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1915/2024

非日常的な日常

 土手に座り込み、沈む夕日と川のせせらぎを見つめながら。

 一日の終わりに、二人は他愛もない会話を始めます。




「日常って、いつ終わりを迎えるんでしょうね」


「それはまぁ、日常的に経験したことのない非日常的な現象が起こったときじゃないかな。天変地異が起こるとか、戦争が勃発するとか」


「異世界に飛ばされるとか」


「個人レベルの日常ならそういう終わり方もあるか……いやないだろ。ノリツッコミさせるな」


「フィクションであっても日常系作品とかを読んでいると思うことありませんか? 病気になったり事故や事件にあったりして、彼ら彼女らにもいつか非日常が訪れるときがくるんだろうか、と」


「純粋に楽しもうよ作品を。なんで毎度毎度穿った見方しようとするんだよ」


「フィクションであっても日常系作品ってだいたいがストーリーの最終目的を持ちませんから、潜在的にループものとしての可能性を秘めてますけど、彼らがそれに気づいて抜け出そうとすることってあんまりないじゃないですか」


「メタ発言はギャグの一つとしてよくあるけどね。おれたち歳取ってないとか、去年も十六歳の誕生会をした気がするとか」


「先輩がいつの間にかクラスメートになってるとか」


「それは先輩が個人的に学年をループしてるだけだ」


「そういう意味で、日常系でループに気づいて抜け出そうとする展開というのは新しいと思うんです」


「気づいた時点で日常系とは言い難い気がする。というか、その場合の日常から脱しようとする動機ってなんなの?」


「ループから抜け出さないと物理的に成長できませんし、人生が展開することもありません。将来の夢がある人はそれを絶対に叶えられないわけです。それだけで動機として十分ではないですか?」


「なるほど。じゃあ、ループから抜け出したがるのはなんらか将来の目的を持ってる人たちで、抜け出したがらないのはそれがない人たちって感じで分かれるのかな」


「高校を舞台にした日常ものであれば、クラスメート同士でループ脱出を賭けたバトルロワイヤルが始まるわけです」


「日常の続きを求める側としては既に日常じゃなくなってるって時点で悲しいな」


「しかも将来の夢がある人たちのほうが肉体的にも精神的にも強そうですもんね」


「でもたぶんだけど、そういう強い夢や願望を持ってる人たちって少数派だと思うよ。数では日常派が非日常派を圧倒的に上回ると思う」


「民主主義的には往々にして保守のほうがリベラルより強いですもんね」


「ナチュラルに政治方面に持っていくな!」





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