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1963/2024

Rob Love

 運命の人という言葉が指すのは、どんな相手のことなのだろうか。自分と相性がいいと感じる人のことか、それとも相性が悪いのになぜか一緒にいてしまう人のことか。




「前から思ってたけど、あの人はどうして彼女と結婚したんだろ?」


「スタイルいいからじゃねーの?」


「えぇー。いくら見てくれがよくったってさぁ、あの人ならあんな地雷女選ばずに、もっと性格のいい人と付き合えるはずだよ」


「地雷女て」


「だってどう考えても地雷でしょ! 旦那さんより自分のこと優先だし! 妊娠してるからって仕事も家事も旦那さんに任せきってるし!」


「妊娠すると大変らしいぞ。男のおれがフォローするのも変だけど」


「たぶん騙されたんだよ。結婚前はそんなに束縛強くなかったって言ってたし、いい女を演じて純粋なあの人に近づいて、今は都合の良いATMとして使ってる……!」


「美人は得だな。そういう意味で」


「許せない! 絶対に!」


「でもホントにそこまで酷い女だったら、いくら他の面がよくてもおれだったら別れるけどな」


「だからそれができないように既成事実として子供を……!」


「どうしても奥さんを悪人に仕立て上げたいんだな。あるいは、あれじゃね? そういう奥さんのダメなところが好きな男だとか。ダメンズが好きな女の逆バージョン」


「……それはあるかも。あの人面倒見いいから、自分がいないと彼女はダメになる、みたいに思っちゃって」


「じゃあ姉ちゃんもダメな女になってみたら?」


「だ、ダメな女ってどんな感じ?」


「試すのかよ。言ってみただけだよ」


「生活力がない感じを醸し出せば」


「無理だろうな。姉ちゃんもうしっかりしてるって認識されてるっしょ」


「うぐ。じゃあ仕事ができない感じ! これはいけるんじゃない?」


「親密にはなれるかもしれないけど、姉ちゃんが払う犠牲が大きすぎないか?」


「どっちにしても、あの女とこの先ずっと一緒にいても、あの人は絶対幸せになれない!」


「言うなぁ」


「絶対に略奪してやる……! わたしがあの人を幸せにするの!」


「おれには姉ちゃんが不幸の坂道を転がり落ちていってるような気がしてならない。好きにすればいいけど、おれを巻き込まないでくれ」


「というわけで恋愛マスター! なにとぞわたしにご助言を!」


「話聞いてた?」






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