エルウィンのお土産
休憩宣言をあっさりと破ってすみません。
ハイドがお土産になった経緯を考えてたら出来あがりました。
お初におめもじいたします。エルウィン・サジ・マークロウです。5さいです。
元気よくあいさつをしたら、まおー陛下が頭をわしゃわしゃと撫でてくれました。
ぼくのお母さまもキレイだけど、まおー陛下もキレイな女の人でした。
だけど、しゃべり方がちょっと変。
「よく来たのぅ。奥宮の庭で子らが遊んでおる。混ぜてもらうが良い。フォルダリア、連れて行って差し上げよ」
「はい。母上。エルウィン様、お手をお繋ぎしましょう」
すっと出された手を見て、お母さまを見たらにっこり笑ってうなずいてくれたので、お姉さんと手を繋ぐ。
お姉さんもキレイな人です。
「マグノリア様、御子息をお預かりします。では、母上。御前失礼致します」
繋いだ手を引かれたので、お母さまに行ってきますと手を振って歩き出した。
初めてくる場所はとても不思議。
赤い柱も置物も見た事ないものばかり。
あ、でもお池のお魚さんはおうちのお池のお魚さんと同じでした。ひらひらしてて可愛いんです。1匹だけ尾が黄色の子がいるのでプリンちゃんって名前を付けてるの。
あちこちきょろきょろしてたら、お姉さんが笑ってた。
「珍しいですか?」
「はい。見たことないものばかりです」
そう答えたら、色々とお話をしてくれた。
壁の絵にかかれてる長い鼻の動物は、海を越えた島にいる動物なんだって。くしゃみとか大変そう。鼻水でたらどうやってふくのかな。
ぼくと同じぐらい大きな壺の中に小さなハートが2つ隠れてるとか、まおー陛下が酔って壊した壁をかくすための飾り絵の話とか、お姉さんのお話は面白かった。
お名前が上手に言えなかったら、何度も教えてくれた。
ふぉる、ふぉる、だりあさま。うん。分けると覚えやすい。
フォル、ダリア様。うん。フォルダリア様!
「エルウィン様はお兄様とお姉様と仲がよろしいの?」
「はい。仲良しです。お兄さまはとても強くてカッコよくて、お姉さまはキレイで優しいです。2人とも大好きです」
「まぁ、それは素敵ですね。私も兄弟がおりますが、仲良しですよ」
「おそろいですね」
「ふふふ。そうですね」
フォルダリア様は楽しそうに笑ってくれました。ぼくも嬉しくてえへへと笑いました。
鳥や花の絵が描いてある扉に手をそえて動かしたら、扉が消えました。不思議。
さっきまであったのに、どこにいったのかな。
無くなった扉を探していたら、子どもの声が聞こえてきた。
「姉上!姉上だ」
「姉上、どうしたの?」
男の子や女の子がたくさん寄ってきた。
みんなぼくより大きい。
扉の向こうはお庭だった。木がいっぱいあって、おっきな石とかあって、面白い。
「お客様をご案内してきたのよ。仲間に入れて遊んであげてくださる?」
フォルダリア様が優しく背中を押してくれたので、ドキドキしながら前に出る。
ぼくの前には2人の男の子と3人の女の子がいた。男の子はおんなじお顔してる。ビックリ!
「名前は?」
「あ、えっと、エルウィンです」
「そっか。オレはバナイヴェント」
「オレはザザディアルト」
「リスティアルディナよ」
「ケイスクルティアよ」
「レェイシェンラン」
ながい。みんな、名前長くて覚えられない。
どうしよう?と困ってたら、最初に声をかけてくれた男の子が手を引いて「遊ぼうぜ!」とみんなの中に入れてくれた。
フォルダリア様は「ここで見ていますから、皆で遊んでおいでなさい」と微笑んでくれた。
隠れんぼして、鬼ごっこして、手繋ぎ鬼して、かけっこした。
名前が分からなくても遊べるね。その時に聞けばいいし。覚えられなくて何回も聞いちゃったら呼びやすい名前を教えてくれた。
楽しく遊んでたら、フォルダリア様が「休憩致しましょう」と声をかけてくれた。
おうちから出てるバルコニーみたいな所にテーブルとベンチがあって、お菓子のお皿がテーブルに並んでる。
いっぱい走ったからお腹がぐーって鳴った。
大変。早く食べてって言ってる。
ケイとレェイが手を洗う場所を教えてくれた。
順番を待ってたら、見たことある人がフォルダリア様と一緒にいた。
あ!あ!いた。いたよ!
