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異世界の聖女は何をする?  作者: 笛伊豆
第十四章 聖女、社会の真実を知る

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185.小学校中退よりはマシだろう

 それでも丹下先生は卒業証書を渡す時にレイナに言ってくれた。

「おめでとう。

 貴方は色々な意味で印象深い生徒でした」

「ありがとうございます」

 印象って色々あるからなあ、と顔には出さずに思うレイナだった。

「それでも素晴らしい成果です。

 最初は中学の教科書も読めないどころか日本語の会話すらおぼつかなかったのに在学中に高認合格。

 我が校の伝説です」

「そうですか」

 むしろ七不思議なんじゃないのかと思うレイナだった。

 丹下先生のことを頭から追い出す。

 もう二度と会うこともないだろう。

「ま、これでリンもやっと中卒という学歴を得たわけだ」

「嬉しくない」

「小学校中退よりはマシだろう」

「今時中卒なんかいないよ。

 そんなの誰も雇ってくれない」

「シンさんの会社でバイトが出来るじゃないですか。

 これって凄いことですよ?

 私もあやかりたいです」

 レスリーが無意識に人の傷をえぐった。

 あまりにもネイティヴに話すからつい忘れるが、レスリーにとって日本語は母国語じゃないから何事もストレートに表現してしまうみたい。

「中卒でバイトって、コミックに出てきそうなキャラですね。

 何か訳ありで」

「実際、訳ありだし」

「もういい!」

 リンがキレた。

「私は絶対高認とって大学行くんだ」

「卒業するまでは学歴は中卒だぞ」

「それはサリもナオも一緒でしょ!」

 するとサリは頷いた。

「そうだが、学歴を上げる方法はないこともない」

「そうなの?」

「ああ。

 どこかの大学に入ってから授業料を払って大学を正式に中退すればいい。

 そうすれば手っ取り早く学歴が大学中退になる」

 何のためにそんなことをする必要があるのか。

「アメリカでは大学中退って珍しくないぞ。

 それどころか一時は出世の早道だった」

 サリが脱線した。

「本当?

 知らなかった」

「昔の有名どころの起業家や映画監督なんかはみんな大学を中退していたはずだ。

 もっとも前世紀の話だが」

 サリが語るところによれば、20世紀のアメリカの伝説的な起業家はみんな大学在学中に会社を作って卒業しないで中退したそうだ。

 ○ッカーバーグとかビ○・ゲイツとかスティー○・ジョブズとか。

 起業家だけじゃなくて映画監督なども、大学在学中に仕事を始めてそのまま中退してしまった人が大成功することがあったと。

「ま、○ピルバーグはその後大学に戻って最終的には博士号までとったらしいけどな」

「でもそれって大学を中退したから成功したんじゃないよね?」

 リンが言うが当たり前だ。

 むしろ成功したから学歴に拘らなくなったんだろう。

「ただ中退しただけだと無意味じゃない」

「学歴が中卒じゃなくなる」

「それが何になるっての!」

 リンが本気で怒った。

 サリがすぐに謝ったために雰囲気は明るいままだったが、どうもサリはやり過ぎる傾向にある。

「そういえばレイナはどうするの?」

 矛先がこっちに向いた。

「もう高認とったから大学に行けるんでしょ」

 ナオがため息をつきながら言った。

「正確に言えば『大学受験資格がある』というだけね。

 高認持っていてもどこにでも入れるわけじゃないわよ」

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