“もうひとつの”煙草のけむり ①
『“もうひとつの”煙草のけむり』のお話は、英さんが冴子さんを追いかけていった時に、加奈子さんに何が起こったのかを書いていきます。
今回は、その少し前のところから始めます。
幼いころ
母を亡くした。
その時の父の…職人気質を装った言動が、子供心にはひどく薄情に思え、しこりとなって長く私の中にわだかまりを残した。
思えば、それを解きほぐしてれたのも、“ばあちゃん”だった。
その、ばあちゃんの通夜の席で…
肩を落としている父が
何とも悲しく見えた。
そうだな、
母の時から随分と年月を重ね
私も父も変わったという事か
この通夜の席を
私が仕切っているのだから…
冴ちゃんは、本当にいい子だ。
今も自分を律し、慣れない事にひたむきに向き合っている。
そして、私は知っている…
さっき津島の奥様に引っ張って行かれてから…
彼女の中の何かが、また動いた。
そんな彼女を見るたびに、
私の胸の奥が言いようもなくざわつく。
でも今は
それには蓋をしておこう。
私が溺愛する、“妹”と“弟”と共にこの時を分かち合おう…
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ばあちゃんの四十九日の法要も済んで、私は、忌引き中に代わってもらっていた夜勤を、かなりの密度でこなしていた。
人の死を悲しみながら、人の死に無関係でないところで日々の糧を得ている。
そんな、並び立っても全然おかしくは無い、僅かな矛盾の狭間に立たされて、私はいつになく疲れていた。
そんな時…
何の前触れも無く
その電話は掛かって来た。
いや、来ていた。
休憩時間にスマホの着信履歴を見たら、見知らぬ番号で2回入っていた。
どうせセールスか何かだろうと思ったので、留守録も聞く気がなく、そのまま削除しようとしたら
また鳴った。
仕方ない
留守録に喋らせよう
『両和システムの上川と言います。この度の代理店契約の件でぜひ、代表とお話したく…』
冴ちゃんの会社だ。
私は急いで通話をタップする。
「はい、私は箭内と言いますが…代表とは?」
「ああ、“やない”とお読みするのですね」
それが彼との初めての会話だった。
。。。。。。。
2022.11.21イラスト更新しました。
加奈子さんです。
まだ冒頭で、短めでスミマセン<m(__)m>
今のところゆるゆると書こうかなと思っています。




