マヨネーズ
「こんばんは。今日も一日元気に過ごせましたか?」
「まぁまぁかな。君は元気そうでなによりだよ」
「む、なにやらおいしそうなもの食べてますね。なんですかそれ?」
「レバニラと麻婆春雨。君は晩御飯なに食べたの?」
「カップ麺です」
「……僕がいなくなった途端不摂生になるなよ。ちょっとは自分で料理しなって。カップ麺はおいしかった?」
「もちろんおいしかったですとも。さすがチョコボが宣伝してるだけあります」
「チキンラーメンのあいつは似てるけど関係ない」
「卵とマヨネーズ入れて食べると絶品ですね。とりあえずマヨネーズ入れとけばなんでもおいしくなります」
「君ってマヨラーだったの?」
「そのまま飲むようなことはしませんけどね。私の中のキングオブ調味料、ベストオブ調味料です。その麻婆春雨もマヨネーズを入れれば絶品になります」
「ならないよ。分離するよ」
「騙されたと思ってやってみてください。おいしかったら私も今度やってみます」
「前人未踏じゃんか。僕を実験台にする気満々じゃんか」
「おいしいと分かりきっているものばかり食べていたら進歩はありません。食の発展のためにはそういった冒険も必要なんです」
「必要ない。これで料理として完成してるんだから」
「確かにあなたの麻婆春雨はそれで完成かもしれません。でも実はそこに一味足すことで画竜点睛、新しい扉が開く可能性もあるわけじゃないですか」
「それで僕の料理が台無しになったらどうしてくれるんだ。むしろそのつもりだろ。僕だけ手の込んだ料理食べてるからひがんでるんだろ」
「とんだ被害妄想ですね。それと私を馬鹿にするのは構いませんが、マヨネーズを馬鹿にするのはやめてください」
「その唐突なマヨネーズへのこだわりはなんなんだよ。今までそんな設定なかっただろ」
「設定もマヨネーズも後付けが基本でしょう?」
「その説明でなにをどう納得しろと。うまいこと言ったみたいな顔してるんじゃない」
「そもそもマヨネーズという名前はですね、『味付けに迷わねぇず』から来てるんです」
「嘘だろ。なんで訛ってるんだ。フランス語だぞマヨネーズ」
「ああいや、もちろん別の説もあるんですけどね。元々はマヨという名前だったんですが、サラダにマヨがかかっていないことを怒ったフランス国王ルイ十四世が『おい、マヨ無ぇず!』と叫んだことから」
「だからなんで訛ってるんだよ!」




