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1950/2024

Relationship Issue

 お芝居というのは自分で打っていてバカバカしくなってくるものだ。




「はぁ、ごちそうさまでした」


「あれ、なんかずいぶん残してるじゃん。どうしたの?」


「ちょっと食欲なくって。残りは帰ってから食べます」


「大丈夫? 具合悪いなら、今日のところは早退したら?」


「いえ、体調というより、精神的に……悩んでることがあって」


「悩み? 僕でよければ相談に乗るよ」


「あ、ありがとうございます。でもこんなこと主任に話して大丈夫、なのか」


「もちろん言いづらかったら言わなくていいよ。とりあえず話せるとこまで話してみるのでもいいし」


「その、えっと、好きな人がいるんですけど」


「おおう、そういう話か。なんかあんまり力になれない気がしてきた」


「その人、けっこうわたしから話しかけてるのに、わたしの気持ちに気づいてくれなくて」


「そりゃ話しかけてるだけじゃ伝わらないでしょ。世の中鈍感な男が多いからね。僕が言うのもなんだけどさ」


「……本当ですね」


「ん?」


「いえ。でも話しかけるだけじゃなくて他のアプローチもしてるんですよ?」


「他のアプローチって?」


「じっと見つめたり、さりげなくボディタッチしたり」


「それで尾先さんの悩みっていうのは、そういうアプローチが伝わらないってこと? 向こうから告白してこないのが悩みなの?」


「ああいやいや、わたしそこまで責任を相手に取らせるようなことは考えてなくてむしろ好きになったわたしのほうから告白しないといけないんですけど相手の方の都合もありますしなによりわたしなんかに告白されたら迷惑じゃないかなって思っちゃうところもあってそんなふうにぐだぐだ考えて結局踏み出せない自分が嫌だっていうかそういう感じの悩みです! はい!」


「う、うん、まぁなんとなくわかったよ。少なくともどういう状況なのかは。そうだなぁ、失敗したら怖いし、その失敗が経験になるって言っても好きな人と付き合えなきゃ意味ないもんね」


「そうなんです! 主任だったらどうしますか、この状況」


「うーん、好きな気持ちをアピールするんじゃなくて、尾先さんのいいところをその人にアピールしてみたら?」


「わたしのいいところ……て、なんでしょう?」


「それならたくさん知ってるよ。家庭的だし、新入社員と思えないほどいろんな気配りができるし、いるだけで周りを明るくしてくれてると思う」


「あははは……なんか主任にそういうこと面と向かって言われると照れますね。わかりました。それらをアピールして相手がわたしの良さに気づいてくれ、たら……」


「うん、向こうからアプローチしてくれるよ」


「……相手がもうわたしの良さを知っていた上で動かない場合はどうすれば?」


「そしたら君から動くしかないね。がんば!」


「……アハハ」




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