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旧陸軍の天才?に転生したので大東亜戦争に勝ちます  作者: 竹本田重郎


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第29話 電撃作戦の切り札

南方電撃作戦は航空優勢に伴う制空権の確保が肝である。




 有力な戦闘機隊が敵軍の航空機を片っ端から撃墜するが、航空機を追加されては鼬ごっこの堂々巡りで終わらず、敵地奥深くまで切り込むため、飛行場の早期制圧が急務に挙げられた。各地に上陸した地上部隊が飛行場奪取に働くだろう。高度に要塞化された飛行場の攻略は至難だ。したがって、飛行場の最も脆弱な空からの奇襲に期待する。




「第一挺進隊は一兵で百人を打倒し、一兵で十機を破壊し、一兵で敵地を制圧する。そのための機関短銃、重擲弾筒、迫撃砲、歩兵砲なんだ。我々が狙う場所は英軍のど真ん中にあるぞ」




「はい」




「矢口か。どうした」




「我々は爆撃機と輸送機で突っ込むわけです。装甲車と軽戦車はいただけませんか」




「車両に頼ろうなど…と言いたいところだが、上には装甲車両の投入を要請している」




 日本本土の千葉県習志野では空挺部隊が猛訓練に明け暮れた。欧米と大決戦に突入することは回避不可なところまで来ている。それ故に誰よりも早く激戦地に降り立つ者共は休む間もなかった。猛訓練と勉学に費やしている。その中で休憩時間として打ち合わせを設けた。




 彼らは最強クラスの精鋭部隊と南方電撃作戦の切り札に期待している。英国はマレー半島に強固な要塞線を築き上げ、フランス自慢のマジノ線よろしく、ジットラ・ラインを打ち出した。日本陸軍も要塞線を脅威と認識している。これの短期間の突破を図るべく快速機甲部隊を集中運用した。さらに、空挺部隊による敵飛行場の奪取を計画する。




 土に塗れた手には小銃ではなく機関短銃と自動拳銃を携えた。取り回しを重視した機関短銃はサブマシンガンと同義である。日本は他国に遅れた影響でドイツ製MP-18やオーストリア製S1-100、アメリカ製トンプソンなどを研究した。最終的にチェコ製とドイツ製を基に独自の百式機関短銃を開発する。




「9mm弾は近距離は絶大でも広大な飛行場では遠方から狙撃されます」




「わかっている。九九式軽機と歩兵砲で対抗するんだ。重機関銃は持っていけん」




「怠けたこと言っているんじゃない。9mmの拳銃弾でも1km先の敵兵のど頭を撃ち抜くだけだ」




「それは田口にしかできん」




 百式機関短銃は主力拳銃の実包である9mmパラベラム弾を使用した。近距離では猛連射が高い制圧力を発揮する。全体的に小型なため取り回しに優れた。軽装を強いられる空挺兵専用に使用する。弾倉は伏射の際に邪魔になりにくい横差しを採用したが、戦車兵や航空兵の物は一般的な下差しに変わり、最終生産型は横差しに統一された。




 まだ初期型のためプレス加工は限定的で木材を一部に使用している。MP40やステンガン、グリースガンに匹敵する量産性は持たなかった。プレス加工の熟成から中期型から小銃と並ぶ主力兵装に浮上する。初期型は職人のハンドメイドで生産され、三八式を作っていた職人の技術は侮れず、命中精度の高さに直結した。機関短銃の名手は数百メートル先の敵兵を撃ち抜くことができる。




 最たる特徴は銃剣を装備することだ。空挺兵まで突撃させるとは日本陸軍らしいと思われる。銃剣が丁度良い重りとなって射撃時の反動を抑制した。サブマシンガンの猛烈な跳ね上がりを抑えてくれ、銃剣が付くから突撃戦術頼り、と思っては素人である。




「敵機は鹵獲せずに爆破しても構わないので?」




「どうせ碌な物を置いていない。万が一に失敗した場合も打撃を与える。選り好みせずに破壊せよ」




「なんだか勿体ない気がします」




「同感です。乗って動かしたいぐらい」




「なんだ、それで台湾の山に帰るつもりか?」




「いえ、金属くずと売れば纏まったお金が手に入ります。家族が喜びますから」




 空挺部隊は何よりも過酷な戦場で長期間も戦い抜く者を欲した。したがって、兵士の出自の如何を問わない。田舎上がりでも素行不良でも猛訓練が叩き上げて矯正を加えた。そのためか日本人に紛れて中国人と台湾人が在籍している。特に山間部出身の少数民族は持ち前の身体能力の高さで舌を巻かせた。




