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122/2024

友情

 コタツの中で足を温め、窓の向こうの夕焼けと街の灯りを見つめながら。

 一日の終わりに、二人は他愛ない会話を始めます。




「今日は世界友情の日です」


「こないだは社会正義の日だったけど、最近好きだね、その世界○○の日ってやつ」


「ネタにしやすくって。さて、今日は友情を大切に……と言いたいところですが、そもそも男女間に友情って存在すると思いますか?」


「もちろん。君だって良い友達だと思ってるよ?」


「それははっきり言って全く喜べないですね……。でも友達とか言いつつキスはするじゃな――っ!? まさか友達となら男女問わずキスしてるんですか!?」


「物事を一元的にしか捉えられないのか。僕はそんな欧米みたいなフランクさ持ち合わせてない。こっちから迫った覚えはないし……。君は信じてなさそうだね、男女間の友情」


「私は男女云々以前に友情自体信じてません」


「それでよく最初の質問ができたな。その姿勢が友達を遠ざけてるんじゃないの?」


「違います。思うに、男性には友情という概念がありますが、女性にはないんです。よって男女間の友情なんてものもありません。女性間に成立する正の感情は愛情だけです」


「いろんなところから異論が来そうな意見だ」


「あ、今『いろんな』と『異論』でかけました? さっむ」


「もう友達でいるのもやめようかなコイツ。話の腰は折るわ人を小バカにしてくるわ」


「そのほうが私としては好都合です。改めて女として見てください」


「友達になれないやつを好きになれると思うか?」


「友達友達って、そんなに友情が大事ですか。実際友情パワーなんて、ユーフォーキャッチャーのアーム程度の力しかありませんよ」


「よわっ! どんだけ信じてないんだ」


「一見すごく頼り甲斐がありそうに見えても、いざ使ってみたら何も得られない。フラストレーションが溜まるばかりでてんで役に立ちません」


「友情を道具みたいに認識してる時点でお前に友達云々を語る資格はない」


「だって! 私のことは良いように使うくせに! いざこっちから頼み事しても何もしてくれませんし!」


「僕そういうやつ一人知ってるんだけど。え、自虐なの?」


「私とあなたの間にあるのは愛情だから良いんです。愛情は大好きです。友情よりずっと頼りになりますから」


「結局道具扱いに変わりないじゃないか」


「それはお互い様です。利用し利用されが理想的な人間関係。あなただって私に頼っていいんですよ? できる限りのことはしますから」


「まず何ができるの?」


「…………」


「なんか言えよ」

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