神頼みなわけがないと無線誘導を採用している。母機の誘導手が照準器越しに標的を睨みながら手元の操縦桿コントローラーを操作した。




 誘導飛行爆弾の発想は素晴らしく新時代の幕開けを予期する。




「テレビジョンによる誘導方式を採用せよ」




「テレビジョンですか。母機と上手く通信できるか不透明で賛同しかねます」




「爆弾本体が敵艦を視認すれば母機の安全を確保できる。照準器越しでは危険極まりない。敵艦隊上空まで到達せずとも、接触中の偵察機が間接的に誘導でき、多くの兵士を死なせずに済む」




「技術者の本懐…」




 誘導爆弾の肝心の誘導は人間の目視に頼った。母機の照準器越しで誘導する都合で回避機動は採れない。標的の目視を外した途端に命中は不可能に陥った。敵戦闘機の迎撃に遭えば即座に中止せざるを得ない。敵艦隊の近辺まで突入できた場合も猛烈な対空砲火に曝された。あまりにも母機が危険である点が憂慮される。攻撃隊に護衛の戦闘機を付けることは当然であり、かつ別働隊が敵軍の対空火器を事前に漸減することが求められ、誘導爆弾を真っ当に運用して戦果を挙げるためにお膳立てが欠かせなかった。




「私の方で電探関連の博士を改めて出向させる。静岡の浜松高等工業学校も呼び寄せよう。君達はテレビジョンを用いた誘導爆弾を開発せよ。期限は設けないがわかっているな?」




「善処いたします」




続く

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