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異世界の聖女は何をする?  作者: 笛伊豆
第九章 聖女、悪い遊びを覚える

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122.ところでみんな、朝帰りは大丈夫か?

「むしろ余計な事はしない方がいい。

 ほっとけばいいさ。

 自分で解決するって」

「ならしばらく様子を見てみる」

 気持ちを切り替えてみんなで遊びに行くことにする。

 今回はナオの都合がつかないということで4人になった。

「どうせならちょっと面白いところに行かないか」

 サリが悪そうな顔で言った。

「どこにでも行く」

 リンはやけっぱちだ。

「まあいいけど」

「私はレイナ……さんについて行きます」

 レスリーはブレない。

「ところでみんな、朝帰りは大丈夫か?」

 突然、過激なことを言い出すサリ。

「何?

 みんなでソープにでもしけ込もうって?」

「似たようなもんだが」

 ソープ?

 確か石鹸のことよね?

「お風呂に行くの?」

 レイナ以外の全員が吹き出した。

「出た。

 レイナの非常識」

「いや無常識かと」

「ある意味正しいんだが」

 笑い続けるみんなを尻目にスマホで検索してみてもよく判らない。

「リンが言ったのはソープランドだ。

 性的なサービスをするお店だよ」

「だってここに書いてあるけど、男性向けなのでは」

「いや、最近は女性向けの店もあるらしいよ」

 リンが乗ってきた。

「そこに行こうと?」

「そんなわけあるか。

 冗談だよ」

 笑いが収まったサリが「徹夜で遊べるところだ」というので行く事にする。

 レイナ自身は特に予定はなかったし、他の人達も問題なさそうだった。

「サリはいいの?

 バイトがあるんじゃ」

「ここらで一区切りしようと思って辞めてきた。

 しばらく遊ぶさ」

 何を考えているのか判らないが、サリにはサリの人生があるのだろう。

 レイナとしては経験値は多い方が良いので何でもこいだ。

「それじゃあ行くか」

 夜間中学の放課後は午後9時過ぎだ。

 みんなで連れだってしばらく歩いてからサリが呼んだタクシーに乗り込む。

 夜間中学の同級生(クラスメイト)たちにはあまり知られたくないということだった。

 女4人で夜遊び、それも3人は未成年だ。

 バレたら拙い。

「遠いの?」

「そうでもないが、町外れにあるからな」

「怖い所じゃないでしょうね?」

 リンは意外と臆病、というよりは用心深い。

「怖くない怖くない」

「余計怖いわ!」

 タクシーはしばらく走ってから街道沿いの小さなビルの前で停まった。

「ここだ」

 確かソープランドとかなら大きく看板、いやネオンサインが出ているはずだか、そんなものはなかった。

「ああ、ここ!」

「やっぱりです」

「知ってるの?」

「まあ、入ってみれば判る」

 ホテルのロビーに似た場所に受付があった。

「ネットカフェなの?」

「漫画喫茶でもある」

「カラオケも出来ると」

「ビリヤードとかダーツはないみたいね」

「お前ら会員登録するぞ」

 何がなんだからわからないうちに身分証明書を取り上げられて会員カードが作られた。

 夜間中学の生徒手帳では駄目だったが、こんなこともあろうかといつも持ち歩いていた日本国旅券(パスポート)が役に立った。

 レイナの場合、容姿が容姿だけに夜中に出歩いていると希に警官に職質されることがある。

 そんな時に夜間中学の生徒手帳を出したらかえって怪しまれるからとシンに指示されて取っておいたのだ。

 シンに言わせればパスポートは全世界で通じる最強の身分証明書なのだとか。

 国内で使う人はあまりいないらしいけど。

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