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異世界の聖女は何をする?  作者: 笛伊豆
第七章 聖女、受験する

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107.高認の結果が届いたんだけど

 ちなみにシンによれば書留というものは直接宛先の本人に渡す必要がある郵便物だということだ。

 重要な書類が間違って別の人に届いたり、あるいは盗まれたりすることを防ぐためらしい。

「郵便局って?」

「その連絡票に書いてあるでしょ。

 いい機会だから自力でやってみてよ。

 あ、それから身分証明書がいるから」

「そんなのないけど」

「夜間中学の生徒手帳があるでしょ。

 住所が載っていれば大丈夫だから」

 それでいいのか。

 なるほど、夜間中学の生徒だということは、国が認めた公的機関に身分を保障されていると見なされると。

 割と簡単に偽造出来そうだけど、シンに聞いたらわざわざそんな面倒くさいことをするメリットがないからまず誰もやらないだろう、と。

 確かにレイナになりすますだけのために生徒手帳を偽造するってコスパが悪すぎる。

 そんなことをするくらいだったらもっと直接的に襲ってきそう。

 シンに言われたのでレイナは色々と検索して調べてから書類を準備し、郵便局の場所を調べて出かけて行った。

 郵便局ならレイナの住むマンションの近くにもあるが、それとは違って大きなビルだった。

 郵便物の集配信はそういった地区の中央局でやっているのだそうだ。

 そこらへんにある郵便局は言わば支所なので、郵便物の配達とは関係ないらしい。

 大聖殿と地方の聖殿の関係みたいなものか。

 また新しい知識が増えてしまったとか考えながら窓口に行って郵便物を受け取る。

 簡易書留というそうだ。

 明らかに外国産の容姿なレイナが来たので何か言われるのかと思ったけど、郵便局の係員は粛々と手続きをしてくれた。

 プロだなあ。

 大判の封筒を持って自宅に戻り、早速リビングで開けてみたら、何かの通知が出てきた。

 サリやリンから合格した科目ごとに「科目合格通知書」が送られてくると聞いていたのだが、封筒から出てきたのは明らかに違った。

 とりあえずサリに聞いてみる。

 電話したら幸いすぐに出てくれた。

 バイトの空き時間だそうだ。

「高認の結果が届いたんだけど」

『おー、もうか。

 どれが受かった?』

「前に聞いた時は合格した科目を連絡してくれるという話だったよね?」

『そうだ。

 通知書だ』

「合格証書と書いてあるんだけど」

 サリが応えない。

 しばらく待ってみたが沈黙が続くので聞いてみた。

「どうしたの?」

「え?

 ああ、うん。

 ちょっと意外だったというか、レイナならあるいは、いやむしろ当然というべきか。

 まあいい。

 今日は私も登校するから持ってきてくれ。

 いや、その前にシンさんに報告しといた方がいい」

「判った」

 よく判らないけどそう応えてからシンに連絡する。

「あー。

 なるほど。

 今ちょうど家にいるから持ってきてよ」

「すぐ行く」

 こんな時は同じマンションに住んでいるので便利だ。

 ラフな格好のまま部屋を出てエレベーターでシンの部屋に行く。

 シンも部屋着で迎えてくれた。

 コーヒーが用意してあった。

 シンはコーヒー好きで自宅に居るときもよく飲んでいる。

「ようこそ。

 で、それが届いた書類?」

「うん」

 大判の封筒から書類を出して読むシン。

「いやー、参った。

 レイナ、高認とれちゃったみたいだよ」

 一瞬、何を言われたか判らなかった。

 取れちゃったって何が?

「それって」

「高等学校卒業程度認定試験の必要科目にすべて合格したので合格証書を送ります、とある。

 レイナ、全部終わったって」

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