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117/2024

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 雲一つない静かな夜。無数に輝く街の光にまた一つ、小さな明かりが混じります。そのささやかな灯の中で、二つの影が揺らいでいました。




「あのー、今日の私を見て何か気づくこととかありませんか?」


「いきなり何? そわそわして」


「いつもと違うところがあるんですけど、わかります?」


「いつもと違うところ? ちょっと痩せた?」


「違います。そう見えるならそれはそれで正解かもしれませんが」


「いや、適当に言ってみたぶへっ!」


「それは言わなくていいです」


「何もビンタしなくたっていいだろ。もしかして女の子の日なの? へぶっ!」


「違います。死んでください」


「叩かれた上に酷い言われよう。僕も悪かったけど」


「もっとパッと見でわかる変化があるでしょう?」


「えっと……下着つけてないとかぶへっ!」


「違います。さっきから回答が斜め上なんですけど、これからはそういうキャラでいくんですか?」


「君のキャラに合わせて答えてるつもりだよ……」


「今日に限ってはまともです。次から間違えるたびにビンタしましょう」


「なんで罰ゲームみたいに……新しい服買ったとか?」


「惜しいっ!」


「へぶっ! 惜しいのになんでさっきより強く叩くんだよ!」


「惜しければ惜しいほど強くなります」


「それ最終的に正解したらグーで殴られるだろ。もう答えたくない。暴力系ヒロイン反対」


「はぁ……時間切れです。正解は『ヘアスタイルを変えた』でした。彼女のそういうところがわからないなんて、彼氏失格ですね」


「え? 前と全然変わってないじゃん。長さ同じだし」


「長さしか見てないって……。高校物理のおもりをぶら下げた糸ですか私の髪は」


「その喩えはどうだろう」


「ちゃんと見てください。若干パーマがかかってるでしょう?」


「パーマだったのそれ? てっきり寝癖だとぶへっ!」


「よっぽど私にビンタされたいんですね」


「だって君いつもごろごろしてるから。そもそも誰が分かるんだよ、そんなマイナーチェンジ。ウォーリー見つけるより難易度高いよ」


「単にあなたの目が悪いだけです。違いのわからない男は女子に嫌われますよ? そんなことだから社会人になっても童貞なんです」


「髪型の変化に気づかなかっただけでそこまで言うか。君だって僕が髪切ったくらいじゃ気にもとめないだろ」


「舐めないでください。たとえ一センチ切った程度でもわかります。あなたが今日身につけている下着も、あなたに今日何人の女が近づいたかも、あなたが今日何回私の胸元を見たかも全て把握しています」


「恐いよ」

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