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急転


「ここは……どうして……彼女から真相を聞き出してないのに。何が起きたんですか」


「……最初から仕組まれていたようだ。あの世界は私が作った擬似的世界であると同時に、彼女の世界でもあった」


 カイトが館の外に出た直後、暗闇が広がった。それは焼却炉のある小屋や、侵入者対策の像が置かれている庭に出たわけじゃなかった。


 館の外に繋がっていたのは、多くの本、死者達の記憶が保管されている。カイトと死神が出会った場所。


 擬似的世界が解除されている。カイトの目の前には死神がいた。声も頭の中に流れ込むわけではなく、直後耳に入ってくる。


 彼女は擬似的世界になっている本を見ているはずが、その本はバラバラに……メアリ、キス、アルカイズ、ディアナの別々の記憶に別れ、元に戻った状態。


 ただし、三冊の本は同じに見えるが、一冊だけが異様に変色していた。


 死神が擬似的世界を生み出す前は四冊とも同じに見えたのは、カイトも覚えている。


 擬似的世界の時間の経過による物なのか。その本せいで擬似的世界が終わったようにも思えるが。


「仕組まれていた……というのは、その本が原因ですか? 彼女の世界というのも……」


 死神の作る擬似的世界を邪魔出来るのは同じ存在しかない。


 メアリを騙した死神だ。だとすれば、異質な本になったのはメアリの記憶だろう。


 四人の魔法使いの中で、死神に協力したのはメアリだけ。


 死神が仕組まれていたと言うのであれば、記憶を操作出来るのは彼女の可能性が一番高い。


「こうなるのか。完全に自分の物になってないし、信用を失ったのも痛手だわ。色々と問題はあったけど、君から一本取れたんじゃないか?」


 カイトが立っている後ろから、声が聴こえてきた。


 この場にいるのは死神と死者。死者もカイトのように特別、特殊な理由がある場合のみだろう。


 しかも、カイトはその声に聞き覚えがある。擬似的世界で何度も耳にした声だ。


「そんな……人間が死神になるのは無理で……奪ったのはメアリ様の体という事だったはずなのに」


 カイトはその声に思わず振り向いた。


 そこにいたのはメアリではなく、零。


 死神が奪ったのはメアリの体ではなく、零の体だったのか。


 だが、擬似的世界ではカイトの頭の中に語り掛けてきたメアリの声があり、零の声ではなかった。


 更に言えば、先程の零の発した言葉にも違和感がある。『完全に自分の物』や『信用を失った』というのは、敵側の死神からすれば、メアリに該当する言葉である気がする。

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