Rubbing Massage
あまりにボディタッチを意識するあまり、変な夢を見てしまった気がする。今朝はあまり寝覚めがよくなかった上に、あちこち寝汗でびっしょりで気持ち悪かった。なぜか弟も目の下にクマができていた。
「主任、コーヒーどうぞ」
「ああ、入れてくれたの? ありがとう」
「どういたしまして。デスクワークは疲れますからね」
「ああ、ホント。最近疲れ目が酷くなった気がする。前はこんなことなかったんだけど、歳かな」
「まだ三十手前でそんなこと言ってたら課長が怒りますよ」
「はは……だね」
「あの、歳ではないと思いますけど、肩凝ったりしてませんか? よければ、その、おも、お揉みしますよ?」
「ああ、僕あんまり肩は凝らないほうなんだよね。だからいいや」
「そ、そう遠慮なさらず」
「大丈夫。凝ってないときに揉むと逆に凝りそうだし」
「で、でしたら、目、疲れてるんですよね? お揉みしますよ」
「怖いよ。他人に眼球揉まれるとか恐怖でしかないよ」
「潰さないように気をつけますから」
「大前提だろう。というか疲れ目だからって眼球揉むのはよくないらしいよ。将来的に網膜剥離する可能性があるとか」
「もうなんでもいいのでどこか凝ってませんか? お揉みしますよ?」
「なぜそんな執拗に僕の体を揉みたがる」
「あ、あー、最近マッサージにハマってまして、誰か凝ってる人で試してみたいなー、なんて……なんて……」
「だったら課長とか部長のほうが向いてるんじゃない?」
「え、いや、あの、そういうおっさんの体は揉みたくないです」
「そういうおっさんの体」
「もっと若々しくてみずみずしい体を揉みたいんですよ」
「言い方言い方。それだと君が僕の体に興味あるように聞こえて怖いんだけど」
「そ、そうですねアハハ。あ。ぎゃ、逆に主任がわたしをマッサージするというのはどうでしょう?」
「なんか逆にの一言で立場が逆転した……。尾先さん肩凝ってるの?」
「もう体全体凝ってますよ。最近ストレス溜まること多くて……」
「そうなんだ。え、肩だけじゃなくて?」
「はい、そこのソファに寝転ぶので、馬乗りになって好きなところ揉んでください」
「いや、さすがに馬乗りにはなれない。とりあえず肩からいくよ」
「は、はい。んぎっ」
「痛かったら言ってね」
「ぜ、全然痛くないのでもっと強く、強くシテください。あう」
「なんかあんまり凝ってる感じしないな……」
「んん、もっと、もっと下の方もお願いします」
「これ後で僕が奥さんと揉めるやつじゃないかな……」




