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異世界の聖女は何をする?  作者: 笛伊豆
第十一章 聖女、移動手段を確保する

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142.どうぞ、おかけ下さい

 迎えって誰?

 シンの部下なのか。

 そんなのいたんだ。

 ホテルに着いてカウンターに向かうと声を掛けてきたのは意外な人物だった。

「レイナ様」

「え?

 何でこんなところに」

 にっこりと笑うナオ。

 ビジネススーツを身に纏ったその姿はとても一流クラブのホステスには見えない。

 もちろん夜間中学の生徒なんかとんでもない。

 大企業の総合職か役員秘書か。

 そういえばナオって秘書の資格とったと言っていたっけ。

「ひょっとして迎えってナオなの?」

「はい。

 こちらです」

 何で敬語なんだろうか。

 粛々と進むナオについてエレベーターに乗り込み、扉が開くと豪華な廊下だった。

 見覚えがあるような。

 そう、確かタイロン氏と会ったのがこんな場所だった。

「どうぞ」

 きちっとした姿勢でドアを開けてレイナを通すナオ。

 役割に慣れきってない?

 部屋はかなり広かった。

 それでも会議室というよりは応接室、いやむしろ歓待ルーム?

 窓も広くて夜景が美しい。

 奥の方に行くと席に着いていた人たちが立ち上がった。

 まずはシン。

 黒いスーツが似合っている。

 偉い人と会うためにわざわざ作ったとかいう注文服(オーダーメード)と言っていたっけ。

 向かい側の席についていたのは懐かしいタイロン氏で、その両隣には年配の紳士と威厳のあるご婦人がいた。

 みんな白人種だ。

 組織の偉い人だろうか。

 レスリーもいたが、端の方で縮こまっている。

 下っ端だもんね。

 ふとみるとシンの後ろに立っているのはサリだった。

 こちらも女性用のビジネススーツ姿だ。

 ナオがレイナを誘導してシンの隣の席に座らせると、自分はサリと並んでシンの後ろに立った。

 二人とも堂に入っているというか、昔からシンの部下だったようにしか見えない。

 いつの間に。

「どうぞ、おかけ下さい」

 レイナが坐ってからシンが言って、タイロン氏たちも従う。

 何で?

 この中ではレイナが一番身分が高いとか?

 サリは坐るときに椅子を引いてくれたし。

 貴族令嬢の設定か。

 タイロン氏たちと向かい合う。

「お久しぶりでございます」

 タイロン氏がきちっとした動作で頭を下げた。

 その両側の老紳士と淑女は何もしない。

 レイナをジロジロ見ているだけだ。

 横目でちらっとシンを伺う。

『やっちゃって』

 了解。

 レイナが軽く聖力を込めるともの凄い威圧感が部屋に充満した。

 不良が凄むというような雰囲気(ムード)だがレイナのそれは威圧の桁が違う。

 平気なのはシンくらいで、後ろに立っている上に身構えていたナオやサリすらふらつきかけて慌てて踏ん張ったし、向かい側の3人は硬直した。

 タイロン氏はともかく残りの二人は椅子の上で倒れんばかりに姿勢を崩した後、慌てて頭を下げた。

 坐っているからそれだけで済んだが、もし立ったままだったら這いつくばっていたかもしれない。

「スゲー」

 思わず漏れてしまったサリの呟きがかすかに聞こえてナオが睨んだような気配がした。

 無意識に周囲に軽く聖力を展開しているレイナには見えなくても判ってしまう。

 ああ、これで二人にも化物(モンスター)扱いされてしまうな、と諦めの心境になってしまった。

「それで?」

 シンが何でもない風に言った。

「……失礼致しました。

 未だに情報が行き渡っていない者共もおりまして」

 タイロン氏が皮肉げに言った。

 行き渡ってないというよりは信じられなかったんだろうな。

 レイナが見てみると、何とか立ち直ったらしい二人はさっきまでの威厳が吹き飛んでいる。

 むしろ怯えている?

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