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王太子妃付き侍女の憂鬱。  作者: なな風
とある一日。
13/17

遺された手記。

手記の始まり、短めです。

 誰かの手記を開いてみる。と、さっそく扉に書いてあった。


『これを開けた者がいるということは、私はすでにこの部屋にはいないのだろう。この本には私の記憶を一部のみ残した。もしあいつらが生きているのであれば、これを使うといい。役に立つかは知らないがね。尚、私が生きているようであれば、これはあいつらには見せないでくれ。恥ずかしいからな。』


 そして走り書きでなにやらメモがされていた。


『門は北に?』『魔属領内か』『神話では』『黒赤青白』『エイロンのコーヒー不味い』『マリアは残るべき』『杖・剣・槍・双剣作る』『ナカゴ食べたい』


 ……途中から謎です。そして確かにエイロンのコーヒーは不味いですね。


 次のページに行きましょう。するとそこにはなにやら魔法陣が……。これは、一体。

 解読は、できそうに……


 その瞬間、魔法陣が光りはじめ。眩しさに思わず目を瞑り……。


 ……何も起こらな、い?


 目を開け、確認し……。


「やあやあ、1/12私登場だ。くひひ。この本を開いたのは君かい?侍女、しかもここは王太子妃付き用の部屋じゃあないか。見つけて開いたんだねえ、いやはやよろしい。錬金術が侍女でも使えるようになったんだねえ。いいことだ。」


 ……緑で半透明の、侍女服を着た、人?


「ああ、人だ。とはいえ、記憶の一部、だがね。扉に書いてあっただろう?」


 なるほど、この手記の。


「ああ。私の名前は……そうだな、これを読んであててみてくれ。その方が面白いからな。」


 想像しろと。ふむ。


「なあに、簡単さ、すぐにわかる。推理する暇もないだろうね。」


 そうですか。


「……ところで、今の王太子妃は誰だい?」


 ……エリューシャ様です。


「……そうかい。」


 なぜそこで項垂れるので。


「いや、案外……なんでもないさ。」


 ……今の反応でわかってしまった気がする。


「……まあ、いい。どうせすぐばれる偽名だ……。」


 はい。……そろそろページ捲りたいのですが。


「ああ、すまんね。途中のページまで私は顕在するから、読みながら疑問があったら聞いてくれるといい。」


 便利ですね。


「便利でイラッとするイルk……。」


 なんです?


「なんでもない。さあページを捲りたまえ。」


 わかりましたとも。読み進めましょう。



 

1/12ヴィ……げふんげふん。

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