遺された手記。
手記の始まり、短めです。
誰かの手記を開いてみる。と、さっそく扉に書いてあった。
『これを開けた者がいるということは、私はすでにこの部屋にはいないのだろう。この本には私の記憶を一部のみ残した。もしあいつらが生きているのであれば、これを使うといい。役に立つかは知らないがね。尚、私が生きているようであれば、これはあいつらには見せないでくれ。恥ずかしいからな。』
そして走り書きでなにやらメモがされていた。
『門は北に?』『魔属領内か』『神話では』『黒赤青白』『エイロンのコーヒー不味い』『マリアは残るべき』『杖・剣・槍・双剣作る』『ナカゴ食べたい』
……途中から謎です。そして確かにエイロンのコーヒーは不味いですね。
次のページに行きましょう。するとそこにはなにやら魔法陣が……。これは、一体。
解読は、できそうに……
その瞬間、魔法陣が光りはじめ。眩しさに思わず目を瞑り……。
……何も起こらな、い?
目を開け、確認し……。
「やあやあ、1/12私登場だ。くひひ。この本を開いたのは君かい?侍女、しかもここは王太子妃付き用の部屋じゃあないか。見つけて開いたんだねえ、いやはやよろしい。錬金術が侍女でも使えるようになったんだねえ。いいことだ。」
……緑で半透明の、侍女服を着た、人?
「ああ、人だ。とはいえ、記憶の一部、だがね。扉に書いてあっただろう?」
なるほど、この手記の。
「ああ。私の名前は……そうだな、これを読んであててみてくれ。その方が面白いからな。」
想像しろと。ふむ。
「なあに、簡単さ、すぐにわかる。推理する暇もないだろうね。」
そうですか。
「……ところで、今の王太子妃は誰だい?」
……エリューシャ様です。
「……そうかい。」
なぜそこで項垂れるので。
「いや、案外……なんでもないさ。」
……今の反応でわかってしまった気がする。
「……まあ、いい。どうせすぐばれる偽名だ……。」
はい。……そろそろページ捲りたいのですが。
「ああ、すまんね。途中のページまで私は顕在するから、読みながら疑問があったら聞いてくれるといい。」
便利ですね。
「便利でイラッとするイルk……。」
なんです?
「なんでもない。さあページを捲りたまえ。」
わかりましたとも。読み進めましょう。
1/12ヴィ……げふんげふん。




