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「あの令嬢を見たことがありませんわね」


「噂も最近だ。本当に公爵家の縁者なのか」


「宰相、そのところは調べていますの?」


「公爵家にあの令嬢がいることが分かったのすら最近です。それと見目は王妃そっくりですが中身は似ても似つかない令嬢ですよ」


存在が分かったというのが最近なら調べる時間も少なかっただろう。


公爵家当主が連れているから何か問題があれば責任は当主にあるが、身分というものを疑う者は多い。


「それに公爵家の直系ではないようですね」


「そうね。今の公爵家当主は入り婿ですもの。それに奥様が亡くなられて久しいとなれば親族の誰かの子という説が濃厚ですわね」


「分家の人間に強く出られないというところか」


ヴィヴィアンの母には弟がいる。


だがいまいち優秀ではなく公爵家当主としては弱かった。


王家との縁者であるという後ろ盾を強化したいという思いが強い。


「同じ叔父様でも母方の叔父様は当主になれば分家に乗っ取られる可能性が高いですものね」


「あの令嬢が兄上に見染められたら公爵としては王妃と側室の父という肩書を得られるから盤石な地盤を手にできるだろうね」


「・・・叔父様」


「・・・何だい?我が姪よ」


「わたくし、とんでもないことを考えましたわ」


「うん?」


「今、叔父様がおっしゃったではありませんか。えぇあの令嬢に側室になっていただくのです」


「はい?ヴィヴィアン様?何を考えてるんだ?どこの馬の骨とも分からない令嬢だぞ。そもそも貴族かどうかすら怪しいだろ?」


貴族令嬢らしい落ち着きというものはないが見た目は王の好みそのものだ。


それに側室と愛妾合わせて十五人いるのだから令嬢が表舞台に出てくることはまずない。


もし側室になるために公爵家に養子になったとしても同じ公爵家からの側室は何人もいる。


王妃の役割をする側室に困っていない。


「あら?問題ありませんわ。だってそうでしょう。この王家の王家による王家のための婚活パーティは()()()()()()()()身分を問わず、でしょう」


「いやいや、だからと言って平民を側室にはできませんよ」


「そこは問題ないでしょう。公爵家がきっと権力欲しさに養子縁組をしてくださるわ。それに平民と結婚してはいけないという決まりはないわ」


「それでもです」


「宰相、なら今日の私たちの結婚相手についても問題ありということになるが」


「はい?どういう・・・はっ!」


昨年の婚活パーティで宰相は相手を連れて来ると宣言して今年の婚活パーティに連れて来ていた。


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