第131話:小さい頃に布団に描いた宝島の地図(和歌宮視点)
お風呂シーンは無いと言ったな? あれは嘘だ。(書きたくなったから書きました)
……先程は酷い目に逢った。こんな屈辱は、十歳の頃に卒業したはずなのに。い、いや、違う。五歳、五歳じゃ! 後はたまたま雨が下穿きに染みたりしただけじゃ。決して、決して、おもらしなどとは!
「お加減はいかがですか?」
隣には朱里がいる。まるでスイカが入ってるかのような膨らみがお湯にぷかぷか浮かんでいる。どうして、あんなに……
「やー、ここは気持ちええなあ」
更には篝火とかいうテイマーのお供が。こちらも立派なものをお持ちだ。どうして、こんなに……
「私どもまで一緒に入浴させてくださっていただいてありがとうございます」
素直にテイマーのマリエが礼を言う。マリエはいいな。ほっとする。安心感があるというか、あるものがないというか。
「よい。妾もお主らも同じ穴の狢故な」
ここにいる全員、ある共通点がある。それは、あのホーンラビットにあてられたという事じゃな。いい加減認めねばなるまい。妾たち全員が恐怖で失禁したと。男どもはよく平気だったものじゃ。
太黒屋に聞いたら「男の方が失禁は我慢出来るものなんですよ」と言っておった。失禁していたのは伊藤とかいう元凶だけじゃな。
それ故に、こうして皆で湯浴みと相成った訳なのじゃが。全員で入ったのは時間短縮の為じゃな。決して妾が一人では風呂に入れぬとかそういう事では無い。更衣室で服を脱がして貰おうとしたのはいつもの癖じゃった。
湯浴みを終えると、牛乳を飲み干す朱里。非常に美味そうに見えるものじゃ。まあお腹が痛くなるので妾は冷たい牛乳は飲めんのじゃが。
風呂から上がると山田が面会を求めてきた。ゆっくりしたかったがそういう訳にもいかん。一応早く取り戻したいのじゃからな。
「姫様、この度は申し訳ありませんでした」
謁見が始まるなり、全力で平伏する山田。まあこやつの立場も分からんでもないんじゃがな。江戸派のトップが統括管理官じゃからな。なぜ江戸表はあの様な愚物を派遣したのか。
「子細を申してみよ。それによっては情状酌量の余地もあろう」
「勿体ないお言葉。しからば」
と言って山田は自分の立場を含めて言い訳を始める。だいたい予想通りではあったが、江戸に早馬を送っていたとはな。妾をさらって江戸に亡命し、統括管理官の罷免を求めるつもりであったと。なるほどのう。
しかし、妾が江戸までの旅路に耐えられるとは思わんのだがな。こう見えて妾は軟弱者じゃからのう。いや、実際は結界を張るのに精一杯で、それ以上の身体を鍛える事などしておらなんだ。
「こと、ここに至っては、私の詰め腹一つにて配下のものたちの無礼をお許しいただきたく」
おいおい。さすがに陰腹とかやっておらぬよな? 許す、許すから切腹はやめてくれぬか。
「必要あるまい。妾はお主らの裁きをする資格は無い。裁きが必要ならば江戸表まで行って、将軍殿に断罪を願い出ることじゃな」
「それは全てが終わりました後に」
ええー、やる気なのか。正直後味が悪いのう。統括管理官が断罪されるのは一向に構わんのだが。
ともかく、これからの事を相談するのがよかろう。城には行きたいので、正面突破は難しいから隠し通路から通ることになる。まあ潰されていたら同じなのじゃか。
「イエローエリアからホワイトエリアまでの案内はこの山田にお任せ下さい」
グリーンエリアをすっ飛ばしおったな。何か理由があるのかなと聞いてみたが、単にマリエ殿が御免状をお持ちだからという解答が来た。ホワイトエリアは随行人員まで調べられるから無理なんだと。
そこから先は太黒屋が請け負うという。さすがに商業組合のトップじゃな。まあ組織内で反目に回っているのが殆どじゃからどれだけ信用出来るか分からんが。
こんな感じで作戦を立てて、妾たちはホワイトエリアへと向かった。グリーンエリアは御免状でスルーじゃったな。もう少し詳しく調べてもいいと思うんじゃが。
ホワイトエリアの門番は妾を知っとるからな。スルーして……貰えんかった! 妾の顔見た瞬間にこっちに向かって来おる。手には武器を持っとるんじゃよ。
朱里と山田も奮闘したが、それに合わせてどんどんと人員を投入してきた。これはキリがなさそうじゃな。もしかしたら、とラビ殿を見たが、例のオーラは発動せんようじゃ。まあ助かるがの。
「仕方ないわね。私たちも早く帰らなきゃだし」
「多分、遅くなってもグレンなら許してくれる」
「そうだけど、早く帰りたいでしょう?」
「私は特に問題なし。こっちにはラビも居るし」
熾天使様がお仲間と帰る相談をしていらっしゃる。天界に帰られるのだろうか? そこにハイエルフも沢山いるのだろうか? 興味は尽きない。
「天使の歌声」
熾天使様の歌声が響き、ホワイトエリアの門番が全員ダウンしてしまった。今のうちに城に向かいます。チェックメイトですよ、管理官!




