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1942/2024

Happy Halloween

 主任の女性の好みがよくわからない。最初は明るい女性が好きなのかと思っていたけどそれだけではなさそうで、パワフルな感じが好きなのかと思ったら奥さんは怠け者タイプらしくて。破天荒な感じが好きなのか、はたまた少しズレてる天然なのが好きなのか、日に日に謎は深まるばかり。




「昨日はハロウィンだったね」


「でしたね。少し仮装っぽいことしましたよ、わたし」


「ほっぺたに傷跡書いて、るろうに剣心とか?」


「…………」


「図星かよ」


「剣心じゃなくてルフィです」


「そっちの世代か。まぁ傷跡には変わりないし、ルフィのほうが剣心より楽だな」


「主任はなにかハロウィンらしいことしました?」


「僕はしてないけど、妻はなんか仮装してたよ」


「ええ? 妊娠中なのによくやりますね」


「同意見だ。緑茶のお化けとか言って、全身緑色の格好で出迎えられた」


「く……勝てない……!」


「なんで対抗心燃やしてるの君は。あんなのに勝とうとしなくていいから」


「そもそもなぜ緑茶のお化け?」


「ハロウィンの日は緑茶の日でもあって、ハロウィンのせいで忘れ去られた緑茶の精が化けて出た、という設定らしい」


「……勝てない」


「だから勝とうとしなくていいってば。彼女、ふざけるときは全力でふざけるタイプなんだから」


「真面目なときは真面目ってことですか」


「いや、真面目なときでもわりとふざけるけど」


「ふざけてばっかりじゃないですか」


「確かに。ホントにいつもいつも、こっちが真剣なときだっておどけてきて、調子が狂うっていうか、どんな悩みもバカバカしくなっちゃうよ」


「それは愚痴ですか、惚気ですか」


「……惚気です」


「はぁ……」


「なんかごめん。でも僕の奥さん可愛いんだもん」


「ごちそうさまでしたー。お腹いっぱいですもういろいろと。末永くお幸せに!」


「ちょ、ごめんって。そんなぶっきらぼうにならないでよ」


「主任は気分いいかもしれませんけど、聞かされる身としてはたまったもんじゃないですよ。わたしより奥さんに直接言ってあげたら喜ぶんじゃないですか?」


「言えるわけないじゃん。こんなこと本人の前で言おうものなら絶対調子乗って態度でかくなるよ」


「それは主任の都合でしょう。ホント、明日からランチをご一緒するのも躊躇っちゃいます」


「そ、それは困る。君がいない昼食なんて考えられない」


「え……?」


「僕の惚気話聞いてくれるの、もう君だけなんだよ」


「今日早退していいですか?」





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