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異世界の聖女は何をする?  作者: 笛伊豆
第十三章 聖女、歴史を学ぶ

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166.どこに行くの?

 電話が切れた。

 シンにしてはビジネスライクな。

 ていうかナオやサリの件も話してくれるわけね。

 お昼からならまだ時間はあるか。

 ということでレイナはカップラーメンを作って食べてからアニメを観ることにした。

 観ようと思って作ったリストから適当に選ぶ。

 それにしても莫大だ。

 観ても観ても追いつかない。

 しかもありとあらゆる種類のコンテンツがある。

 更に、リアルタイムで増え続けている。

 どんなに頑張っても死ぬまでに全部観るなんて不可能だろう。

 なのでレイナはネットで検索して話題になっているものを優先して観る事にしていた。

 しかしそれでも無理があった。

 ○ンダムというシリーズなんか、どうすればいいのかわからないくらい色々あるしロボット物を避けても色々ありすぎる。

 前に教えて貰った過去の英雄を召喚して戦わせるというようなアニメは同じテーマで色々あって、さらに言えば同じストーリーで別のコンテンツがあったりする。

 視聴者は混乱しないんだろうか。

 リンかレスリーに聞いてみようかと思ったが、踏み込んだら沼にハマりそうなので断念した。

 それにしても歴史改変物が多すぎる。

 正確に言えば改変というよりは妄想に近いのではないかと思えるのだが、主人公が教科書だと男なのにアニメでは女の子になっている話が多い、というよりは大半がそれだったりして。

 リンに言わせると「そっちの方が売れるから」と。

 結局は学問や芸術ではなくて商売(エンタメ)ということなんだろうな。

 面白いからいいけど。

 でもこんな妄想が堂々と市民権を得ている社会ってヤバくない?

 ミルガンテは徹頭徹尾現実(リアル)一本槍だったからなあ。

 違和感がありすぎる。

 こっちの方が面白いからいいのだけれど。

 魔法少女が殺し合うシリーズ物のアニメを観ていると昼前になってスマホに連絡が入った。

 一緒に出かけてレストランかどこかで食事らしい。

 ちょっとお洒落な服に着替えて、それでもフード付きの春用コートを着て出かける。

 そうしないと未だにスカウトが寄ってくるから仕方がない。

 エントランスに行くとシンが待っていた。

「お待たせ」

「早いね。

 じゃあ行こうか」

 マンションを出ると黒塗りの大きな車が停まっていた。

 ええとリムジンだったっけ?

 やたらに車体が長い。

 そしてドアのそばにスーツ姿のナオが立っていた。

「どうぞ」

 ナオがドアを開けてまずレイナを乗せ、続いてシンが乗り込んでくる。

 ナオがドアを閉めて前部座席に乗り込む。

「ベルトをお締め下さい」

 何なの?

 まあいいけど。

 ベルトを締めると車が静かに発進した。

 ふと運転席を観たらドライバーはサリだった。

 そこで我慢出来なくなった。

「何なのこれ?

 ナオもサリも何してるの?

 それにこの車は何?」

「まあまあ。

 後で説明するから」

 シンが含み笑いしながら言った。

 そう言われてしまっては仕方がない。

 話してくれるまで待つしかない。

 車は順調に走って都心に向かう。

「どこに行くの?」

「ホテルに部屋を取ってある」

「なんで?」

「色々あってね」

 お金がかかりそうだけど、そんな事はどうでもいいのだろう。

 足りなくなったらまたレイナがちょっとナンバーズとかで数字を揃えれば良いだけだ。

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