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異世界の聖女は何をする?  作者: 笛伊豆
第十二章 聖女、卒業が決まる

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159.何か汗かいてない?

「おはよう、というよりこんばんわ」

 リンがふざけた声を掛けてきた。

「こんばんわ」

「どうしたの?

 何か汗かいてない?」

「ちょっと」

 コミックに夢中になって遅刻しかけたというのは恥ずかしい。

「おはようございます」

 レスリーはブレない。

 そのうちに丹下先生がやってきて挨拶の後、いつものように自習になった。

 今は年配の人たちとの面談に忙しくてレイナたちの相手をしていられないようだ。

 これなら慌てることはなかった。

 ていうか、もう登校する必要すらないのでは。

 何とはなしに見ていると、レスリーは他の同級生(クラスメイト)たちの様子を覗ってから自分のタブレットを取り出した。

 イヤホンしていないところを見ると動画ではない。

 趣味のコミックか。

 リンは既に数学の参考書に没頭している。

 決意は固そうだ。

 まだ時々、アラサーの自分が高認の試験を受けている悪夢を見るらしい。

 それは凄いモチベーションになるだろうな。

 レイナは世界史の参考書を読むことにした。

 本当はタイロン氏の組織との対面に備えて英国の歴史などを覚えたいのだが、どうもあの辺りは欧州全体がひとつの国みたいになっていて、単独の国の歴史だけではよく判らないようなのだ。

 大昔にローマ帝国という巨大な国があって、それが滅びて各地方が独立したけどお互いに侵略したりされたりしていたらしい。

 その過程で支配者が入れ替わったり婚姻によって同盟したりして、だから歴史も複雑に絡み合っている。

 一時期はあの辺りの国の王族がみんな親戚だったとか。

 そういえばミルガンテでもそういう傾向はあった。

 王家はよその国からお妃を迎えたり王女を嫁に出したりしていたし、有力な貴族家に王家の者を臣籍降嫁させたりしていた。

 その辺りの状況は地球と同じみたい。

 レスリーに聞いたところ、英国は欧州の中でも特にややこしい歴史を持っていて、そもそも王家というか支配者がかなり頻繁に入れ替わったりしていたそうだ。

 しかも大陸の国と密接に繋がっている。

 なので国内で勢力争いをすると大陸の国が介入してきてドロドロになる。

 逆に英国から大陸の戦争に派兵することもあった。

 そういうことがずっと続いていて、今でも国内で色々と問題があるとか。

 参考書を読んでもよく判らないところがあったが、レスリーはタブレットのコミックに熱中していて邪魔したくない。

 リンは頭が数学に浸かっていて役に立ちそうにも無い。

 仕方がないのでスマホで検索する。

 この機械は実に便利で、聞けば何でも教えてくれる。

 ただ何かというとしゃべり出すのには閉口した。

 授業中でもお構いなしに話し出すからリンに頼んで音声システムは切ってある。

 ネットゲームヲタクであるリンはそういう技能があった。

 才能?

 まあいいか。

 結局、その日は参考書を読んでは判らないところをスマホで調べることで終わった。

 帰宅して途中で買ってきたサンドイッチを夜食に食べながらアニメを観る。

 最初から勉強しようと思って紀元前からの英国の歴史を拾っていたのだが、どうもよく判らない。

 当時はローマ帝国の植民地、というか属州だったらしいが、資料がほとんど残っていないそうだ。

 中世になってもアーサー王とか存在したかどうかも怪しい伝説があるばかりで正確な所は不明だ。

 このアーサー王とやらが英国を統一したとされていたので調べて見たのだが、どう考えても本当とは思えないようなことをしたらしかった。

 もし本当だったらアーサーこそ聖力持ちに違いない。

 剣の一振りで数千人殺したとか、ほとんどアニメだ。

 思いついて検索してみたらやっぱりアーサーを主人公にしたアニメが結構あった。

 実際に残っている資料を見ても厨二病としか思えないからアニメ化しやすいのかもしれない。

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