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1969/2024

Strategy Meeting

 なぜ姉弟なのに恋愛に関してこんなにも両極端なのだろうか。たまに不思議に思う。




「ど、どうだった? ナンパ」


「あー、最高に手強かったわ。妊娠中ってこと抜かしても、あれは慣れてる」


「慣れてる? 男に?」


「いや、ナンパされ慣れてる。めちゃガード堅い。鉄壁」


「もしかしてあんた普通に声かけたの? お茶しないかって?」


「バカか。そんなザコ速攻であしらわれるわ。自然な感じ装っていったよ。まあ普通にバレたっぽいけど」


「ええっ!? ダメじゃん!」


「まだダメじゃねー。少なくとも通報はされてないし、バレたところで交流できりゃ問題ない。ナンパってそういうもん」


「そ、そう……。いけそう?」


「いやぁ正直無理っぽいっすわ。まず腹に子供いる女をナンパって時点で正気か? て感じだし」


「だよねー」


「野生動物だったら問答無用で殺されるシーンだなって思った。あの人に睨まれて」


「ああ、普段の顔は優しいけど殺気立つとヤバいよね、あの人。わたしもこないだ挑発してわかった」


「挑発すんなよ! なんで女って好きな奴奪い合うとき口撃し合うの? おれの周りみんなそうなんだけど」


「男だってそうでしょ」


「男は口じゃなくて手が出る」


「暴力最低」


「あと一応聞くけど、まさか自分の家族構成とか話してないよな?」


「あ」


「言ったのか」


「弟がいることは知ってる……」


「十分だよバカ。つーか現状おれしか家族いないだろバカ」


「いやさすがにそんなのバレないでしょ?」


「わかるぞ、たぶんあの人なら。あーもっと下手打てなくなったなぁ。姉ちゃんの関係者ってバレたら完全に計画破綻するやつじゃん。容易に近づけなくなるやつじゃん」


「うー……」


「まぁこっちはこっちで頑張るから、姉ちゃんは姉ちゃんで頑張って。とりあえず今は頑張って押して」


「押すって」


「職場だったらいっそ向こうに姉ちゃんの好意が伝わってもいいくらい、そいつに尽くして尽くして尽くす」


「わ、わかった」


「向こうが引くくらい尽くせ。ただし露骨に好意は示すな」


「え、む、難しくない?」


「ひたすら親切な人間になればいい。そのうち向こうが『なんでおれにだけこんなに親切なんだろう……』とか考え出すから」


「うん」


「そしたら適当なところで尽くすのをやめる」


「え?」


「そうすると『え、なんでなにもしてくれなくなったんだろう。おれ悪いことしたかな……?』みたいに悩み出す。姉ちゃんのことばっかり考えるようになる」


「そ、そんなにうまくいくかな?」


「さぁ。それはやってみなきゃわからん。で、仕上げに悩み相談だっつってサシ飲み。適当に酔わせてホテルへゴー!」


「……うあぁぁぁぁ」


「しっかりしろ」





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