 機関短銃以外にも支援火器の軽機関銃と重擲弾筒、60mm軽迫撃砲、37mm歩兵砲など小型・軽量と言われる火器を背負う。派手な野砲と榴弾砲に比べて見劣りは否めない。兵士一人が背負うには重すぎた。精鋭無比の強者でなければ碌に運べない。厳しい選抜試験を通過した人間離れした身体能力が無ければ扱いは到底不可能だった。




「さぁ、休憩時間は終わりだ。体力尽きるまで走り抜けろ」




 休憩時間という打ち合わせを終えると直ぐに重装備を背負ってマラソンを開始する。これを何とも思わないで平然と始めるあたりが空挺部隊の恐ろしさを証明した。彼らは過酷な戦場に投入されると雖も常軌を逸している。試製無反動砲を一人で背負いながらケロッとした表情で走り回った。




 この光景を隊舎から眺めるが自然と口が開きそうになる。




(我ながら恐ろしい部隊を創ってしまった。彼らを敵中のど真ん中たる敵飛行場に突っ込ませる。融通を利かせすぎたかもしれない)




「私も初めて見た時は度肝を抜かれました。今となっては見慣れています。普通の歩兵が物足りなく思えてくる」




「フィリピンとマレーの飛行場に突っ込んでもらう。空挺兵は双発爆撃機が運び、武器と弾薬は双発輸送機が運び、重装甲車と軽戦車は深山が運搬した」




「重装甲の爆撃機を突っ込ませる。空挺部隊なのに落下傘を開かないとは」




「第一陣が降下地点を確保次第に第二陣が落下傘で降下する手筈を組んだ」




 石原莞爾は空挺部隊の始祖を自称した。




 実際に創設に奔走した人物は数多存在すると雖も早期に創設を提唱した者は石原莞爾しかいない。敵地のど真ん中に降下させて敵軍を内側から切り崩した。強固な要塞も内側からの攻撃に弱い。あっという間の短期間で陥落させた。飛行場など重要拠点を早期に制圧して戦いを有利に進める。




 南方電撃作戦に際してマレーとフィリピンの米英軍の飛行場制圧に投入した。第一陣は落下傘降下地点の確保を担う。特別に改造した双発爆撃機に重装兵士を詰め込ませて戦闘機の護衛の下で敵飛行場に強行着陸を敢行した。




 簡潔に言えば義烈空挺隊なのだろう。




「空挺戦車も鋭意開発中だが滑空機が難しい。大型滑空輸送機に2両が限界だ」




「滑空機も悪くありません。静粛性に優れるので夜間の潜入に適しています」




「梟隊は徹底的に秘匿している。それと思わせる単語も発するな」




「失礼いたしました」




 空挺部隊は必然的に軽装を強いられて空挺降下の奇襲効果に期待すると言うが、敵軍が冷静に対応してきた場合は壊滅を覚悟し、希少な戦力をすり潰すことはいただけなかった。どうにか装甲車と軽戦車を空挺で投入できないかと試行錯誤を繰り返す。大型輸送機の深山が運搬することに落ち着くも非効率的が呈された。現在は輸送用の滑空機を研究中である。




「マレーとフィリピンを制圧した後は蘭印に飛んでもらう。蘭印の油田と精製所を急襲する。あいにく、蘭印は本国共々と交渉は決裂した。あまり気乗りしないが力攻めを採らざるを得ない」




「南方の資源地帯を無傷で入手するに平和的な進駐が一番です。これを蹴られては仕方ありません」




「海軍の支援も得られる。ハワイ攻撃なんてつまらん真似は慎んでもらうが、陽動作戦として、アラスカのダッチハーバーを攻撃する」




「アリューシャンを超えてアラスカに攻め入りますか。まさか…」




「あくまでも陽動作戦である。アラスカを攻めても旨味は感じられない。やりようによっては、米国を攪乱させられるんだ」




 習志野の塀の中で語られた。




続く

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