いた、けど、どうしよう。
手を洗わなきゃ。でも、急がないといなくなっちゃう。
そわそわしてたらザザが「厠か?先に洗って行ってこいよ」と先に洗わせてくれた。
かわやってなんだろ?
分かんないけど、とりあえずフォルダリア様のとこまで走っていきます。
庭へ下りる階段の側まで行くと、立ってる男の人にじろっと見下ろされました。
こ、こわく、ありません。
お姉さまもこわくないって言ってました。お顔はこわいけど優しい人です。たぶん。
「こんにちは!エルウィン・サジ・マークロウ5さいです!」
いつもより元気よくご挨拶するとうんってうなずいてくれました。良かった。
「ハイド殿下ですか?」
もう一度、うんってうなずいてくれた。
うん。こわくない。こわくないぞ。
手にぎゅって力を入れてがんばる。
「ハイド殿下。お姉さまのおみやげになってください!」
いっしょうけんめいお願いしたのに、首を傾げられました。
うん?分からなかったのかな。
「お兄さまとお姉さまにお土産をあげたいんです。ハイド殿下ならお姉さま喜びます」
「土産…」
おおっ。しゃべりました。
「ハイドがシェラザード様のお土産になると喜ぶのかしら?」
フォルダリア様が聞いてくれたので、うん!と力いっぱいうなずいておきました。
「喜びます!お姉さまのお部屋にハイド殿下の絵があって、お姉さまいつも嬉しそうに見てますから、絶対、ぜったいに喜びます!」
「あらあら。だ、そうよ?ハイドはそれで宜しいのかしら?」
フォルダリア様の言葉にハイド殿下はちょっとしてからうんってうなずいてくれました。
やった!お姉さまにお土産ができました!
「エルウィン様。お兄様のお土産に私はいかがですか?」
フォルダリア様の言葉にぼくはうーんと考える。お土産は大事なことだからちゃんと考えないと。
「フォルダリア様がお土産だと、お兄さま喜んでくれますか?」
「あらあら。さぁ、どうかしら?」
困った。それが一番大事なことなのに。
うーん。うーん。
お兄さまが好きなもの。剣とパンとドラゴン……後はなんだろう。
うーん。分かんない。
「分からないので、お母さまに聞きます」
「あらあら。エルウィン様は賢いのね。さぁ、お上がりになってお菓子をどうぞ召し上がれ」
いつの間にかザザたちもバルコニーに上がって椅子に座ってました。はやい。
待って、待って。ぼくの分なくなっちゃう。
レェイが渡してくれた丸いお菓子はもちもちしてて美味しかったです。
このお菓子でもお兄さまは喜ぶかな。でも、お父さまの方が喜びそう。
あ!お父さまのお土産もあったんだ!
うーん。悩みが増えました。どうしよう。
お父さまが好きなのは、お母さまとぼくたちと食べ物かな。お母さまとぼくたちはもういるから、食べ物がいいかな。
うーん。これもお母さまに聞いてみよう。
考えることたくさんでぼく大変。
でも、お出かけする時にお土産持って帰りますって言っちゃったから、持って帰らないと泣いちゃうかもしれない。
これは、大事な大事なにんむなんです。
お母さまに相談したら、お父さまとお兄さまのお土産は魔国のお菓子になりました。
すぐに解決するなんて、さすがお母さま。
ハイド殿下はキュイの仲良しのドラゴンに乗って一緒に来てくれる事になりました。
なんでか、まおー陛下がお腹を抱えて笑ってました。
お腹いたい?でも笑ってるから大丈夫かな。
お姉さま喜んでくれるかな。
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【エルウィンを見送った後の魔王陛下とマグノリア】
「其方らの子とは思えぬ可愛らしさよの」
「私たちの子だからこそ、あのように可愛いのですわ」
「ふむ。やはり、もう1人産むか」
「6人も御子がいらっしゃって、何を仰っているのですか。お年を考えなさいませ」
「まだ産めるぞ?」
「可能性の問題ではございませんわ。ご自分の御子よりも孫の誕生の方が現実味がございましてよ」
「確かに、そちらの方が楽よのぅ」
「苦楽の問題でもございませんけれどね」
美魔女な魔王陛下は6人の子持ちです。庭にいたバナとザザとレェイが陛下の子どもで残り2人は宰相の子どもです。
ちなみにフォルダリアは二番目です。
最後の会話は蛇足です。
さて。これで本当に、しばらく休憩に入ります。はぁ、スッキリ。
またネタがおりてくるまで、ご機嫌よう。




