表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の聖女は何をする?  作者: 笛伊豆
第二十九章 聖女、旅立つ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

403/403

394.そもそも穢れって?

「信じてないです」

 平気で言うレスリー。

「ていうかどうでもいいというか。

 そもそも二千年前の話ですよ。

 今の私たちには関係ないので」

 さいですか。

 現実的(リアリスティック)侍女(レスリー)だった。

「でもキリスト教って十字軍とか起こしたのよね」

「あれは口実に使われただけというのが定説です。

 そもそも聖地エルサレムを『奪回』すると言う建前ですが、その場所って別に欧州諸国の所有だったことなんかないですし」

 話すと夜が明けるので止めますが、とレスリー。

 歴史か。

 凄いな。

 ミルガンテの歴史なんか何もなかった気がする。

 名前の無い救世主が登場するまでは小国同士が延々と戦い続けていただけだし、聖力が出てきたら戦争自体が無くなってしまった。

 というか戦争を起こそうとした国は何かする前に国王や貴族たちが一瞬で一族もろとも制圧されて収束したと習った。

 そのうちに聖力持ちが国を興したり反乱したりするようになったけど、それも周り中から集まってくる多数の聖力持ちに潰されるだけだった。

 大聖殿が出来てからは時々あっちこっちで小規模な騒ぎが起きるだけで、少し大きくなると遠征部隊に潰されておしまい。

 ある意味、単純な世界だったような。

「まあ判った。

 でも聖母って単に救世主(キリスト)を産んだ母親というだけでしょ?

 何で信仰の対象になっているの?」

 むしろ神様扱いなのでは。

 するとレスリーがスマホを弄ってから頷いた。

「あったあった。

 キリスト教と言っても色々派閥というか考え方がありまして、スペインやイタリアの方では『無原罪の御宿り』という考え方が主流だそうです」

「何それ」

「つまり救世主であり神の子であるキリストを産むためには母親であるマリアも原罪から免れている必要があるという考え方ですね。

 母親が穢れていたらその胎内にいる子供も汚染されますから」

 よく判らない。

「そもそも穢れって?」

 判らなくて聞いたらレスリーは必死でスマホを弄った。

「私も宗教方面には詳しくないんですが……ああ、ありました。

 ええと、人間は神の子ではないので生まれる前から穢れている、ということらしいです。

 だから奇跡を起こせないし人を救えない。

 でもキリストは穢れてないから救世主で、神の子を産んだマリアも神の特別な計らいによって穢れから免れているということのようで」

 何か強引な気がする。

 でもそうか。

「だから聖母も奇跡を起こせると」

「はい。

 実際、飲んだら病気が治る水が湧いている泉は聖母の祝福を受けているとか、あと血の涙を流すマリア像とかもあります」

 何それ怖い。

 信仰というよりはホラーなのでは。

 そんなもんは観たくないな。

「だから病気が治ったら聖母マリアが出てくるのね」

「みたいですね。

 私の感覚ですと、救世主(キリスト)って病気治しより世を救う方がメインの仕事で、治病担当は聖母というかんじです」

 担当って(笑)。

 そういえば。

「何の話をしてたんだっけ」

「聖母マリアには原罪がないというところから始まったような」

「ていうか穢れとか原罪とかってそもそも何?」

 つい聞いてしまった。

 レスリーが必死でスマホを弄る。

 悪い事をした。

 もういい、と言おうとした途端にレスリーが話し出した。

「色々な説があるみたいですが、一般に広まっているのはアダムとイヴが犯した罪のことですね」

「それ、誰?」

「キリスト教、じゃなくてこの場合はユダヤ教なのかな?

 旧約聖書に出てくる最初の人類です。

 神が自分の姿に似せて創造したとされています」

「人って神様が作ったの?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